新薬等15製品承認へ ノバルティスの慢性特発性蕁麻疹治療薬・ラプシド錠など 薬事審・第二部会が了承
公開日時 2026/05/26 04:51
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は5月25日、ノバルティスファーマの慢性特発性蕁麻疹(CSU)に対する経口BTK阻害剤・ラプシド錠(一般名:レミブルチニブ)など新薬10製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。
既存のBTK阻害剤は主に血液がんに使用されているのに対し、ラプシドのCSU、5月29日の医薬品第一部会で審議予定のウェイリズの免疫性血小板減少症(ITP)など、BTK阻害剤の開発が免疫疾患領域に広がってきた。
この日、審議され承認が了承された中には、アストラゼネカのESR1遺伝子変異乳がんに対する経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)・エトカマ錠(カミゼストラント)や、MSDの新生児および乳児向けRSウイルス感染症発症抑制・予防抗体薬・エヌフロンシア筋注(クレスロビマブ)などが含まれる。
報告品目は5製品。アストラゼネカの抗PD-L1抗体・イミフィンジの胃がんにおける術前・術後補助療法の効能追加や、ビーワン・メディシンズの抗PD-1抗体・テビムブラの胃がんの効能追加などがある。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ラプシド錠25mg(レミブルチニブ、ノバルティスファーマ):「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。BTKを標的とすることでヒスタミンやその他の炎症性メディエーターの放出を抑制し、特発性の慢性蕁麻疹(CSU)治療に対する独自のアプローチとなる。
国内では、第2世代の抗ヒスタミン薬で効果不十分なCSUに対し、抗IgE抗体・ゾレアや抗IL-4/13受容体抗体・デュピクセントが承認されている。これらが注射剤なのに対し、ラプシドは経口薬であり、その用法・用量は「通常、成人には1回25mgを1日2回経口投与する」。
海外でラプシドは、CSU(既存治療で効果不十分な患者に限る)に対して、25年9月に米国で、26年4月に欧州で承認された。
▽キネレット皮下注100mgシリンジ(アナキンラ(遺伝子組換え)、Swedish Orphan Biovitrum Japan):「全身型若年性特発性関節炎、成人発症スチル病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は12年(小児開発により2年延長)。
インターロイキン-1(IL-1)阻害剤。対象疾患とする全身型若年性特発性関節炎(sJIA)及び成人発症スチル病(AOSD)は、発熱、関節症状及び皮疹を主症状とする全身性炎症性疾患。発症年齢が異なるものの、同一の病態を有する。
グルココルチコイドで効果不十分な場合には、抗IL-6受容体抗体・アクテムラや、抗IL-1β抗体・イラリスが使用可能だが、早期に使用できる生物学的製剤のアンメット・メディカル・ニーズがあり、それに対応する。
用法・用量は、成人及び生後8カ月以上かつ体重10kg以上の小児に対して、体重に応じて設定されている。
海外では、26年3月現在、sJIA及びAOSDに係る効能・効果で欧州を含む30を超える国又は地域で承認されている。
▽①ゾコーバ錠25mg、②同錠125mg(エンシトレルビル フマル酸、塩野義製薬):「SARS-CoV-2による感染症の治療」を効能、効果とし、小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は残余期間(令和16年3月4日まで)。
3CLプロテアーゼ阻害剤。現在、12歳以上の小児及び成人に対する用法・用量が設定されているが、今回、6歳以上で体重20kg以上の小児の用量を追加するもの。25mgは剤形追加。
▽エヌフロンシア筋注シリンジ105mg(クレスロビマブ(遺伝子組換え)、MSD):「1.生後初回のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制。2.生後初回のRSウイルス感染流行期の1.以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
抗RSウイルス抗体。国内では、新生児および乳幼児向けRSウイルス感染症発症抑制・予防抗体薬としてベイフォータスやシナジスがある。
エヌフロンシアの用法・用量は「生後初回のRSウイルス感染流行期に、通常、105mgを1回、筋肉内注射する」。エヌフロンシアは「生後初回」に限定されているのに対し、ベイフォータスは「生後2回目」を含んでいる点が異なる。
海外でエヌフロンシアは26年2月現在、米国を含む6カ国で承認されている。26年4月には欧州で承認されている。
▽エトカマ錠75mg(カミゼストラント、アストラゼネカ):「内分泌療法中にESR1遺伝子変異が確認され疾患進行が認められないホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
経口投与の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)。既承認(薬価未収載)の経口SERDであるイムルリオは、「内分泌療法後に増悪した」場合に投与するのに対し、エトカマは「内分泌療法中」に病勢進行前に切り替え投与する点で異なる。
