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武田薬品・ウェバー社長CEO 24年度以降の業績見通し「戦略は順調」 新製品の継続的な拡大が原動力

公開日時 2023/10/27 04:51
武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは10月26日、2023年度第2四半期決算説明会に臨み、24年度以降の業績見通しについて「戦略は順調に進んでおり、23年度の前提に基づいて成長製品、新製品の継続的な拡大が原動力となり、短期的(24~25年度)には売上収益(売上高)・利益・利益率の成長が回復すると見込んでいる」と自信を示した。また、AIを活用するなどデータ、デジタル、テクノロジーの活用による生産性向上に注力する考えを表明した。

◎パイプラインの後退「長期的な持続的価値実現の戦略に影響を与えるものではない」

同社はこの日、通期業績予想の修正を発表し、売上高を為替の円安傾向を考慮し期初予想から1400億円引き上げる一方、営業利益を1240億円、親会社所有者帰属純利益を490億円それぞれ引き下げた。臨床試験結果を踏まえ、上期に非小細胞肺がん治療薬・Exkivityとクローン病に伴う複雑痔瘻治療薬・アロフィセルに係る無形資産減損損失を計上したことが利益予想の下方修正の要因だ。ウェバー社長は「これらの減損の引き金となったパイプラインの2つの後退は短期的な成長への復帰と株主のための長期的な持続的価値実現の戦略に影響を与えるものではない」と強調した。

◎23年度上期業績 CERベースで1.4%増収 エンティビオが13.0%増で世界シェア拡大

23年度上期業績は、売上高が6.4%増の2兆1017億円となった。為替の影響を除くCERベースでは1.4%の増収だった。主力製品の売上を見ると、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬・エンティビオ(国内製品名:エンタイビオ)が13.0%増の3917億円と成長軌道を維持し、世界的にシェアを拡大した。ただ、ウェバー社長によると、「米国でIBD(炎症性腸疾患)市場は成長しているものの、診断や先進的治療薬の開始は2016年~19年と比較し抑制されたままであり、特に新規診断に関しては、まだコロナ前のレベルに回復していない」という。

エンティビオの通期売上予想を期初の7880億円から7730億円(前期比703億円増)に150億円引き下げた。23年9月に米FDA承認を取得し、10月末までの発売を見込む皮下投与製剤の販売に注力するなどし、「ピーク時売上75~90億ドルの達成は確信している」と語った。

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬・バイバンス(国内製品名:ビバンセ)の売上は7.1%増の2263億円だった。米国において8月下旬から複数の後発品が参入したが、「これまでのところジェネリックがビバンセの市場シェアに与える影響は当社の予想とほぼ一致している」と述べた。通期売上予想は期初の2830億円から3130億円(前期比1463億円減)に300億円引き上げている。

新製品では、21年12月に米国で上市した移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬・Livtencityが96.9%増の83億円、インドネシア、ブラジル、タイで上市したデング熱ワクチン・Qdengaが19億円を売り上げた。

◎日本市場 売上高12.6%減 GE参入のアジルバは36.3%減 コロナワクチンの減収も

日本市場の売上は、12.6%減の2285億円となった。23年6月に後発品が参入したアジルバが36.3%減の237億円となったほか、新型コロナワクチンの減収が響いた。タケキャブは3.7%増の485億円だった。

研究開発面では、最優先プログラムと位置付けるTAK-279(経口TYK2阻害薬)についいては、活動性乾癬性関節炎を対象とした第2b相試験の良好な結果を、11月の米国リウマチ学会で発表予定。乾癬を対象とした第3相試験を23年度中に、乾癬性関節炎を対象とした第3相試験を24年度早期に開始する予定。

23年度上期の営業利益は53.2%減の1192億3000万円、アロフィセルの第3相ADMIRE-CD Ⅱ試験のトップライン結果を踏まえて740億円の減損損失を、また、ExkivityのEXCLAIM-2検証試験結果を踏まえて285億円の減損損失を計上したことが響いた。シャイアーの税務紛争に係るアイルランド歳入庁との和解により635 億円の税金費用を上期に減額したが、親会社所有者帰属純利益は75.2%減の413億6500万円だった。

【連結業績(前年同期比)23年度通期予想(前期比)】
売上高 2兆1017億700万円(6.4%増)3兆9800億円(1.2%減)←修正前3兆8400億円
営業利益 1192億3000万円(53.2%減)2250億円(54.1%減)←修正前3490億円
親会社帰属純利益 413億6500万円(75.2%減)930億円(70.7%減)←修正前1420億円

【グローバル主要製品売上(前年同期実績)通期予想 億円】
【消化器系疾患】
エンティビオ 3917(3466)7730 ←修正前7880
タケキャブ 588(547)1330 ←修正前1320
レベスティブ 589(484)1080 ←修正前1060
DEXILANT 232(380)390 ←修正前360
PANTOLOC/CONTROLOC 229(222)450←修正前430
リアルダ/MEZAVANT 135(113)260
RESOLOR/MOTEGRITY  101(77)200←修正前190
アロフィセル 15(11)40

【希少疾患】
アドベイト 627(624)1760←修正前1720(予想はアディノベイト計)
アディノベイト 335(344)
ファイバ 198(213)380←修正前370
RECOMBINATE  60(62)110←修正前100
ボンベンディ 74(59)160←修正前150
HEMOFIL/IMMUNATE /IMMUNINE  93(107)170
タクザイロ 871(728)1700←修正前1580
エラプレース 457(424)840
リプレガル  362(343)730←修正前760
ビプリブ 243(233)500←修正前510
フィラジル 117(134)200
CINRYZE   84(96)170←修正前160
LIVTENCITY 83(42)120%~150%増

【⾎漿分画製剤(免疫疾患)】
免疫グロブリン製剤 3092(2451)10%~20%増
アルブミン製剤 589(518)5%~15%増

【オンコロジー】
リュープリン 488(537)1110←修正前1090
ニンラーロ 463(488)930←修正前910
アドセトリス 543(417)1030←修正前940
アイクルシグ 270(232)500←修正前480
ベルケイド 29(208)60
ベクティビックス 136(133)260
アルンブリグ 137(97)290
ゼジューラ 74(64)140
カボメティクス 42(40)100
EXKIVITY 35(14)30%~40%増←修正前70%~100%増

【ニューロサイエンス】
バイバンス 2263(2112)3130←修正前2830
トリンテリックス 510(498)1130←修正前1080
ADDERALL XR 226(125)390←修正前170
インチュニブ 162(105)350←修正前340

【その他】
アジルバ 237(372)300
ホスレノール 81(75)100
QDENGA 19(―)―

【国内主要製品売上(前年同期比) 億円】
エンタイビオ 75 (11.5%増)
タケキャブ  485(3.7%増)
レベスティブ 40(57.1%増)
アロフィセル 2(407.0%増)
アドベイト 19(8.9%減)
アディノベイト 70(1.7%減)
ファイバ 4(13.0%減)
ボンベンディ 4(124.0%増)
タクザイロ 14(194.0%増)
エラプレース 5(6.3%増)
リプレガル 44(3.0%減)
ビプリブ 6(20.1%増)
フィラジル 11(24.2%増)
リュープリン 141(15.3%増)
ニンラーロ 34 (0.9%減)
アドセトリス 67(5.3%増)
ベクティビックス 136(2.6%増)
アルンブリグ 12(38.2%増)
ゼジューラ 61(16.3%増)
カボメティクス 42(5.0%増)
ビバンセ 8(256.8%増)
トリンテリックス 52(35.6%増)
インチュニブ 105(102.3%増)
アジルバ 237 (36.3%減)

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