【中医協薬価専門部会 7月9日 議事要旨 令和8年度薬価改定 関係業界からの意見聴取について】
公開日時 2025/07/10 04:50
中医協薬価専門部会が7月9日に開かれ、「令和8年度薬価改定をめぐり関係業界から意見聴取し、その後、ディスカッションを行った。本誌は、関係団体の意見聴取後に行った質疑での発言内容を議事要旨として公開する。
(意見陳述者一覧)
・日本製薬団体連合会 会長 安川 健司氏
・日本ジェネリック製薬協会 会長 川俣 知己氏
・日本製薬工業協会 会長 宮柱 明日香氏
・米国研究製薬工業協会 在日執行委員会 委員長 シモーネ・トムセン氏
・欧州製薬団体連合会 会長 岩屋 孝彦氏
・再生医療イノベーションフォーラム 副会長 廣瀬 徹氏
・日本バイオシミラー協議会 会長 島田 博史氏
・日本バイオテク協議会 会長 森 敬太氏
・日本医薬品卸売業連合会 会長 宮田 浩美氏
(関係団体からの意見陳述は略)
城山部会長:これより質疑およびフリーディスカッションに移りたいと思います。なお質問は日本語でお願いできればと思います。どなたからでも結構です。いかがでしょうか?はい長島委員お願いします。
長島委員:ありがとうございます。次期薬価改定に向けた各団体からのご意見ありがとうございました。これまでのご意見を踏襲した一貫性の強いものが多いように受けとめました。
さて、前回の薬価改定、そして中間年改定において、医薬品の安定供給やイノベーションを理由として、業界が要望され、それを踏まえて、一定の評価がなされました。その結果、現在までに安定供給やイノベーションに対してどのように対応してきて、どのような状況になっているのか。先ほどのご意見の中でも一定程度含まれておりましたけれども、改めて業界の立場として整理して教えてください。
その際、薬価専門部会でありますので、薬価の評価による効果との関係を明確にするとともに、公的医療保険制度の一部である薬価に基づく対応と、産業政策など薬価以外の方法に基づく対応はきちんと切り分けた上で教えていただきたいと思います。
もう1点質問いたします。資料「薬―7」の再生医療等製品の価格算定に対する意見の「③」に「早期患者アクセスのため、条件及び期限付承認された再⽣医療等製品の公的医療保険適用の継続」があります。この「継続」の大前提となるのが、条件および期限付き承認制度の信頼であります。この信頼が揺らぐような事象も最近起こっておりますが、業界として、この継続の前提である信頼を保つために、どのような取り組みをなされているのか教えてください。私からは以上です。
城山部会長: はい、どうもありがとうございました。いま2点質問をいただきました。最初の方は状況整理と何で対応するかということですけれども、いかがでしょうか?安川様お願いします。
安川・日薬連会長:製薬協の宮柱会長から現行で我々が持っているデータについてご説明させていただきました。ご要望は承りまして、我々は調査を続けていきたいと思います。それはお約束いたします。
途中で薬価が改定されて条件は良くなったわけですけれども、過去において既にドラッグ・ロスやラグになっている品目はかなりありまして、過去にそうなってしまったものは特許切れが間近に迫っているものもございます。そういうものについては、これからフェーズ3をやって再度申請をやっていると、企業としては特許期間で当初回収できる期間が大変短くなっている品目も多数ございます。今後調査を続けてもそういう過去においてドラッグ・ロス/ラグになっているようなものの改善は見られないかもしれません。そういう予測は申し上げられると思います。調査を続けましてデータを開示できるように努めてまいります。
城山部会長:まず一点目ですがよろしいでしょうか?
長島委員:はい、よろしくお願いいたします。
城山部会長:宮柱様よろしくお願いします。
宮柱・製薬協会長: 安川会長の方からもありましたが、先ほど私のプレゼンテーションでご紹介した通り、24年度薬価制度改革は企業として各団体として前向きに捉えております。また、今回データとしてお示しできたところは非常に私どももポジティブにそして嬉しく思います。
ここに関して言うと安川会長がおっしゃった通り、今後のドラッグ・ラグ/ロスをさらに拡大をさせないというところが非常に重要と考えますので、その辺りは数年かけて効果を見ていくべきと考えております。また、イノベーションの評価についてご質問があったかと思いますが、特に24年度薬価制度改革において、その開発決定に結びついたものとして我々が把握している限りではございますが、やはり前向きに捉えて開発決定に至った事例として、特に迅速導入加算であったり、小児加算の拡充が多かったと感じております。
これは先ほど申し上げた通り、ドラッグ・ラグ/ロスの問題にも大きく関わってくるところでございますし、またアンメット・メディカルニーズの高い小児分野等に企業が投資、そして開発を検討する前向きな動きになっているというふうに感じております。以上でございます。
城山部会長:はい、長島委員、何か追加的にございますか?
