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新薬18成分 5月22日収載へ 8成分で24年度改革のイノベーション評価 アジンマに迅速導入加算

公開日時 2024/05/16 04:47
中医協総会は5月15日、新薬18成分22品目の薬価収載を了承した。収載日は5月22日。イノベーション評価が充実された24年度薬価制度改革により8成分で加算率の引上げなどが行われ、このうち武田薬品の先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬・アジンマ静注用は新設された「迅速導入加算」が適用された。同加算の適用は4月収載のアレクシオンファーマのボイデヤ錠に次ぐ2剤目となる。また、5製品でピーク時売上予想が100億円以上だった。

今回の薬価収載予定品のうち、24年度薬価制度改革によって加算率が引き上げられたり、新たに加算がつくなどしたものは、▽慢性心不全の小児用製剤・エンレスト粒状錠小児用(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティス ファーマ)、▽多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎等の小児用製剤・オルミエント錠1mg(バリシチニブ、日本イーライリリー)、▽気管支喘息の小児用製剤・ファセンラ皮下注10mgシリンジ(ベンラリズマブ、アストラゼネカ)、▽先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬・アジンマ静注用(アパダムターゼ アルファ/シナキサダムダーゼ アルファ、武田薬品)、▽脳内Aβプラークの可視化を目的としたPET画像検査用の放射性診断薬・アミヴィッド静注(フロルベタピル(18F)、PDRファーマ)、▽小児のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒及び小児を含む結節性痒疹の治療薬・ミチーガ皮下注用30mgバイアル(ネモリズマブ、マルホ)、▽シスチン症治療薬・シスタドロップス点眼液(システアミン塩酸塩、ヴィアトリス製薬)、▽自己免疫性肺胞蛋白症治療薬・サルグマリン吸入用(サルグラモスチム、ノーベルファーマ)――となる(投与経路・薬効分類順)。

アジンマは、成人と小児を同時開発したことや、国際共同治験を実施したことなどを踏まえ、小児加算の加算率は15%とこれまでより大きく評価した。また、新設された迅速導入加算の要件を満たしたため、加算率5%を適用した。ただ、欧米よりも遅い申請、承認であったので10%にはしなかった。

◎小児加算率引上げ エンレスト粒状錠、オルミエント錠1mg、ファセンラ皮下注10mgでも

小児加算では、エンレスト粒状錠、オルミエント錠1mg、ファセンラ皮下注10mgの3成分も加算率が引き上げられた。

エンレスト粒状錠小児用の加算率は20%となった。国際共同治験で開発され、慢性心不全という臨床試験が難しい領域で日本人患者の組み入れも十分行われていることや、成人と小児の開発が概ね同時期であったことから、加算率がこれまでより大きくついた。

オルミエント錠1mgの加算率は15%で、国際共同治験で開発されていることや、欧州の承認から大きく遅れていないことなどからこれまでより評価が厚くなった。

ファセンラ皮下注10mgの加算率は15%。小児の中でも小さい6歳以上の患者を対象に国際共同治験を実施したことや、小児の用法用量は日本が初承認であったことなどから、加算率をこれまでより大きく評価した。

ミチーガ皮下注用30mgは、小児加算が適用された品目も新薬創出等加算に該当するとの新ルールが適用された。

◎アミヴィッドとシスタドロップス 有用性系加算に追加された評価項目に該当、ポイント獲得

アミヴィッドとシスタドロップスは、有用性系加算に新たに追加された評価項目(評価ポイント)に該当すると判断され、加算率の算出にプラスに働いた。

アミヴィッドは、放射性医薬品の半減期の関係で配送先ごとに充填量を調整する製剤で、有用性系加算で新設された評価項目の「創薬及び製造のプロセスが類似薬等と大きく異なる」(①-d)に該当すると判断され、加算率に用いられる評価ポイント(1p)が加わった。

シスタドロップスは、治療薬がなかった状況で、臨床試験の副次評価項目で目のまぶしさを感じる羞明スコアにおいて改善傾向が示された。これにより有用性系加算で新設された評価項目の「臨床試験での重要な副次的評価項目において既存の治療方法に比べた改善が示される」(③-f)に該当すると判断され、評価ポイント(1p)が加わった。

