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エーザイ・内藤CEO レカネマブ上市で「パイオニアとして新たな診断・治療パラダイムを切り拓く」

公開日時 2023/12/15 04:51
アルツハイマー病治療薬・レカネマブ(製品名:レケンビ)の薬価収載が中医協で了承されたことを受けて、エーザイの内藤晴夫代表取締役CEOは12月13日会見に臨み、「我々は、アルツハイマー病研究のパイオニアとして再び、新たな診断・治療パラダイムを切り拓く役割を担う」と意気込みを語った。アルツハイマー病の診断・治療体系は確立されておらず、「ゼロから1を興す取り組みになる」との見解を表明。かかりつけ医が専門医へと紹介し、投与後にARIAマネジメントを行う、“最短・最適の診断・治療パスウェイ”を「最優先」で構築する考えを示した。

◎「船が最も早く、最も安全に目的地に近づくことができる能力を我々は有している」

「アルツハイマー病の海図、船の航路のチャートのようなものを海流がどう流れていて、どこが深くてどこに浅瀬があるか。世界の製薬企業の中でエーザイが最も詳細なアルツハイマー病の海図を有しているのではないか。船が最も早く、最も安全に目的地に近づくことができる能力を我々は有している。それが、レケンビの成功につながったのではないか」-。内藤CEOは、アリセプトの発売から24年を経たレケンビの収載を迎え、こう話した。アルツハイマー病治療薬の開発中止などを振り返り、「多くの失敗を繰り返したことは、内心忸怩たるものがある。それらがなければレケンビの成功もなかったのではないか。改めて創薬の道のりをしみじみとかみしめている」と語った。

◎最短・最適な治療パスウェイ構築へ 医療・介護従事者との「連携」に力

同剤の浸透に向けて、カギを握るのが、診断・治療パスウェイの構築だ。かかりつけ医から専門医への紹介、投与を判断する診断に加え、投与後にも重大な副作用として知られるアミロイド関連画像異常(ARIA)のマネジメントまでのフローを確立する必要がある。

内藤CEOは、「医療従事者(医師、薬剤師、看護師、臨床心理士、放射線技師、医療事務関係者)と介護者による、当事者にとっての最短・最適の診断・治療パスウェイ構築についての課題の共有、その解決への連携が極めて重要であると認識してる。ステークホルダーズと連携して最優先でこれらに取り組む」と話す。

課題の一つとして、投与を判断するための診断がある。アミロイドPETおよび脳脊髄液検査(CSF)によりアミロイドβ(Aβ)を確認することが求められる。ただ、PETの撮像認証取得施設は現状84施設にとどまる。今年末までに100施設超にまで増加する見通しという。内藤CEOは、「地域や医療圏で施設間連携を進めることにより、Aβ検査を実施する体制が構築されてきており、診断体制はさらに進捗する見通し」と話す。PET検査が行き届かない地域では、CSFを含めた検査手技の浸透やPET検査の医療連携体制構築を進め、環境を整備する考えだ。最適使用推進ガイドラインでは、認知症診療に関する十分な知識と経験を持つ専門医を責任者として配置することなどを求めており、現段階で要件を満たすのは、同社によると1000施設程度という。

血液バイオマーカーによる診断が確立されることで、今後診断のできる施設が増加することも期待されており、こうした技術革新も踏まえた環境整備を進める考えだ。

◎ジェネラルMR600人が連携体制構築に向けた情報提供に注力

情報提供活動でも、かかりつけ医と専門医との連携を含め、診断・治療のパスウェイ構築や施設間の連携体制構築に力を入れる。ジェネラルMR約600人がこうした情報提供活動を進めており、すでに約1万8000人の医療従事者に情報提供を行っているという。各地域における診療連携体制構築を企図した講演会なども開催しているという。また、認知症領域の専門MR42人に加え、バイオジェン・ジャパンの専門MR15人を加え、専門医への情報提供活動を進める。

◎「当事者のQALYの増加、医療介護コストの減少で、日本社会に貢献」

同剤の薬価は、200mgバイアルで4万5777円、500mgバイアルで11万4443円。体重50kgの人では、年間約298万円、高額療養費制度を利用した場合の自己負担額は 70才以上、年収156~370万円のケースでは年間上限14万4000円。45%の有用性加算でイノベーションが評価された。ただ、同社は臨床的効果に加え、介護負担の軽減効果があるとして、“Value Based Pricing”を提案してきたが、薬価算定時には認められなかった。

内藤CEOは、疾患シミュレーションモデルを用いた日本社会における投与当事者一人当たりの価値(インパクト)が年間約468万円との研究を引き合いに、「今回の薬価基準は我々が算定したレケンビがもたらす価値の約半分をパブリックステークホルダーズ(当事者、家族、介護者、医療従事者、支払者、政府)へ還元し、残った半分をプライベート ステークホルダーズであるエーザイの従業員と株主に正味売上高(薬価から消費税、流通経費を減じたもの)として割り振る結果となっている」と説明。「当事者のQALY(質調整生存年)の増加、医療介護コストの減少で、日本社会にアルツハイマー病の改善を通じてしっかり貢献することが可能だと考えている」と表明した。

「最適使用推進ガイドラインや全例調査の厳格な市場導入における要件をしっかりと満たし対応すること、レケンビに続く認知症の新薬を開発すること、自治体や他産業との連携を通じ安心・安全なコミュニティ造り、すなわち共生社会を造っていくことに役立てたい」と話した。最適使用推進ガイドラインや全例調査については、「相応のリソースを割り振る必要がある。施設数が下回ることが想定される。ビジネス展開では、緊張したマネジメントが必要になるのではないかと考えている」とも述べた。

介護費用の取り扱いについては、費用対効果評価の枠組みでの議論が継続される。内藤CEOは、公的分析との間で活用する疾患モデルが異なることから、WTP(Wilingness to Pay)の閾値に開きがあるとの認識を表明。英国での議論を引き合いに、「どのWTPを用いるのか、かなり多くの議論をさせていただければと思っている。民間ももっと入れていただいて、活発に議論させていただければありがたい」と述べた。

◎画期性加算の要件について「検討望まれる」

薬価については画期性加算が認められず不服申し立てを行ったことも説明した。画期性加算の取得には3要件(イ:新規作用機序、口:既存薬・既存治療に比した高い有効性・安全性、ハ:治療方法の改善)の全てを満たす必要がある。内藤CEOは、「レケンビの臨床試験はプラセボ対照比較試験であったため、既存薬・既存治療と直接比較して高い有効性・安全性を評価したデータがないと判断されたものと理解している。しかし、アルツハイマー病の病理に作用する新規作用機序医薬品である本剤に、適切な既存薬はなく、臨床試験を行うことは困難だ」として、「既存薬・既存治療に比した高い有効性・安全性(要件ロ)」について「今後検討されることが望まれる」と指摘した。

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