長島委員:もし他の団体から回答があるようでしたら、それを踏まえて最後にもう一度コメントさせてください。
城山部会長:はい、PhRMAからどうぞ。
トムセン・PhRMA在日執行委員会委員長:明らかなトレンドが見られておりますのは、このように加算の基準が新しくなったことで、製薬企業に開発意欲を与えられ、開発を進めようという気になったわけであります。特に2024会計年度に薬価制度に改善が見られたということで、3分の2の会員企業が新たな開発を開始しようということを決めました。開発サイクルは非常に長期にかかるわけですが、この1年だけでも少し良い傾向が見られたということは大きな達成だと思います。
例えば今までの開発をさらに迅速化する、それから迅速に申請する、そして新しい新薬の開発に着手する。これは特に小児分野ですが、そういったところが重要だったと思います。24年度薬価制度改革において良い決定をいただいたおかげで新しい開発が進んでいくという前向きな兆候が見られたということについて御礼申し上げます。
城山部会長:他の方々いかがでしょうか? 川俣様よろしくお願いします。
川俣・GE薬協会長:安定供給についてですが、令和6年度の不採算品再算定において一定程度の対応いただいたことについては非常にありがたく思っております。私どもの資料「薬―2」の2ページ目にありますように、不採算品再算定をいただいたことで、579品目の限定出荷から380品目に縮小しているということは、それなりのインセンティブになったというふうに考えております。
また令和7年度薬価改定におきまして、非常に大きな下支えを頂戴いたしました。まだ3か月しか経っておりませんが、これがさらに加速して限定出荷品目が減るというふうな形になることを期待しているものです。
我々としても不採算だから増産しないというつもりはありません。こういう形で下支えをいただいたということに対して、対応できるように取り組んでまいりたいと考えたところです。ありがとうございます。
城山部会長:はい、ありがとうございます。他いかがでしょうか?よろしいですか。そうしましたら長島委員よろしくお願いします
長島委員:ご回答ありがとうございました。以前にも繰り返し申し上げておりますけれども、貴重な医療財源を投入する以上、これまで行った薬価上の評価が具体的にどのような現象に結びついているか、これをやはり明らかにしていただかないと、次の評価はできないと考えておりますので、ぜひ資料の提供をお願いいたします。
城山部会長:それでは長島委員からあった2点目の質問ですけども、再生医療の点につきまして、いかがでしょうか?
廣瀬・再生医療イノベーションフォーラム副会長: 質問ありがとうございます。私ども再生医療イノベーションフォーラムといたしまして、どういうことができるかを検討しております。昨年2つの製品が本承認に至らなかったことは大変残念だと思っております。とともに実臨床において臨床的なエンドポイントを検証することの難しさを感じております。
あくまでも本承認を目指すという立場に立ったときに、どういう評価をどういうふうにしていったらいいのかということが大切になるというふうに考えております。昨年3月に公表されたガイダンスや評価指標を参考にして、PMDAとの協議や相談による製造販売後の承認条件評価計画の策定、それが重要であると認識しておりますので、業界内でそういった意識の浸透を図ってまいります。
また、2つの製品のうち1社はFIRM参加企業であります。今後に生かすためにも、どういうデザインで、どういう結果が出て、どこに改善点があるのかといったレッスンラウンドを既に取り組んでおります。
今後も行政と意見交換させていただき、よりよい制度に向けた課題の抽出や改善点などにも取り組んでいく所存です。我々としても、良い制度が維持できるよう業界団体として取り組んでいきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
城山部会長:はい、長島委員どうぞ。
長島委員:はい、ありがとうございます。早期患者アクセスという意味で極めて重要な制度でありますが、やはり期待した患者さんの願いを決して裏切らないように業界としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。私から以上です。
城山部会長:はい、ありがとうございました。次に森委員よろしくお願いします。
森委員:ありがとうございます。まずは各団体におかれましてご説明いただき、ありがとうございました。その上でいくつか質問をさせていただきたいと思います。
まず日本製薬団体連合会に対しての質問となります。必要な医薬品を国内で賄う体制を整えるということは経済安全保障の観点から重要だ。そのためには原薬の確保、国内での生産体制の構築と強化が必要というふうに考えますけれども、業界として、まず中長期的な視点での課題や要望等があれば教えていただきたいと思っております。