◎サルグマリン 市場性加算の加算率アップも原価開示度50%未満で加算ゼロに

サルグマリンは市場性加算の加算率が15%となった。対象疾患である肺胞蛋白症は指定難病で患者数が少なく、日本における承認が世界初であったことなどから、加算率でこれまでより大きく評価した。サルグマリンは画期性加算(A=75%)も適用されたが、製造原価開示度50%未満ということで加算ゼロとなり、薬価に加算分は反映されなかった。

なお、原価計算方式で算定されたが、製造原価開示度50%未満で加算ゼロとなった製品は、サルグマリンと、高リスク急性骨髄性白血病治療薬・ビキセオス配合静注用(ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン、日本新薬)の2成分あった。

◎ピーク時売上予想100億円以上に5製品 200億円以上なし

今回の薬価収載予定品のうちピーク時売上予想が100億円以上の製品は、▽RSウイルス感染症予防薬・ベイフォータス筋注(ニルセビマブ、アストラゼネカ、179億円)、▽再発・難治の多発性骨髄腫治療薬・エルレフィオ皮下注(エルラナタマブ、ファイザー、165億円)、▽CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん治療薬・ビロイ点滴静注用(ゾルベツキシマブ、アステラス製薬、145億円)、▽皮下投与の抗補体C5リサイクリング抗体・ピアスカイ注(クロバリマブ、中外製薬、105億円)、▽乳がんに対するAKT阻害薬・トルカプ錠(カピバセルチブ、アストラゼネカ、103億円)――の5製品で、200億円を超える製品はなかった。

5月22日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。

エンレスト粒状錠小児用12.5mg、同31.25mg(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ)
薬効分類:219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:慢性心不全
薬価:12.5mg1個 21.40円(1日薬価:214.00円)
         31.25mg1個 45.10円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数616人、販売金額3800万円

加算:小児加算(A=20%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は20%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ネプリライシン阻害薬サクビトリルとARBバルサルタンを含有するアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)。今回、慢性心不全の小児用量の追加及び粒状錠が追加された。

オルミエント錠1mg(バリシチニブ、日本イーライリリー)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:▽既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、アトピー性皮膚炎 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、▽SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)、▽円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)
薬価:1mg1錠 1356.80円(1日薬価:1356.80円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数241人、販売金額1.2億円

加算:小児加算(A=15%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。本邦における承認は欧州と比べて大きく遅れていないこと等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

JAK阻害薬として多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(pJIA)の適応取得はオリミエントが初めて。若年性特発性関節炎(JIA)は、16歳未満で発症する6週間以上持続する原因不明の関節炎と定義される自己免疫疾患であり、小児期リウマチ性疾患に分類される。

pJIAの用法・用量は「通常、2歳以上の患者には体重に応じバリシチニブとして以下の投与量を1日1回経口投与する。・30kg以上:通常、4mgとし、患者の状態に応じて2mgに減量すること。・30kg未満:通常、2mgとし、患者の状態に応じて1mgに減量すること」となる。

また、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の効能・効果を持つ経口投与のJAK阻害薬には、リンヴォック錠とサイバインコ錠もあり、いずれも小児の用法・用量が設定されているが、オルミエントは「2歳以上」、リンヴォックは「12歳以上かつ体重30kg以上」、サイバインコは「12歳以上」での設定となっている。

なお、今回収載される新規格の1mg錠には、これまでの全ての適応が付く。

レズロック錠200mg(ベルモスジルメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
薬価:200mg1錠 3万525.90円(1日薬価:3万525.90)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数364人、販売金額22億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は選択的ROCK2阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

選択的ROCK2阻害薬。免疫細胞の分化と組織の線維化に関与するリン酸化酵素であるROCK2を選択的に阻害する。免疫調整作用と抗線維化作用を発揮し、慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)に奏効することが期待されている。本剤は慢性GVHDに対する初のROCK2阻害薬。

トルカプ錠160mg、同錠200mg(カピバセルチブ、アストラゼネカ)
薬効分類:429その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳がん
薬価:160mg1錠 9263.50円
         200mg1錠 1万1244.30円(1日薬価:2万5701.30円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数1.9千人、販売金額103億円

加算:有用性加算(I)(A=35%):「本剤はAKT阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床試験において、フルベストラント単独群に対して、フルベストラントに本剤を上乗せした群で有効性が示されたこと等から、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)

ファーストインクラスのAKT阻害剤。対象疾患であるHR陽性乳がんは、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの65%以上がHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられている。また、PIK3CA、AKT1およびPTENの変異は頻繁に起こり、HR陽性進行乳がん患者の最大50%に認められるという。

