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【中医協薬価専門部会 11月17日 議事要旨 後発品等をめぐる安定供給の確保、少量多品目構造の解消】

公開日時 2023/11/20 04:51
中医協薬価専門部会は11月17日、後発品等をめぐる安定供給が確保できる企業の考え方と、後発品産業における少量多品目構造の解消の論点をテーマに議論した。本誌は各側委員による質疑について議事要旨として公開する。



安川部会長:それではただいまの(事務局)説明について、ご質問ご意見等ございましたらお願いいたします。では長島委員からお願いいたします。

長島委員:はい、ありがとうございます。まず資料「薬―1」の21ページの「安定供給が確保できる企業の考え方に関する論点」についてです。企業指標および評価については、前回指摘したことと、その考え方が資料4ページ(前回の主な意見と今回の議論にあたっての考え方 ①)にまとめられており異論ありません。

なお、資料12ページ(評価指標4「薬価の乖離状況」の評価の観点と評価方法)の「③」(新規収載された後発品のうち、5年以内に撤退した品目数)の品目数については、規格レベルで考えるべきかと思います。

資料13ページ(評価指標1~4の個別項目を踏まえた企業評価方法・案)の評価方法案についても異論ありません。

令和6年度薬価改定では、試行的な導入として、最小限のものから適用することに賛同いたします。なお、後発医薬品企業による安定供給に関連する情報の公表は大変重要であります。公表すべき情報については、その粒度や時間軸、例えば、対象期間や更新の頻度などについて、ある程度標準化を図り、企業間の適正な比較が可能となるよう留意いただきたいと思います。

次に資料「薬―1」の32ページの「後発品産業における少量多品目構造の解消に関する論点」についてです。大きな市場シェアが見込める品目に狙いを定めて参入し、低価格で一定程度販売した後に売り抜けるようなビジネスモデルが現在も通用するのであれば、参入時の薬価でも何らかのメッセージを示すことが必要であると考えます。

方法としては、これまで参入する企業数が10社を超える場合の薬価を徐々に引き下げる対応してきましたので、今回もその方向性を継続することも考えられます。資料31ページ(新規後発品の乖離率分布(R 2 . 6月、R 3 . 6月、R 4 . 6月収載品目)に示されているように、参入する企業数に着目しながら、安定供給の確保も勘案しつつ検討を進めるべきだと思います。

また、少量多品目構造の解消のためには、新規収載、すなわち入口での対応も重要でありますが、短期間での市場撤退はもちろんのこと、撤退しないまでも、製品をほとんど市場に供給していない企業もあると聞いておりますので、個々の企業の出荷量をきちんとフォローし、企業評価に反映させていくことも重要ではないでしょうか?私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では続いて森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。今回ご提示いただいた論点や考え方についていくつかコメントさせていただきます。まず資料8ページ目(評価指標の評価の観点と評価方法の考え方)に示されている考え方について異論はありませんが、企業指標は、導入当初の段階であれば、規模の小さな企業等への影響も配慮した上で、評価は必要な視点と考えます。

次に、資料13ページ目(評価指標1~4の個別項目を踏まえた企業評価方法・案)に示されている評価方法案についても異論ありません。

「評価時点から1年以内に製造販売する品目の医薬品医療機器等法違反に基づく行政処分の対象となった企業については、合計 点数によらず「A区分」とはしない」とあります。対応は妥当と考えますが、この対応によって安定供給への支障や、予期せぬ影響が出てしまうのかどうかは、厚生労働省として、その企業の動向をしっかりと注視していく必要があります。

次に、資料20ページ目(企業評価結果の薬価制度における取扱い)の考え方について異論ありません。「②」の「一部の医薬品に限定して」というところは、実際に対象を決める際には部会でもご説明いただき慎重に検討すべきものと考えます。

資料「薬―1」21ページ目に示されている論点についてです。企業評価を導入することについては賛成いたしますが、安定供給に支障を生じている中、これ以上、安定供給に支障をきたさないよう配慮して運用することが必要だと考えます。

本来全ての項目に基づき評価を行うべきと考えますが、令和6年度薬価改定では、企業側の準備期間が必要であること、薬価の乖離状況については赤字構造を満たす価格設定をしていなくても、乖離率が一定値を超えることも考えられ、対象とする評価項目を慎重に検討すべきと考えます。