また薬価収載されている品目が約1万7000品目ありますけれども、必要とする患者さんがいる限り、生産を続けて続けることは必要かと思います。ただ、一定の役割を終えた医薬品で、生産が少量で代替がきく医薬品については学会等の意見を聞いた上で、成分整理も考えていくべきではないかというふうに思っております。この点が2点目です。
また成分整理をすることで、製薬企業、医薬品卸、医療機関、薬局の負担軽減がされ、サプライチェーン全体の機能強化、結果として国民への医薬品アクセス強化に繋がるのではないかというふうに考えております。
医療保険制度の持続可能性が問題となる中で、限られた医療資源を効率的に活用する観点から、業界から成分整理についての見解をいただきたいと考えます。
その際、重要なことですけど整理された成分の情報が失われてしまうことを防ぐために何らかの取り組みも併せて行う必要があると考えますが、この辺りについてもご意見をいただきたい。
また、現在の類似薬比較方式Ⅱの対象となった新薬についてですけども、新規性の乏しいものや、他の薬剤で代替できるもの等については、評価の見直しのみならず、薬価収載自体の可否についても検討すべきと思いますが、業界としてどのように考えているか教えていただければと思います。
城山部会長:はい、3点質問をいただきました。
安川・日薬連会長:1点目の安定供給、国内での製造体制の構築と強化について長中期的視点で要望・課題があるかという点につきましてお答えいたします。
一つは、医薬品の製造については、科学論文で書くと十何ステップもあるはずですけれども、そのうち重要なのは4つぐらい、3つ4つの成分を合成出発物質というふうに認定し、それをNDAの中に入れて、その品質を担保しますというとこから始めます。通常そのような合成出発物質は自社では作らず、化学会社におまかせして作っていただき、自社で最後の数工程を行う。あるいはその最後の数工程もコントラクトマニュファクチャリング、要するに製造業者に委託するような場合もございます。
大変大きな問題は、この合成出発物質を作ってくれる化学会社が既に日本にはないということです。ここは国策として、こういう会社を立ち上げていただく、あるいは支援していただくということは、まず一つ目の大きな課題であると思っております。
最後の合成のところも自社でやらないというふうに申し上げたい。これはやはり麻酔薬や抗菌薬、それから向精神薬など国際紛争が起きて供給が途絶えた途端に1か月、2か月後に日本の医療体制が麻痺するような状況は大変まずいと思います。なるべく国内でできるような経済的な措置、それから抗生剤なんかの発酵技術も工場を作ればすぐできるというものではなく、きちんとした技術移管、あるいはそこで働く方々の技術が向上しないと収率が上がらないものでございます。この辺は経済原理に任せるというより、国家戦略として産業政策を立てていただきたいと国にはお願いしたいと考えます。
それから国際紛争などはいつ起きるかわからないので、企業側の努力でできる在庫だけではなく、国あるいは地方自治体で必要な医薬品の在庫を持っていただくような措置も考えていただきたいと思っております。私も経団連の方の立場として、先だって同じようなお願いをしたところでございます。
2つ目の質問についてですが、役割を終えた医薬品あるいは少量生産で代替できる医薬品について整理したらいいかというご指摘ですが、コンセプトは賛成いたします。個社の事情もございますので、どの品目をどうするというようなところの議論はこの場では控えさせていただきますが、今後各ステークホルダーの皆様と丁寧な議論をさせていただければと考えます。もちろん情報等が失われるとか、経済的にペイしないからやめてしまうというような無責任があってはならないということは重々承知しております。
最後のご質問の類似薬効比較方式Ⅱにカテゴライズされたものの収載自体を考えてはいかがというご指摘ですけれども、企業は第3相試験に数百億円から1000億円以上の大きな投資を伴うものでございます。その投資は企業にとってチャンスでもあり、大きなリスクでもあるので、必ず規制当局やPMDAと会合を持ちまして、どのようなエンドポイントでどういうような差をつけてくれば承認をいたしますよ、という確約をいただいて、その結果は我々がリスクを生むわけですけども、これでちゃんとパラメーターでよければ承認しますよというお墨付きをいただいた後で投資に踏み切るというものでございます。その投資をした後に、カテゴリーになってしまって収載しないっていうのがあると、これはちょっと企業としては、許容しがたいリスクであると思います。やるのだったら、もっとこの後のお話ではなくて、前々から企業とそういうような対話の場が少なくともあって、企業が納得したリスクの上で、こういう措置に踏み切るかどうかという配慮は最低限必要であるというふうに私は考えます。以上でございます。