ファセンラ皮下注10mgシリンジ(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:229その他の呼吸器官用薬(注射薬)
効能・効果:気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
薬価:10mg0.5mL1筒 13万4121円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数72人、販売金額4300万円

加算:小児加算(A=15%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

抗IL-5受容体α抗体。今回追加された小児の用法・用量は、▽12歳以上の小児、▽体重35kg以上の6歳以上12歳未満の小児――は既承認の成人の用法・用量と同じ。体重35kg未満の6歳以上12歳未満の小児に対しては、1回10mgを初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射して用いる。

日本で重症喘息に対する生物学的製剤には、ファセンラのほか、抗IgE抗体・ゾレアや抗IL-5抗体・ヌーカラ、抗IL-4/13受容体抗体デュピクセントがある。ゾレアは小児も含めた投与量換算表が設定されている。ヌーカラは「①6歳以上12歳未満②12歳以上の小児」、デュピクセントは「12歳以上の小児」の用法・用量が設定されている。

アジンマ静注用500(アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、武田薬品)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬(注射薬)
効能・効果:先天性血栓性血小板減少性紫斑病
薬価:1500国際単位1瓶(溶解液付) 121万2026円(1日薬価:84万8418円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数76人、販売金額33億円

加算:
有用性加算(I)(A=40%):「本剤は対象疾患の治療におけるはじめての遺伝子組換えvWF切断酵素(ADAMTS13)であり、「血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023」において対象疾患における治療の第一選択として、ADAMTS13の補充を目的とした新鮮凍結人血漿製剤の輸注が推奨されていること、新鮮凍結人血漿製剤の投与と比べて、より少量、かつ、短い時間での投与となって患者負担の軽減につながることから、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=15%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。小児日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」
迅速導入加算(A=5%):「本剤は国際共同治験により開発され、優先審査の対象であり、かつ本邦における承認申請及び承認は欧米において最も早い承認申請及び承認から6か月以内であることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

遺伝子組換えADAMTS13補充療法薬。欠損または欠乏したADAMTS13酵素を補充することによって、標準治療を改善し、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者のアンメットメディカルニーズに応える新しい治療選択肢として期待されている。

TTPは、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)による血小板の接着および凝集に関連した、致死的かつ稀な血栓性微小血管症の一種。TTPは先天性TTP(cTTP)と後天性TTP(iTTP)に大別される。

エルレフィオ皮下注44mg、同皮下注76mg(エルラナタマブ(遺伝子組換え)、ファイザー)
薬効分類:429その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
薬価:44mg1.1mL1瓶 55万8501円
         76mg1.9mL1瓶 95万7222円(1日薬価:13万6746円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数714人、販売金額165億円

加算:
有用性加算(II)(A=10%):「臨床試験において再発又は難治性多発性骨髄腫患者における有効性が検証された等、治療方法の改善に該当すること、また、海外の診療ガイドラインにおいて標準的治療法として推奨されていることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当する(H1)

抗BCMA/CD3二重特異性抗体製剤。皮下投与であり、静脈内投与よりも高い利便性を有している。なお、承認申請は、国際共同第2相MagnetisMM-3試験の結果等に基づく。同試験には、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬および抗CD38抗体の少なくとも3クラスの治療薬を含む多くの前治療歴がある患者が参加した。

ビキセオス配合静注用(ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン、日本新薬)
薬効分類:429その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:高リスク急性骨髄性白血病
薬価:(144mg)1瓶 87万7877円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数314人、販売金額20億円

加算:
有用性加算(I)(A=45%):「本剤と強力化学療法(ダウノルビシン・シタラビン併用療法)とを直接比較した臨床試験において、主要評価項目とされたOSについて、対照群に対する本剤群の優越性が検証されたこと、また、既存治療に比して治療日数の短縮等が期待できること等から、有用性加算(I)(A=45%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。ただし、本邦における承認が欧米の承認から一定の期間が経過していることを踏まえ、限定的な評価とし、10%とすることが適当と判断した」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

若年者(65歳未満)急性骨髄性白血病(AML)に対する標準的寛解導入療法はアントラサイクリン+標準量シタラビンである。ビキセオスは、アントラサイクリン系薬剤のダウノルビシンとピリミジン系代謝拮抗薬シタラビンを5:1のモル比で配合したリポソーム製剤で、白血病細胞に取り込まれ、細胞内でリポソームが分解されて有効成分を放出し、薬効を発揮する。用法・用量は寛解導入療法と地固め療法で設定されている。

