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VEGF阻害薬の「重大な副作用」に「動脈乖離」を追記 添付文書改訂

公開日時 2024/02/16 04:49
レンビマなどVEGF経路の阻害作用を有する薬剤の「重大な副作用」に「動脈乖離」を追記するなど、15成分の添付文書が改訂された。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が2月15日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。この中には抗てんかん薬・トピラマート(一般名)について、「特定の背景を有する患者に関する注意」に「生殖能を有する者」の項を新設し、妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者に十分に説明する旨の注意などが追記された。

添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。

トピラマート(製品名:トピナ錠、同細粒、協和キリン 等)
改訂概要:「特定の背景を有する患者に関する注意」に「生殖能を有する者」の項を新設し、妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者に十分に説明する旨の注意を追記する。

「特定の背景を有する患者に関する注意」の「妊婦」の項に以下の2点を追記する。
1)妊娠中に本剤を使用する場合、又は本剤を使用中に妊娠した場合は、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者に十分に説明する旨の注意
2)妊娠中に本剤を投与された患者より出生した児は、神経発達症(自閉スペクトラム症、知的発達症及び注意欠如・多動症)の発症に関連する可能性がある旨の注意

改定理由:妊娠中の本剤曝露による児の神経発達症に関する海外疫学調査文献を評価した。当該文献及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、海外観察研究(JAMA Neurol.2022;79:672-681、JAMA Neurol.2023;80:568-577)において、妊娠中に本剤を投与された患者より出生した児における神経発達症の発症の可能性が示唆されたことを踏まえ、神経発達症(自閉スペクトラム症、知的発達症及び注意欠如・多動症)の発症に関する注意、及び既に注意喚起済みの奇形に関する注意も含め、本剤投与により出生した児に生じるリスクについて患者へ十分に説明する旨の注意が必要であることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

〈血管内皮細胞増殖因子(VEGF)経路の阻害作用を有する薬剤〉
1.アキシチニブ(製品名:インライタ錠、ファイザー)
2.アフリベルセプト ベータ(製品名:ザルトラップ点滴静注、サノフィ
3.スニチニブリンゴ酸塩(製品名:スーテントカプセル、ファイザー)
4.ソラフェニブトシル酸塩(製品名:ネクサバール錠、バイエル薬品)
5.パゾパニブ塩酸塩(製品名:ヴォトリエント錠、ノバルティス ファーマ)
6.バンデタニブ(製品名:カプレルサ錠、サノフィ)
7.ラムシルマブ(製品名:サイラムザ点滴静注液、日本イーライリリー)
8.レゴラフェニブ水和物(製品名:スチバーガ錠、バイエル薬品)
9.レンバチニブメシル酸塩(製品名:レンビマカプセル、エーザイ)
10.カボザンチニブリンゴ酸塩(製品名:カボメティクス錠、武田薬品)
11.ポナチニブ塩酸塩(製品名:アイクルシグ錠、大塚製薬)
12.ニンテダニブエタンスルホン酸塩(製品名:オフェブカプセル、日本ベーリンガーインゲルハイム)

改訂概要:「副作用」の「重大な副作用」の項に「動脈乖離」を追記する。

改定理由:VEGF又はVEGF受容体の阻害作用を有する薬剤(VEGF/VEGFR阻害剤)の動脈解離のリスクに関するレセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた調査結果、VEGF/VEGFR阻害剤の薬理学的機序等を踏まえ、動脈解離はVEGF/VEGFR阻害剤に共通のリスクであると判断した。上述の機構見解の適切性及び動脈解離に係る安全対策措置の必要性について、専門委員の意見も聴取した結果、VEGF/VEGFR阻害剤の使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

リネゾリド(製品名:ザイボックス錠、同注射液、ファイザー 等)
改訂概要:「副作用」の「重大な副作用」の項に「横紋筋融解症」を追記する。

改訂理由:横紋筋融解症関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と横紋筋融解症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

横紋筋融解症関連症例の集積状況:リネゾリドと事象との因果関係が否定できない国内症例1例(うち死亡0例)、海外症例5例(うち死亡0例)。

イトラコナゾール(製品名:イトリゾールカプセル、同内用液、ヤンセンファーマ、等)
改訂概要:「副作用」の「重大な副作用」の項に「偽アルドステロン症」を追記する。

改訂理由:偽アルドステロン症関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と偽アルドステロン症との因果関係の否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

偽アルドステロン症関連症例の集積状況:イトラコナゾールと事象との因果関係が否定できない国内症例1例(うち死亡0例)、海外症例4例(うち死亡0例)。

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