城山部会長:森委員どうぞ。
森委員:はい、ありがとうございます。最初の国内で賄う体制ですけど、長島委員の方からもありましたけど、まず産業政策としてしっかりとやっていくということと薬価とそれ以外をきちっと分けてどうしていくのかというのが必要かというふうに思っています。
それから最後のところですけど、真に新規性の高い医薬品の評価を充実していくっていうことを基本として考えていくべきではないかと思っております。
その上でちょっと次の質問にいってよろしいですか。すいません。次は新薬の評価に関係するところで、日薬連、製薬協、PhRMA、EFPIAへの質問となります。革新的新薬の価値が適切に反映されることとの意見がありますけども、革新的な新薬については基本的に原価計算方式で算定されるべきと考えております。原価計算方式についてコスト積み上げによって算出した価格だとなぜ価値に見合った薬価が算定されにくいか、理由や現行の仕組みの課題などを教えていただければと思います。移転価格の問題も一部言われていますけれども、ここに関して何回もこの問題が出ていますので、お考えがあれば教えていただければと思います。
安川・日薬連会長:まずは私から簡単に述べまして、その後、各団体から喋っていただこうと思います。製薬会社の研究開発投資は全世界の売上げの18%~20%、最近ではアメリカの会社では30%に近くなるような会社もございます。
全製造業の平均の研究開発費は4%弱でございますので、我々はハイテクと呼ばれるような他の産業の方々の4~5倍の比率の研究開発費用を投じているわけです。
この原価計算方式の最大の欠点は我々が巨額を投じて研究開発し、投資に対する配慮がうまくなされないというのが最大の欠点であるというふうに私は思っております。では各団体からどうぞ。
宮柱・製薬協会長:森委員ご質問ありがとうございます。今日のプレゼンテーションでもお示しした通り、新規モダリティ等の革新的新薬の価値をいかに適切に評価できる新たな仕組みを導入していくかっていうところをぜひ議論をさせていただいきたいと思います。ご質問にございました原価計算方式というものが、製造原価、流通経費そして営業利益などを積み上げて価格を算出するそもそもの方法であるというところから、いわゆるその医薬品を作るのにいくらかかっているかというようなものをベースに薬価を決める仕組みであるのが原価計算方式だと捉えております。
つまりは我々が申し上げております革新的な新薬の価値を測るイノベーションの適切な価値評価というものは含まれていないと考えております。原価計算方式で算定される革新的な医薬品のうち一定数とは思いますが、選定の際に具体的な要件をどうするかといったところはぜひ丁寧な議論をさせていただきたいと考えております。私からは以上です。
岩屋・EFPIA会長:安川会長と宮柱会長がおっしゃった通りですけれども、原価計算方式は本当に類似薬効比較方式が例えばすごく古い薬しか既存薬がないというときに画期的な新薬が出てきたときに参照する医薬品としてふさわしいかという議論の中で、原価を積み上げる方式でイノベーションを評価するということで導入されたと理解しております。
一方で原価そのものと、本来の価値の評価は1対1で繋がっているものではないと思っておりまして、その中で、どういう形で本来の医薬品の効果価値というものを評価することができるかが課題と思っています。
類似薬効比較方式で非常に大きな例えば加算をつける、ないしは海外との価格調整する等々によって価値の評価ができるということであれば、それも一つの考え方だと思いますが、現状の原価計算方式でしか価値が評価されない医薬品のケースもたくさんあると認識しております。それをどううまくマネージしていくかっていうのが課題なのかなというふうに思います。
トムセン・PhRMA在日執行委員会委員長:2年前も確か同じ質問なさったと記憶しておりますが、私ども業界は皆同じ見解を持っております。つまり類似薬効比較方式でありますがこれに関しまして、さらに拡充が必要だと考えております。重要な技術は日進月歩で進んでいます。そうした中で、原価計算方式では必ずしも追いつけないといいますか、その中でグローバルでの供給状況とか、そういったものがどんどん変わっているということを考えていくべきだと思います。
いまグローバルで研究開発や供給が進んでいる。委託業者も存在する。その中で我々に原価を開示せよとプッシュしていくことは難しい。そのあたりが非常に困難を伴っているという状況であります。これに対するアプローチとしては、やはり意味のある関連する類似薬効比較方式のさらなる拡充改善していくということではないかと思います。
新薬開発を加速化していく一つの解決策として、製薬協の宮柱会長がお話になったことと同じ意見ですけれども、やはり意味のある関連する追加的なクライテリア基準を設けていくということではないかと思います。
城山部会長:森委員いかがでしょうか?
