デロイト インターシステムズと医療情報統合プラットフォーム「HospitalLake」提供へ 医療DXを推進
公開日時 2024/10/17 04:50
デロイトトーマツコンサルティング合同会社とインターシステムズジャパンは、医療機関のDXを推進する医療情報統合プラットフォーム「HospitalLake」のサービス提供を10月から開始した。電子カルテや院内の部門情報、医療機器などの医療データを情報統合基盤に保存することでデータの効果的利用に貢献する。蓄積したデータは、生成AIモデルや分析ツールなど各種アプリケーションを活用することも可能になるため、医療従事者のワークフロー改革を通じた業務効率化やサイバーセキュリティなど医療DXの推進が期待できる。
◎「医療DXが目指す効果の一つは“時間創出”であり、ワークフロー改革が必要だ」
「医療DXが目指す効果の一つは“時間創出”であり、院内のワークフロー改革が必要だ。患者の価値に着目し、複数の部門に跨ってワークフローを再構成する必要がある」-。10月16日にオンラインで開催した「第5回InterSystemes医療×ITセミナー」でデロイトトーマツコンサルティング合同会社Life Science & Haelthcare Unitの北原雄高ディレクターは、こう強調した。
◎電子カルテ、部門システム情報、医療機器、IoT機器などの効果的な利活用に貢献
デロイトはインターシステムズの医療データプラットフォーム「InterSystems IRIS for Health」を基盤にした「HospitalLake」をAWSクラウド上に構築する。その上で、病院のDX支援サービス「Hospital Managed Service」と「HospitalLake」を連携させ、従来異なるシステムごとに保存されていた電子カルテ、部門システム情報、各種医療機器、IoT機器など医療データの効果的な利活用が可能となる。
◎DX推進による医療機関の価値提供実現へ
医療情報統合基盤に蓄積したデータは、生成AIモデルや経営ダッシュボードなど分析ツールを各種アプリケーションで活用できる。また、APIを提供し、医療機関や他企業で開発したアプリケーションでの利用も可能となる。さらに、「HospitalLake」はAWSクラウド上のプラットフォームとして展開されることから、医療機関は自院の負担が少なく常に最新のデータ利活用環境にアクセスすることが可能となる。また、得られたデータを活用して、院内のワークフローの改善やデータ活用プロセスの構築、ITアセットマネジメント、サーバーセキュリティとして運用するほか、財務・資金調達計画や人財育成・派遣などの戦略にも応用させ、医療機関におけるDX推進による価値提供などを実現したい考えだ。
◎デロイト・北原ディレクター「余白時間を捻出して経営の生産性向上につなげる」
デロイトトーマツコンサルティング合同会社の北原ディレクターは、「医療DXを目指す効果の一つとして“時間創出”がある。患者の視点に立つと求めるタイミングで求められる医療を受けることができる」と述べ、「これは医療従事者の観点で、そこに応じたワークフローの再構築が求められてくる。医療従事者は余白時間を捻出して経営の生産性向上につなげながら次の投資余力の引き上げや患者のロイヤリティの向上に貢献する」と強調。「誰もが共感する“時間創出”という価値観を実現するワークフローの改革を打ち出すことで、医療現場の医療DXが進めやすくなるのではないか」との認識を披露した。
◎宮越シニアマネジャー「医療機関側はワークフローの変革に注力できる」
デロイトトーマツコンサルティング合同会社Engineering Unitの宮越弘樹シニアマネジャーは、「HospitalLake」の機能として、①API連携基盤、②統合データ基盤、③管理機能―で構成されると説明。医療機関とはデロイトのクラウドサービスにプライベートネットワークで接続するため、「医療機関側はワークフローの変革に注力できる」と強調。加えて、HospitalLakeを経由して、他のヘルステック企業が提供するソリューションも利用できるとし、蓄積したノウハウやナレッジを永続化することも可能とした。