アステラス製薬 イクスタンジ売上減をパイプライン主導でⅤ字成長描く 30年代半ば最高売上 経営計画26
公開日時 2026/05/27 04:52

アステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長CEOは5月26日、イクスタンジの独占販売期間満了で見込まれる売上収益の減少を、2029年以降に上市するパイプラインで成長軌道に回復させる「経営計画2026」(2026年度~2030年度)を発表した。同社の売上収益は26年度の2.2兆円をピークに減少に転じる。同社は売上収益減のボトムを2029年度と見込み、その後はPrimary Focusアプローチから創出される10プロジェクト以上のパイプランを上市させ、2030年代半ばに過去最高の売上収益に回復させるシナリオを描いた。岡村社長CEOは同日の説明会で、「イクスタンジの独占販売期間満了が重石になっていた状態から、ようやく成長が実感できるフェーズに入ってくる」と述べ、計画実行に意欲を示した。
岡村社長CEOは4月27日の25年度決算説明会で、同社の業績を支えたイクスタンジが27年1月施行の米国IRA(インフレ抑制法)のマイナス影響や一部の国での独占販売期間満了が重なり、「グローバル売上は前期比で500億円の減収になる」と予想した。今回発表した経営計画2026は、こうした社内事情を背景に、中期的な売上収益の改善と持続的な成長軌道のための経営戦略をどう描くかが注目された。
◎重点戦略5製品 30年度に売上2倍 トータル10件以上の第3相/ピボタル試験を開始

経営計画2026では、イクスタンジの独占販売期間満了に伴う売上収益減を重点戦略製品(パドセブ、アイザベイ、ビロイ、ベオーザ、ゾスパタの5製品)でカバーし、2025年度の売上高約4800億円を2030年度に2倍に成長させる姿を示した。一方で、新薬開発の面からは、Focus Areaアプローチによる開発パイプラインへの投資を年平均20%(対売上収益)、さらに追加投資を最大5%まで認める方針を提示。2027年度までに5件以上、30年度までにトータル10件以上の第3相/ピボタル試験を開始し、イクスタンジの独占販売期間満了に伴う売上収益の減少がボトムとなる2029年度を境にプラス成長に転換できる姿を描いた。さらに29年度以降は、パイプライン主導で成長軌道を延伸し、2030年代半ばにはパイプラインの売上ポテンシャルで約1兆円を見込んだ。
なお、26~27年度に第3相/ピボタル試験開始予定の候補品には、setidegrasib(NSCLC、PDAC)やClaudin 18.2標的治療薬のASP2138(G/GEJ)、ASP546C(G/GEJ)、網膜疾患治療薬のASP7317が含まれる。
◎SMTは継続 30年度までのコスト最適化目標は2000億円
一方で、規律あるコスト最適化にも取り組む方針を示した。同社が掲げるSMT(Sustainable Margin Transformation)を継続的に実施するとし、2030年度までのコスト最適化目標として2000億円を折り込んだ。主な施策として、①グローバルケイパビリティセンターの稼働およびAI・デジタルの活用による業務効率の向上、②イクスタンジおよびミラベグロンのライフサイクルに応じたコスト最適化、③よりアジャイルで生産性の高い業務モデルへの進化-に注力する。これによりR&D費控除前コア営業利益は累計4.3兆円以上と目標設定した。
◎一気通貫の業務モデルに転換 「Asset Maximization Team」に権限移譲 迅速な意思決定
このほか生産性向上を目的に業務モデルについても見直す、従来の機能軸、地域軸を主体とする業務モデルを見直し、「患者軸」をベースに一気通貫の業務モデルに転換する。具体的には、研究開発から生産、市販後の全てをプロジェクトベースに機能横断型の組織とし、研究、開発、CMC、マーケティング、マーケットアクセス、メディカルアフェアーズで編成する「Asset Maximization Team」に権限移譲することで、意思決定を迅速化し、全社的な生産性向上を図るというもの。岡村社長CEOは、「アジャイルマインドセットに基づき、 より大きな“価値”をより速く創り、届ける体制に改める」と強調した。