森委員:はい、ありがとうございます。今回の意見陳述の中でも柔軟な類似薬の選定や類似薬の基準の拡大ということがありました。ただ、今後原価計算方式で適切な評価をどうすれば良いのかについて議論していかなければいけないんじゃないかと感じました。
ちょっと時間が押していますけど手短に次に行きたいと思います。次に日本ジェネリック製薬協会の意見となります。まずお願いは、先ほど不採算品再算定を受けた品目という話がありましたけれども、受けた品目だけではないのですが、受けた品目は必ず増産に繋がるようお願いをしたいと思っております。それが1点目でございます。
2点目ですけど資料「薬―2」の9ページのところで、後発品の使用率90%を見込んで、2029年までに、改善するということをお話されましたけれども、現場の感覚からするとかなり使用を進めていますので、使用率がもう少し高まると思っております。
そうした時に今の見込みですと数の上では満たされても本当に届くのかっていうのは少し懸念するところになります。
まずは安定確保医薬品など特に必須で、代替がきかない医薬品を優先して供給するなど、ある程度メリハリをつけた対応が必要だと思います。ご検討いただければというふうに思っております。
それから、これは意見です。今日は日本バイオシミラー協議会からの意見陳述が初めてだったと思うのですが、バイオシミラーへのお願いで重要なことは、バイオシミラーに関して供給に支障をきたしたときにバイオ先行品等で代替することが難しいということがあります。安定供給が前提となりますのでしっかりと安定供給できる体制をとっていただければというふうに思っています。
もう一点は今日お話をお伺いしてバイオAGがあっても必要な競争が行える薬価制度が必要ではないかと感じました。
最後に日本医薬品卸売業連合会(卸連)への質問となります。今後更なる安定供給の確保をお願いしたい。現在、過度な薬価差の偏在が課題となっていますけれども、一方で中小の薬局では薬価差がほとんど出ず、逆ザヤとなっている品目が増加しています。
そうした中で卸の重要な機能の一つである価格形成機能を発揮していただきたいと考えております。
また前回の中医協で厚労省より逆ザヤに関する調査を実施したいとの発言がありました。調査の実施の件も含めて、価格形成機能の発揮に対する業界の考えなどをお聞かせいただければと思います。
城山部会長:それでは最初に川俣様お願いします。
川俣・GE薬協会長:はい、ありがとうございます。不採算品再算定につきましては、優先的に増産に努められるよう協会としても通知したところでございます。その結果が反映できるような形にしてまいりたいというふうに考えております。
それから生産数量の件、需要の件ですが、こちらはこれまで個々の企業が自分たちの将来予測をした上で設備投資の予定を立てていました。これでは全体像を把握することができなかったということで、研究会の方でアンケート調査を行った結果でございます。
このデータを取りまとめるにあたって、ミニマム90%にいったとして、1.3%市場が伸びたとしてもまだ足りないということを示しているものであります。90%を超える、1.3%を超える市場成長が図られるようであれば、さらに足りなくなるというような危機感を持って情報提供をしたつもりです。我々もこの数量で収まるとは思っておりませんので、それが医療関係者の患者さんにとって好ましいのかどうかも含めて今後検証してまいりたいというふうに思っております。
城山部会長:続いて、バイオシミラーについて島田様お願いします。
島田・日本バイオシミラー協議会会長:バイオシミラーの安定供給についてお答えいたします。バイオシミラーにつきましては多くの原薬・製剤が輸入となっております。会員企業に安定供給の確保の試みについて2024年にアンケートを実施しました。原薬・製剤の積み増しの検討が7社、それから6社が国内での製剤化を検討しております。
厚生労働省におかれましても、バイオ後続品製造施設支援事業でご支援をいただいているところでございまして、引き続き、ご支援を賜ればと存じております。我々協議会でも安定供給は非常に重く考えております。
城山部会長:はい、続いて宮田様お願いします。
宮田・卸連会長:質問ありがとうございます。6月20日に流改懇が開かれまして、先ほどご指示いただいた薬価差の偏在等々については、データが示されておりますが、これについても継続的に我々としてデータを出しながら皆様方としっかり議論していきたいと思います。
薬価差については、やはり卸だけの話ではなくて、流通改善ガイドラインをしっかりと医療機関、保険薬局の皆様とも共有しながら、価格のあり方、安定供給に資する必要なコストを、しっかりと乗せていくということが必要であろうと考えておりますので、ぜひこの薬価差についてもしっかりと対応していきたいと思います。
足元では4月以降の逆ザヤというお話がございましたけれども、逆ザヤはメーカーの仕切価自体が自体が薬価である、あるいは仕切価がいわゆる本体薬価でこれは消費税を引いたもの。それからもう一つは調整幅を引いた仕切価と、大きくはこの3つに分類できます。
そこに卸の流通経費を乗せようとすると、薬価を超えてしまうという現状が、これは過去からもあったのですが、今年度は非常にあり、多分、森先生の方では、品目数が増えているのではないかということもあって、流改懇の中では、これは卸・メーカーも併せて調査していきましょうと。協力いただけますかということでございますので、厚労省の方と流改懇の方でしっかりと調査をしていくということに協力しながら、この中身を見ていきたいと思います。
