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BeiGene 安達社長 25年は「ブルキンザとテビムブラの新薬2剤に注力」MR増員 社員倍増200人体制へ

公開日時 2025/04/22 04:52
BeiGene Japan合同会社の安達進社長は本誌インタビューに応じ、同社の日本での事業戦略について語った。2025年は、3月から自販を開始したBTK阻害剤・ブルキンザ(ザヌブルチニブ)と、同じく3月に食道がんで製造販売承認を取得し、薬価収載が待たれる抗PD-1モノクローナル抗体・テビムブラ(チスレリズマブ)の2剤の市場浸透に注力する方針を明言。これに伴い従業員数は現在の100人強から25年中に200人規模に増強する。MRや開発要員など様々なポジションを採用すると明かした。さらに、グローバルの社名を今年中に「BeOne Medicines Ltd.」に変更する。安達社長は、「単にアクセスが良いだけでなく、手の届く価格で多くの国に医薬品を届けたい」というビジョンを“ユニークな手法”で日本市場でも叶えたいと意気込んだ。

BeiGeneは2010年にJohn V. Oyler 氏(現会長兼CEO)と、Xiaodong Wang博士(現科学諮問委員会委員長)の2人の共同創設者によりがん領域特化型企業として設立された。創業からわずか15年で世界70か国超に同社の革新的新薬を供給し、従業員数も世界全体で1万1000人を超えた。2024年度のグローバル売上高は前年比55%増の38億ドル(約5671億円)。うち26億ドルをBTK阻害剤・ブルキンザが占める。一方、注目すべきは、様々なモダリティを網羅した新薬開発数の多さだ。23年時点の開発パイプライン(P1~P3)は、世界1位のファイザーが106、6位の武田薬品が65だったのに対し、BeiGeneは47で、同数のアムジェンと肩を並べている。

◎ユニークなビジネスモデル 臨床開発は“CROフリー”で内製化を実現 コスト最大30%削減

安達社長は、「グローバルの従業員1万1000人に対し、研究開発チームは1100人以上で自社開発品が非常に多い」と強調。加えて、同社のユニークなビジネスモデルとして、「世界規模の臨床開発体制を“CROフリー”を徹底することで内製化を実現した。その結果、臨床開発コストを業界平均に比べて最大30%削減することができた」と明かしてくれた。さらに、「国際共同治験の症例登録も、欧米に加えて、アジアやオーストラリアの患者組み入れを行っている」と述べたほか、毒性試験からFirst in Human(FIH)までの期間を10か月程度にまで短縮するなど、コストの優位性に加えてスピードの優位性でも業界の常識を塗り替える試みにチャレンジしていると語ってくれた。

◎BTK阻害剤・ブルキンザ 米国承認から「5年ギャップ」も製品力で乗り切れる

日本での事業は、会社登記が2020年。安達社長も22年8月に入社する。初期のミッションは同社主力品のBTK阻害剤・ブルキンザの国内承認申請に向けた準備。厚労省への申請から承認手続きを経て、24年12月に薬事承認され、薬価収載を経て3月19日に国内で初めて未治療および再発・難治性の慢性リンパ性⽩⾎病(⼩リンパ球性リンパ腫を含む)、未治療および再発・難治性の原発性マクログロブリン⾎症およびリンパ形質細胞リンパ腫の適応症の承認を同時に取得したBTK阻害剤として発売した。ただし、同剤は2019年には米FDAで承認済の薬剤。安達社長は、「5年のギャップがあった」と振り返りながらも、欧米に遅れることなく、「日本がグローバル試験に参加する形を目指して頑張りたい」と意欲を示した。

また、ブルキンザの強みとして、BTK阻害剤同士の比較試験の結果がすでに公表されており、「実はBeigeneという社名を聞いたことがない医師も、多くが薬剤名を知っている」と述べ、少数のMRであっても情報提供活動に影響はさほど大きくないとの認識を語ってくれた。

◎抗PD-1モノクローナル抗体・テビムブラ 食道がん領域でのポテンシャル確保へ意欲

また、日本市場導入2剤目となる根治切除不能な進行・再発の食道がんを適応とする抗PD-1モノクローナル抗体・テビムブラについて安達社長は、「我々の薬は構造的に改変を行い、従来のマクロファージの貪食を抑えたりできる。この構造上の違い、基礎的な違いなどを専門医にちゃんと正しく伝えることができれば、ある程度の位置を確立できると思う」と強調した。なお、現在の食道がん市場は、オプジーボとキイトルーダの2剤が存在感を放っている。安達社長は同剤の市場ポテンシャルについて、「食道がん市場のPD-1全体の売上げは300億円程度。この先、順調に伸びると300億円台後半から400億円近くまで成長すると想定している。その中で、テビムブラについてもナンバー1に成長させていきたい」と強調した。また、胃がんの適応についても、現在申請準備中になっていると明かした。

◎MR活動「医師とのコンタクト数だけを追っかけることはしない」

安達社長は社内体制の整備について、「現在の従業員数100人強を、25年中に200人にする」と述べ、社内でセールス・イノベイターと呼称しているMRについても増員する方針を明らかにした。また、同社オリジンの開発パイプラインについて、日本での製造承認申請が見込まれることから開発要員の増強にも動きく考え。安達社長は、「いま1人、2人でやっているファンクションもある。ほぼ全てのポジションはこれから増員する」と述べた。

また同社のMR活動についても触れ、「医師とのコンタクト数だけを追っかけるというようなことはしない。しっかりアポを取って、1日3人でもしっかり医師と会えたら、その方がMRもやる気が出せると思う」と強調。MRの営業車はハイブリッドの4輪駆動車を用意していると述べ、その背景として、「他社に比べてMR数が少なく、MR一人当たりのカバーエリアが広い。加えて、自動車事故や地震、悪天候など自然災害への対応も考慮し、安全対策の意味を込めたものだ」と話してくれた。

◎新社名「BeOne」への変更 “One”は患者、医療者とワンチーム オンコへの想いも込める

このほか社名変更についても聞いた。すでに同社は、「Beigene」から「BeOne」に変更する方針を打ち出している。安達社長は、「オンコロジーにフォーカスする中で、会社がさらに変わるということを考えたもの」と述べ、「新社名の“Be”は患者ひとり一人の気持ちになり、健康であることを目指す意味を込めた。一方、“One”は医療従事者、患者、我々がワンチームとなることを意味する。さらにOneの“e”をオンコロジーをイメージしたロゴとする予定」と語ってくれた。日本でも今年中に正式に変更する予定だ。

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