ビロイ点滴静注用100mg(ゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)、アステラス製薬)
薬効分類:429その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん
薬価:100mg1瓶 5万4502円(1日薬価:2万3358円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数3.6千人、販売金額145億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、CLDN18.2に選択的に結合し、ADCC活性及びCDC活性を惹起する新規作用機序医薬品であると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)

ファーストインクラスの抗Claudin 18.2抗体。承認申請は、第3相SPOTLIGHT試験(mFOLFOX6療法との併用療法)およびGLOW試験(CAPOX療法との併用療法)の結果に基づき行われた。両試験において、スクリーニングされた患者の約38%が、免疫組織化学染色において腫瘍細胞の75%以上で中等度から強度の染色強度を示し、Claudin 18.2陽性と判定された。

アキュミン静注(フルシクロビン(18F)、日本メジフィジックス)
薬効分類:430放射性医薬品(注射薬)
効能・効果:「初発の悪性神経膠腫を疑う患者における腫瘍の可視化。ただし、磁気共鳴コンピューター断層撮影検査による腫瘍摘出計画時における腫瘍摘出範囲の決定の補助に用いる」
薬価:185MBq1瓶 34万4867円
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数1.5千人、販売金額5.3億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「悪性神経膠腫の腫瘍の摘出範囲の決定において、本剤を用いることで摘出範囲の情報を上乗せできる点が評価されているから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

放射性フッ素で標識されたフルシクロビンを有効成分とするPETトレーサー。同剤はアミノ酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれる。腫瘍細胞などでは正常細胞よりもアミノ酸代謝が亢進していることからアミノ酸がより多く取り込まれることを利用して、同剤を用いたPET検査により腫瘍の可視化が可能となる。日本脳神経外科学会から早期承認の要望書が提出されていたもの。

アミヴィッド静注(370MBq1瓶)(フロルベタピル(18F)、PDRファーマ)
薬効分類:430 放射性医薬品(注射薬)
効能・効果:「アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」
薬価:370MBq1瓶 18万4203円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数6.0千人、販売金額11億円

加算:有用性加算(II)(A=10%):「ヒト脳内のアミロイドベータプラークを可視化する既収載品はなく、また、アルツハイマー型認知症の診断においては、バイオマーカーとして脳内のアミロイドベータの蓄積が重視されていること、出荷先に応じて本剤の製造時点での封入量を調節するプロセスは既収載の放射性医薬品にはないことから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

脳内Aβプラークの可視化を目的としたPET画像検査用の放射性診断薬。早期アルツハイマー病治療薬・レケンビ点滴静注(一般名:レカネマブ)の診断補助にかかわる効能となる。

用法・用量は、「フロルベタピル(18F)として370MBqを静脈内投与し、投与30分後から50分後までに撮像を開始する。撮像時間は10分間とする」

ビザミル静注(185MBq1瓶)(フルテメタモル(18F)、日本メジフィジックス)
薬効分類:430 放射性医薬品(注射薬)
効能・効果:「アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」
薬価:185MBq1瓶 19万6481円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.1万人、販売金額41億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「ヒト脳内のアミロイドベータプラークを可視化する既収載品はなく、また、アルツハイマー型認知症の診断においては、バイオマーカーとして脳内のアミロイドベータの蓄積が重視されていることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

脳内Aβプラークの可視化を目的としたPET画像検査用の放射性診断薬。早期アルツハイマー病治療薬・レケンビ点滴静注(一般名:レカネマブ)の診断補助にかかわる効能となる。

用法・用量は、「通常、本剤1バイアル(120~370MBq)を静脈内投与し、投与後60~120分に撮像を開始する」

ミチーガ皮下注用30mgバイアル(ネモリズマブ(遺伝子組換え)、マルホ)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な下記疾患、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒、結節性痒疹
薬価:30mg1瓶 6万7112円(1日薬価:2397円)
市場予測(6年後):投与患者数6.7千人、販売金額44億円

加算:小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能を有する既収載品が存在していること等を考慮すると、加算率は5%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

抗IL-31受容体A抗体。22年3月に「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒」の効能・効果で承認されており、成人及び13歳以上の小児に対する用法・用量が設定されている。今回追加された小児用量は「通常、6歳以上13歳未満の小児には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与する」。