卸連として意見陳述しているように、不採算取引があるというのは、まさにこういうものも不採算取引になっているという実態だとおもいます。それと8年連続の薬価改定によって20円未満の薬剤が50%を超えているような状況になっているっていうことで、非常にそういうものが実際の流通上コストを反映できるかっていうと、非常に厳しい状況があるということで、我々意見陳述をさせていただいている部分がございます。一つ一つ全て関連性がある一つのテーマだと認識しております。
まずは流通改善ガイドラインについて、厚労省の方で非常に細かく書き込んでいただいたガイドラインを周知徹底、実効性のあるものにしていくことが非常に重要だというふうに考えております。
ある意味、その不採算になっているものと、流通にかかるコストがどういう関係にあるのかを、これからデータをしっかり調査して、お示ししていきたい。そのように考えております。ぜひよろしくお願いいたします。
森委員:ありがとうございます。時間の関係もありますので、要望したことをしっかりお願いしたいのと、今の逆ザヤですけど、増えているというレベルの話ではない。中医協でも発言しましたけども、ある薬局が全部のデータを出してくれたのですけども、見積もりを出したときに20%が逆ザヤだったっていうことで、これは仮にこういう状況であれば医療機関・薬局も経営が立ち行かなくなる状況になっている。これはどういうことなのか。しっかり対応をお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。
城山部会長:はい、どうもありがとうございました。他にご質問ご意見いかがでしょうか?それでは松本委員お願いします。
松本委員:関係業界の方におかれましては、ご説明どうもありがとうございました。今日は皆様方の意見を頂戴する場ではございますけども、医療保険財政が限られており、今後、生産年齢人口の減少で、ますます財政が厳しくなるということは強く認識していただきたいということを改めて申し上げたいというふうに思います。
長島委員や森委員から意見が多数出ましたので、私からは一つのコメントと、一つ質問させていただきたいと思います。資料「薬-3」でございますけども、先ほど他の方もありましたけども、令和6年度にイノベーションの評価を重視したことで、意思変容だけでなく、治験にも着手する等の行動変容もあったたことを前向きに受け止めております。
次は質問でございます。資料「薬-4」でございますが、5ページに薬価制度改革に関するご提案(新薬創出等加算対象品の薬価維持)をいただいております。この中の左下に記載した新薬創出等加算に関する提案ですが、特許期間が満了した場合、具体的にどのような基準・指標で薬価を下げることを考えているのか、現段階で何かございましたら教えていただきたい。私から以上でございます。
城山部会長:はい、ありがとうございます。そうしましたら宮柱様よろしくお願いします。
宮柱・製薬協会長:はい、ご質問ありがとうございます。資料5ページ目のところの新薬創出等加算品における薬価維持のところだと思いますが、現時点で我々としては革新的新薬の特許期間中の薬価を維持すべきというところが提案でございます。
そこで特許期間が満了して後発品が収載される際には、現行制度と同様に薬価を一定程度引き下げることが前提であると考えております。具体的にどのぐらい下げるかというところに関しましては、今後詳細な議論を是非させていただきたいと考えております。
城山部会長:はい、松本委員いかがですか。
松本委員:はい、わかりました。現段階では具体的な提案があるわけではないということで、今後の議論ということで承知いたしました。ありがとうございました。
城山部会長:はい、ありがとうございました。それでは鳥潟委員お願いします。
鳥潟委員:ありがとうございます。私の方からは1点ご質問と1点ご要望お伝えしたいと思います。まずはご説明ありがとうございました。日本ジェネリック製薬協会の資料「薬―2」5ページ目の下の丸にある通り、「供給量を増やし供給不安の改善に努めている企業が、市場で適切に評価される」ことが私どもとしても重要だと考えております。そこで、そうした企業が評価され、もし供給量を増やしていない企業があるのであれば、評価されないというように、メリハリのある評価をするために、具体的に考えている制度改正などがありましたら教えていただきたいというのが質問です。
あと、要望ですけども、先ほども森委員からの意見もありましたが、資料「薬―2」の2ページ目の状況を見る限り、安定供給にはまだ程遠い状況だというふうに認識いたしました。
今回は品目ごとの状況の変化が示されていますが、不採算品再算定の「適用品」の供給量が増えているのか確認したいと思います。
また、事務局への要望になるかもしれませんが、可能であれば今後、不採算品再算定の適用品の供給量の変化についてわかる資料を提示いただきたいと考えております。以上です。
城山部会長:はい、どうもありがとうございました。まずご質問の部分で川俣様お願いします。
川俣・GE薬協会長:まず一つ目の、供給量を増やしている企業の評価については、現在の企業指標の取り組みというのがなされておりまして、現段階においてはA区分にカテゴライズされた企業の薬価上の優遇策というのをいただいております。各企業はそれを目指して、増産体制に取り組んでいるところでございます。
ただ、このA区分、B区分、C区分が公表されるのは来年度からですので、A区分の企業がどこにあって、そういう企業(の製品)を優先的に医療現場が選択していただける形になるのは来年度からになろうかと思います。
現段階ではA区分になるように、増産体制を十分図れるような取り組みをしている企業がより多くなることを私どもも期待しています
2つ目の選定品というのは?