また、今の段階では様々な規模の企業が後発品の供給を担っています。導入当初の段階であれば、企業規模等により大きな優劣がつかないような配慮も必要だと考えます。また、企業評価結果の薬価制度における取り扱いは後発品の収載時、改定時の価格のところで活用することが良いと思いますが、収載時の薬価での活用は、後発品のビジネスモデルから企業への影響が大きく、一部の評価項目から開始するという試行的な導入という点から影響が大きいものに、最初に活用することは難しいと考えます。

そのため業界からの要望事項でもある。改正時の薬価への試行的な導入を検討することも必要と考えます。

次に資料32ページ目(後発品産業における少量多品目構造の解消に関する論点)に示されている後発品産業における少量多品目構造の解消の論点についてですが、少量多品目の解消という点では、資料31ページ目(新規後発品の乖離率分布(R 2 . 6月、R 3 . 6月、R 4 . 6月収載品目)にあるように、同時に収載される品目が多いほど乖離率が高い傾向にあります。品目数の規定を見直すことも一つの方法と考えます。

いわゆる安売りして逃げてしまう企業への対応は重要な視点だというふうに考えております。また、安定供給に配慮した上で、生産品目を減らし、例えば余剰生産能力を高めることや、そうしたことから不足品の生産を行った企業の評価を行うことも評価の視点と考えます。

最後に、少量多品目構造の解消のためには大きく、薬価、薬事、流通、産業、業界のこの五つの視点が重要で、関係団体の動向なども含めて横断的に関係者が議論して方向性の整合性をとりつつ、厚生労働省が主体的に改革していくものと考えますので、関係部局と連携して対応をお願いしたいというふうに思っています。このような企業手法による評価の導入についてどのように考えているのか、どう取り組んでいくのか。最後に専門委員からご意見をいただければと思います。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご質問ご意見ありますでしょうか。はい、松本委員お願いします。

松本委員:はい、ありがとうございます。それでは安定供給確保という企業の考え方に関する論点でございますけども、企業指標を試行的に導入することについて異論はございません。その上で4点ほどコメントしたいと思います。

前回の議論でも申し上げましたけれども、こうした指標が全てセットで評価して初めてバランスが取れるという基本認識を持っています。一部のみ先行して評価することを議論する前に、資料7ページ(後発品企業における対応状況)には、準備に時間がかかるという項目への対応状況を見ますと、未公表が多いものもあれば少ないものもございます。これも公表できないのか、公表したくないのか、ということもあろうかと思います。

こうしたものが出揃うのが、いつ頃になりそうなのか、あるいはいつごろを目指しているのか、今現段階で見通しを持ち出せば教えていただきたいというのが一つ目でございます。

続きまして資料13ページ(評価指標1~4の個別項目を踏まえた企業評価方法・案)の評価方法案でございますけども、行政処分を受けた企業を「A区分」にしないのは少なくとも必要でございますけども、例えば法令違反をした企業が他を満たしていれば、一般的な取り組み状況の「B区分」になるのかどうか、もしそうであれば少し疑問を持たざるを得ないというふうに思います。安定供給にも影響いたしますので、その点については慎重に判断させていただきたいと思います。

また資料11ページ(評価指標3「製造販売する後発品の供給実績」の評価の観点と評価方法)の評価指標のうち、出荷量に着目した評価である「④」や「⑤」については、企業にとっては市場シェアの拡大による増収というメリットがあることを踏まえますと、適切な評価方法を検討すべきと考えております。いずれにいたしましても、業界のヒアリング、あるいはシミュレーションの結果を踏まえまして改めて判断させていただきたいというふうに思います。

続きまして「後発品産業における少量多品目構造の解消に関する論点」です。競合メーカーが多い成分で、収載直後に大きく値下げすることを踏まえますと、現行は10品目超となっている品目数の要件と、先発品の4掛けとなっている収載時の算定方法について、より厳格化する余地があるではないかと考えております。

具体的な対応につきましては直近の薬価調査の結果を踏まえまして判断したいというふうに思います。私からは以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。先ほどおっしゃったデータに関する松本委員のご質問というのは、これは事務局に対してということでしょうか?それとも、専門委員に対してということでしょうか? 

松本委員:これは事務局かというふうに考えます。

安川部会長:その点について事務局の方でご回答をいただけるようでしたらお願いいたします。

薬剤管理官:はい薬剤管理官でございます。いただいたご質問に関してですが、現在は先ほどご指摘いただいた資料にありますように、企業によっては情報公表の程度に差があるという状況でございますが、今回企業指標を導入することで安定供給に必要な情報を可視化できるよう、各企業の情報公表を促していくということをしております。

公開すべき情報提供の内容や判断基準等は先ほどご説明しました通り、現在研究班で整理しておりまして、今年度中に示す予定です。これを受け、企業における準備期間を設け、来年度前半のできる限り早いうちに企業による公表を開始したいと考えております。

令和6年度薬価改定では一部の項目のみで評価するということで提案しているとこでございますが、次の薬価改定では情報公開された内容に基づき評価できるように、関係部署と連携をとりながら進めていきたいと考えております。

このあたりの進捗状況は中医協で後発品の薬価の議論をする際に適宜報告させていただきたいと考えているところころでございます。以上です。

安川部会長:はい、松本委員よろしいでしょうか? 

