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三師会 24年度診療報酬改定で賃上げ可能な財源確保を武見厚労相に要望 中長期の経営安定化を

公開日時 2023/11/15 04:50
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会会長は11月14日、2024年度診療報酬改定に向けて、「最低限人事院勧告3.3%に匹敵する賃上げ」などへの対応を可能とする、適切な財源確保を求める要望書を武見敬三厚労相に手渡した。中長期的に見た地域医療の持続性の観点からも「人材確保」が医療機関、薬局経営の重要な課題となっているとして、賃上げの必要性を強調。三師会が足並みを揃え、「全体としての底上げ」を要望した。要望後、日本医師会の松本吉郎会長は、「今後も医療界が一丸・一体となって、国民にしっかりとした医療を提供していくということをお誓い申し上げた」と話し、武見厚労相は、「しっかりと検討して、対応したい」と応じたという。

◎「中長期的な経営が行えれなければ安心・安全な医療は提供できない」 人材確保へ財源を

松本会長は、「医療機関、薬局において感染症対応をはじめ、地域における医療提供に貢献してきたが、支え手が減少する中で、人材確保が非常に厳しい状況となっている」として、人材確保が医療機関、薬局経営で重要課題となっていると指摘。岸田内閣が賃上げを掲げる中で、「公定価格によって成り立っている私たちの団体、業種も診療報酬改定の大幅な引上げを基に、賃金の高騰、物価高騰に対処できる体制を作っていかないといけないと思い、そうお願いしてきた」と説明。「中長期的にきちんと経営を行えないと、国民、患者さんに安全・安心な医療は提供できないので、特に強調してお願いした」と話した。

要望書では賃上げについて、「最低限人事院勧告3.3%に匹敵する賃上げ」を求めているが、今年の春闘で平均賃上げ率3.58%、人事院勧告で3.3%の上昇が示され、さらに来年以降も同様の傾向が続くとして、「ある意味、世間並みの賃上げを私たちの世界にもお願いしたい」と述べた。公定価格である診療報酬は価格転嫁ができないとして、改めてこれらの対応を可能とする大幅な引上げの必要性を強調した。

要望書では、「最低限人事院勧告3.3%に匹敵する賃上げと物価高騰、さらには日進月歩する技術革新への対応には十分な原資が必要不可欠」としている。

◎三師会として「全体としての底上げ」求める コロナに診療所含め一丸・一体となって対応

三師会は足並みを揃え、「全体としての底上げ」を要望した。松本会長は、「医療は一連のものだ。患者さんにとっては一連の治療として受けるものだ。医師、歯科医師、薬剤師の役割分担はあるが、連携しながら行っている」として、全体としての底上げを求めたとした。

財務省が診療所は高収益だとして初・再診料の引下げによる診療報酬本体マイナス改定を主張している。これに対し、松本会長は診療所で対応したコロナ患者とコロナ疑い患者は2020年~22年の3年間で累計約7700万人にのぼったとのデータも武見厚労相に説明したという。新型コロナのワクチン接種数は明確なデータはないものの、「ワクチン接種の相当数を診療所や病院の医師、歯科医師など様々な立場の方が加わり、ワクチン接種を全力でやってきた。コロナに対し、医療界が一体となって頑張ってきたということをお話した」と説明。「今後も医療界が一丸・一体となって、国民にしっかりとした医療を提供していくということをお誓い申し上げた」と話した。

武見厚労相は、「現場の声は非常に理解した。色々な資料についても非常に理解をした。しっかりと検討して、対応したい」と応じたという。



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