鳥潟委員:不採算品再算定を適用して供給量を増やしているものを実質的に数量で見せていただきたいということです。
川俣・GE薬協会長:こちらについても先生方の指摘の中であったわけですが、私ども医薬品の製造団体として、採算性が悪いからやめたい、採算性が良いから増産したいというような、そういうことだけで企業が成り立つとは思っておりません。不採算のものであっても、少量のものであっても必要な医薬品というのは供給するからこそ、我々の存在意義が発揮できると考えております。
その中でもやはり順番というのがございまして、より収益性の高いものを優先的に増産する気持ちを否定できるものではなかったというのがこれまでの現状だったと思います。
今後においても不採算品再算定の対象となった「適用品」については、優先的に増産できるような取り組みをしてまいりたいと思いますし、企業指標がより高いレベルに上がっていくことを期待しているところです。
城山部会長:今の2点目というのは数量を示して欲しいっていうことですね。
鳥潟委員:もう少し具体的なものを知りたいというところなので、ぜひお願いしたい。
城山部会長:そこは業界として可能であればやっていただきたいということですね。鳥潟委員は事務局の方で場合によってお願いしたいとうことだったようですが。
鳥潟委員:可能であれば事務局の方で。
城山部会長:事務局の方から何かレスポンスございますか。
事務局:薬剤管理官でございます。ご指摘ありがとうございます。事務局として業界と相談して、どのような数字の整理ができるか検討して参りたいと思います。
城山部会長:はい、どうもありがとうございます。他にご意見ご質問いかがでしょうか? それでは奥田委員よろしくお願いします。
奥田委員:各団体からご説明どうもありがとうございました。先ほど松本委員からも触れられましたけれども資料「薬―3」の製薬協、PhRMA、EFPIAからの報告を見ますと、昨年のヒアリングの際の報告と比べて医薬品開発促進の動きがより具体的に表れているというふうに思います。
2024年度の薬価制度の見直しが、メーカーの行動変容に一定程度つながっていると受け止めることができました。今回の報告結果も踏まえて、従来から私が申し上げておりますけれども、国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立させる薬価上の適切な評価に向けて次期薬価改定において、この中医協でも議論をしていくことが重要であると改めて認識いたしました。
今回報告いただいた開発動向については、この中医協の場にとどまらず、広く国民に周知するとともに、新薬開発が進んでいることによる国民の安心感の醸成であるとか、経済的負担への納得感、そういったものに繋げていくことが重要ではないかなというふうに思いました。私からは以上です。
城山部会長:ご意見ということでよろしいですか。他はいかがでしょうか? 佐保委員お願いします。
佐保委員:ありがとうございます。各関係業界の皆様ご説明ありがとうございました。患者・被保険者の立場からも、医薬品の安定供給は重要と考えておりますので、その観点から日本ジェネリック製薬協会、日本医薬品卸売業連合会に1件ずつ質問をさせていただきます。
まず、日本ジェネリック製薬協会についての質問です。資料「薬-2」7ページに、安定供給責任者会議について供給不安の事象解決ワーキングチームの立ち上げなどを記載されておりますが、供給不安の解消に向けてどれくらいのスピード感で取り組まれていくのか、今後のスケジュールなどいただけますでしょうか?
