アルム “動く診療所 ”Join Medical Clinic本格導入 大谷Co-CEO「医療ニーズにテクノロジーで応える」
公開日時 2025/04/08 04:52

ディー・エヌ・エー子会社のアルムが開発した統合型遠隔医療支援ソリューション「Join Mobile Clinic」(JMC)の運用が始まった。JMCは、離島・採掘場・船上といった医療アクセスが必ずしも容易ではない自然災害や新興感染症、紛争や戦争など未曾有の事態が起こった際に迅速に医療インフラを整えることのできる医療ICTソリューション。国際医療NGO「ジャパンハート」の国内外拠点での導入が決まった。本誌取材に応じたアルムの大谷駿明代表取締役Co-CEOは、「デジタルの力で医療を届けるというニーズに我々のテクノロジーで応えていきたい」と述べた。
アルムは医療関係者間のコミュニケーションアプリ「Join」など医療ICTソリューションを手掛ける。JMCは、Joinを搭載したスマートフォンと、X線撮影装置や超音波装置など各種軽量ポータブル医療機器と連携した診療記録システム「JoinNotePad」で構成される。搭載する医療機器は導入先の医療ニーズや使用頻度などに応じてカスタマイズすることも可能だという。

JMCの特徴の一つがシーンを選ばない“動く診療所”として活用できる点だ。専用スーツケースで持ち運びができ、場所を選ばずに質の高い医療の提供を可能にすることが期待される。大谷代表取締役は、「JMC自体は高度なトレーニングを必要とせず、機器の扱いがわかれば使うことができる。導入される国や地域の規制に則った上で、基礎的な診断から遠隔医療の利点を生かして専門医の診断につなぐこともできる」と強調した。
◎国際医療NGO・ジャパンハート 全国5カ所の災害支援活動拠点など国内外で導入
初の本格導入となるジャパンハートでは、災害支援活動の拠点となる全国5カ所(東京、大阪、富山、岡山、佐賀)にそれぞれ導入。海外ではミャンマー、カンボジア、ラオスの医療格差がある地域での医療支援に活用していくという。ジャパンハートの吉岡春菜理事長(小児科医)は「医療機器を使って正確な情報を得ながら診断や治療につなげることができるという点で非常に心強い。国内外で私たちの理念である『医療の届かないところに医療を届ける』活動をより力強く進めることができるようになる」と期待を込めた。