松本委員:ありがとうございました。

安川部会長:他にご意見ご質問等ありますでしょうか? では、眞田委員お願いします。

眞田委員:はい。はいよろしくお願いします。資料21ページの「安定供給が確保できる企業の考え方に関する論点」に関して1点申し述べたいと思います。企業指標の導入およびその評価については、各評価指標の項目ごとの加点のあり方、減点のあり方、双方の重みづけのあり方、並びにその最終的な企業評価の方法については、今後示されるシミュレーション結果を踏まえて、慎重に検討する必要があると思います。以上でございます。

安川部会長:はい。ありがとうございました。他にご意見、ご質問等ありますでしょうか?先ほど森委員から専門委員にもご意見を承るようにというご指摘がございましたが、専門委員からご意見ありますでしょうか?

石牟禮専門委員:はい、ありがとうございます。専門委員の石牟禮でございます。ただいま森委員から企業指標に関する受け止めについて意見を求められたと認識しております。

まずその前に、後発品の法令違反を始め、供給不安の状況について、患者様、医療現場の皆様に深くお詫び申し上げる次第でございます。後発品に限らず先発品その他医薬品を含め全体でなかなか見えない需要に対して少しでも近づけるように増産や供給の工夫を行っているというところをぜひご理解を賜れば幸いでございます。

その中で今回の後発医薬品の企業指標および少量多品目生産の構造の解消に向けて示された論点につきまして、産業構造のあり方に関する検討会でも議論されているところでございますし、薬価、薬事制度以外にも網羅的に検討されていくものと認識しております。

今後、長期安定供給を継続するといった企業構造に変化させていくためには、私としてもぜひ必要なものというふうに認識をしておりまして、ぜひ考え方や論点の方向に沿って進めていただきたいというふうに考えております。

特に企業評価につきましては、品質が確保された後発品を安定供給できる企業を見える化することにより、その企業が市場から評価され、結果的に優位になるというところを目指していると認識をしております。安定供給体制や供給状況に関する情報、緊急時の対応などを公開するなど、企業に求められる基準につきまして、高評価となる企業が薬価上でも評価されるということによって、企業にとりましては経営の安定化等にもつながるものと考えております。

こういった指標を用いた評価、活用につきましては、本年7月の意見陳述で業界代表から医薬品のカテゴリに応じた薬価制度の構築を目指すというスライドが示されております。高品質の後発品の安定供給により国民の健康維持と負担軽減に貢献しうる仕組みの一つとなるというふうに思いますし、同じく7月の意見陳述でジェネリック製薬協会会長より、「十分な製造能力を維持できない企業を撤退していかざるを得ない。一方、各企業の特性を生かして、役割分担を行い、安定供給を実現していく」という考えも示されたことでございまして、こういった考えを後押しするものにつながるというふうに確信をしております。

したがいまして、特に資料21ページ(安定供給が確保できる企業の考え方に関する論点)に記載されておりますように、まず早期に企業行動の変化を促すためにも、試行的に評価可能な指標から導入していただき、指標や薬価制度における影響とともに、企業の変化につきましても検証しながら進めていただきたいと考えております。以上でございます。

安川部会長:はい、ご意見ありがとうございました。それではその他、ご意見ご質問等ありますでしょうか? では森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございました。指標を用いた評価を考えてみれば、評価されるように取り組むわけではないですよね。ある意味ではここで上がる評価の指標というのは求められて“当たり前”のことだと思います。改めて企業の変化ということを(専門委員が)発言されておりましたけれども、改めてその評価で何が求められているのかを意識して取り組んでいただくことによって、長期的な安定供給に結びつくものだというふうに考えております。私から以上です。

安川部会長:ありがとうございます。その他いかがでございましょうか? 特にご質問をこれ以上ないようでございましたら、本件に係る質疑はこのあたりとし、事務局におかれましては、本日頂戴したご意見を踏まえてご対応いただきますよう、お願いをいたします。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局よりご連絡いたしますので、よろしくお願いします。それでは本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

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