次に日本医薬品卸売業連合会への質問でございます。資料「薬-10」の11ページに現場の状況について記載がありますが、6月2日に開催された第39回流改懇の資料から、流通改善についてのアンケート調査を拝見いたしました。このアンケートから、一定程度の流通改善は進んでいるように見受けられますが、そのことと価格転嫁との関係はどうなのか。現場の状況など補足いただければと思います。私からの質問は以上でございます。
城山部会長:それではまず川俣様お願いします。
川俣・GE薬協会長:はい、ありがとうございます。安定供給責任者会議におきましては、これまで公正取引委員会との関係性があって、なかなか実施できなかったものを一つ一つ解きほぐして、できることを取り組んでまいりました。
特に限定出荷につきましては過剰に欠品を心配して、過剰に限定出荷している品目を洗い出し、限定出荷を解除してもいいのではないかというお話をさせていただき、それから同一成分においても、限定出荷している企業と、してない企業にばらつきがあることが判明しております。そうした限定出荷をしていない企業をご紹介していくということについても、医療現場の皆様には役立つ取り組みではないかなというふうに考えております。
今後、供給体制管理責任者の設置が義務付けられるような形で法制化されるような形になるわけですが、その前段階として我々が取り組むべきことというのを先駆けて対応しているところでございます。
城山部会長:それでは続いて宮田様お願いします。
宮田・卸連会長:ご質問ありがとうございます。流通改善が進んでいるかということで、流改懇の資料の話でございますが、非常に今回の流通改善ガイドラインは改訂版が細かく流通改善の実効性を上げるような形で書き込んでいただいている中で、単品単価交渉が進んできた。また別枠品というカテゴリーを得てもらった部分については、8割が単品単価交渉になっている。
ただ、形態別にまだまだ課題はある。流通改善が進んでいく中で、出荷調整等々の需給調整はあまり改善がしない。現場感としては非常に大きいものがございます。したがいまして、この流通改善の推進、あるいは実効性をどういうふうに進捗していくのかっていうのは、我々も経過的に毎年これはデータとして出していく必要があるだろうと思います。
いろいろな価格交渉のあり方が実際にある中で、単品単価がどういう形で進んでいくのかということもしっかりと掴んでおく必要があると、そのように認識をしております。
それから価格転嫁の話ですが、非常に卸売事業の方から流通コストを転嫁するっていうことが非常に難しいというのは、これは民民の取引の中で価格を決めていくということがあって、先ほど逆ザヤの話もありましたように、メーカーからの仕入れ価が、この3年間だけ見てもジェネリックだけで見れば2%以上あがっている。こういった状況。あるいはメーカー別に見ても10%上がっているとか、品目によっては非常に大きな形で仕切価が上がってるものがございますので、こういったものを先ほど説明した通り、調査し、どういう状況なのかっていうことを医療機関、保険薬局の皆様、それから卸、製薬メーカーも含めて流通当事者としてしっかり把握する必要があるのではないかと思う。こういったことができないと流通の卸の方だけでこれをかぶるというか、不採算取引を続けていくっていうのは持続可能な流通を担保するものではありません。ぜひこの点はしっかりと進めていきたいと、そのように考えております。
城山部会長:佐保委員いかがでしょうか?
佐保委員:ご回答いただきましてありがとうございました。日本ジェネリック製薬協会、日本医薬品卸売業連合会の皆様も、また次回アリングの際などで状況など詳しいことがわかるようでしたら報告いただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
城山部会長: よろしいでしょうか?
江澤委員:一点だけ。バイオシミラー協議会に質問です。資料「薬-9」7ページのところに資料が出ていますけれども、実際にこういった事例、これに類似したような実例があったのかどうか。その下に市場で競争できると書いてありますが、患者さんと医師の診察の場でバイオシミラーの選択が決まると思うのですけれども、どういったプロモーション等を考えているか。その2点を教えていただければと思います。
城山部会長:はい。島田様よろしくお願いします。
島田・日本バイオシミラー協議会会長:ご質問ありがとうございます。現在日本におけるバイオAGにつきましては2社ありまして、1社のみ薬価収載している状況です。他の1社は製造承認を申請、承認は取得している段階でございます。
今日ご紹介したのはその2つの事例でございます。今回ご提案しましたバイオAGがあってもバイオシミラーの市場が育つような薬価制度ということなんですが、これは2017年に当協会がステートメントを出しております。
それ以降、各ステークホルダー様ともディスカッションしているんですが、現在当協会として明確な回答を持ち合わせてない状況でございます。できましたら今後ステークホルダーの皆様からのお知恵をいただきながら検討していただきたいというのが主張でございますので、ぜひともそういう機会いただければというふうに思っている次第でございます。
城山部会長:江澤委員どうぞ。
江澤委員:ということはバイオAGの申請が増えてくると、今のバイオシミラー市場に大きく影響するというご認識ですか。
島田・日本バイオシミラー協議会会長:少しご説明させていただきますと、バイオシミラーは上市のときに先行品と同等、同質性を確認した後に上市されます。バイオAGの場合は一般名が同じでございますので、成分名は一緒、バイオシミラーは異なりますので、市場に参入した場合にやはり少し異なるのではないかという疑念を持たれる場合には、やはりバイオAGを好んで選択される場合が多くなるというふうに危惧しております。その辺をやっぱり検討していただきたいなというのが業界としての立場です。
江澤委員:了解しました。ありがとうございます。
城山部会長:はい、ありがとうございました。他いかがでしょうか?よろしいでしょうか?ご意見ご質問も出尽くしたと思いますので関係業界からの意見陳述についてはここまでとさせていただきます。今後事務局において本日いただいたご意見も踏まえてご対応いただくようにお願いをしたいと思います。本日の議題は以上です次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたします。それでは本日の薬価専門部会はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。