新効能となる結節性痒疹は、慢性痒疹の一病型であり、そう痒を伴う暗褐色で角化性の硬いドーム状又はいぼ状の結節性皮膚病変が四肢を主体に分布する難治性の皮膚疾患。その用法・用量は「通常、成人及び13歳以上の小児には初回に60 mgを皮下投与し、以降1回30 mg を4週間の間隔で皮下投与する」。

ベイフォータス筋注50mgシリンジ、同筋注100mgシリンジ(ニルセビマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:625 抗ウイルス剤(注射薬)
効能・効果:①生後初回又は2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRS ウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制、②生後初回のRSウイルス感染流行期の①以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防(効能②は保険対象外)

薬価:50mg0.5mL1筒 45万9147円(1シーズン薬価:45万9147円)
         100mg1mL1筒 90万602円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数2.4万人、販売金額179億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、類薬であるパリビズマブ(遺伝子組換え)と比較して、投与頻度を低減できること等ことから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=10%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は10%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

生後初回のRSウイルス感染流行期の幅広い乳幼児に予防効果を示すようにデザインされた抗RSウイルス抗体。RSウイルス感染症の発症を抑制する医薬品として、抗RSウイルス抗体・シナジス筋注液が承認されているものの、投与対象者が早産児や先天性心疾患、免疫不全症等を有する新生児及び乳幼児等に限定されている。

オビザー静注用500(スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、武田薬品)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:後天性血友病A患者における出血抑制
薬価:500単位1瓶(溶解液付) 26万8509円
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数5人、販売金額7400万円

加算:
有用性加算(II)(A=10%):「本剤は、ブタ血液凝固第Ⅷ因子の構造を一部改変したことで、自己抗体の影響を受けず、直接的にFVIIIとして作用を発揮することから有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。ただし、本邦における承認が欧米の承認から一定の期間が経過していることを踏まえ、限定的な評価とし、10%とすること適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII 因子製剤。後天性血友病Aに対して現在、主にバイパス製剤が使用されているが、オビザーは直接第VIII因子を補充するもの。

ピアスカイ注340mg(クロバリマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症
薬価:340mg2mL1瓶 197万8062円(1日薬価:14万1290円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数203人、販売金額105億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、補体阻害剤の治療歴のある患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験も実施し、有効性が確認されていることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=10%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示された初めてのC5阻害剤であること等から、加算の要件に該当する。18歳未満の日本人症例の組み入れがなかったこと等から、加算率は10%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

皮下投与の抗補体C5リサイクリング抗体。一般的な抗体では、抗原に1回しか結合することができないのに対し、本剤は繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量で持続的な補体阻害が可能となる。維持期は4週に1回の投与間隔となる。

シスタドロップス点眼液0.38%(システアミン塩酸塩、ヴィアトリス製薬)
薬効分類:131 眼科用剤(外用薬)
効能・効果:シスチン症における角膜シスチン結晶の減少
薬価:0.38%5mL1瓶 25万6095.50円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数26人、販売金額3.5億円

加算:
有用性加算(II)(A=15%):「本剤は既存の治療方法がなかった対象疾病に対し、症状の改善に寄与すること、標準治療法として位置づけられると考えられること、副次評価項目である羞明スコアにおいて改善傾向が示されていることから、有用性加算(II)(A=15%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

本剤は点眼投与でライソゾームに蓄積するシスチンと反応し、細胞内シスチン濃度を低下させるもの。

シスチン症は希少な先天代謝異常症。ライソゾーム膜上でシスチン輸送を担うシスチノシンをコードする遺伝子の変異により、腎、眼球、骨髄など全身のライソゾーム内にシスチンが沈着し、結晶となって臓器障害を生じる。

サルグマリン吸入用250µg(サルグラモスチム(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(外用薬)
効能・効果:自己免疫性肺胞蛋白症
薬価:250μg1瓶 4万2359.10円
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数88人、販売金額4.2億円

加算:
画期性加算(A=75%):「本剤は既存のコロニー刺激因子製剤と異なり肺胞で作用を発現すること、標準治療と異なり現時点では安全性上の重大な懸念は示されていないこと等から、画期性加算(A=75%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=15%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

対象疾患である自己免疫性肺胞蛋白症は、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子に対する自己抗体の過剰な産生により肺胞内に不溶性の物質が蓄積することで、呼吸不全が引き起こされる指定難病。
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