承認の根拠となった第3相SERENA-6試験では、循環腫瘍DNA(ctDNA)によって内分泌療法抵抗性の出現を検出し、病勢進行前に治療の切り替えを実施するアプローチが採用された。
エトカマの用法・用量は「CDK4/6阻害剤との併用において、通常、成人には75mgを1日1回経口投与する」。イムルリオは単剤療法での承認となっている。
海外でエトカマは26年1月時点において、ESR1遺伝子変異陽性の手術不能又は再発乳がんに係る効能・効果で1カ国(UAE)で承認されている。
▽ティブソボ錠250mg(イボシデニブ、日本セルヴィエ):「がん化学療法後に増悪したIDH1遺伝子変異陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
IDH1阻害剤。ティブソボにとってIDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に続く2つ目の適応となる。胆道がんに対する用法・用量は「通常、成人には1日1回500mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
海外でティブソボは、26年1月時点において、がん化学療法後に増悪したIDH1遺伝子変異陽性の治癒切除不能な胆道がん等に係る効能・効果で48の国又は地域で承認されている。
▽サークリサ皮下注1400mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。
抗CD38抗体。現在、サークリサは点滴静注製剤が承認されている。皮下注製剤は、静脈内投与と比較して、投与に要する時間の大幅な短縮が可能になり、患者や医療従事者の負担軽減などが期待されている。
海外では、26年1月時点において、多発性骨髄腫に係る効能・効果で皮下投与製剤が承認されている国又は地域はない。
▽イソトレックスカプセル8mg、同カプセル16mg(イソトレチノイン、サンファーマ):「大量化学療法後の神経芽腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
ビタミンA類似薬。神経芽腫の推定患者数は約500人。小児が主な患者となることから、疼痛等の副作用が少ない治療が望まれている。
イソトレックスの用法・用量は、「1日2回、14日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す」設定となっている。
海外でイソトレックスは、26年2月時点において、大量化学療法後の神経芽腫に係る効能・効果にて承認されている国又は地域はない。
▽レットヴィモ錠40mg、同錠80mg、同カプセル40mg、同カプセル80mg(セルペルカチニブ、日本イーライリリー):①「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。②「RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は①残余期間(令和16年6月23日まで)、②6年1日。
RET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤。現在、成人と12歳以上の小児の用法・用量がそれぞれ設定されている。今回、用量の下限を2歳以上の小児に変更するもの。
海外では、米国を除き、26年2月時点において、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん及びRET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍における2歳以上12歳未満の患者に対する投与を可能とする用法・用量が承認されている国又は地域はない。
▽ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ(遺伝子組換え)、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗CD19抗体。ミンジュビにとって「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)」に続く2つ目の適応となる。DLBCLに対してレナリドミドとの併用で用いる。
海外でミンジュビは26年1月時点において、再発又は難治性のDLBCLに係る効能・効果で55の国又は地域で承認されている。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え)、ビーワン・メディシンズ):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和15年3月26日まで)。
抗PD-1抗体。テビムブラにとって「根治切除不能な進行・再発の食道がん」に続く2つ目の適応となる。
胃がんに対する用法・用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できる」。
海外では、26年2月時点において、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに係る効能・効果で15の国又は地域で承認されている。米国では、胃がん1次治療の適応で24年12月に承認されている。
▽イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「胃がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、残余期間(令和8年7月1日まで)。
抗PD-L1抗体。早期胃がんの周術期治療の適応を持つ国内初のがん免疫療法薬となる。イミフィンジにとって早期がんの周術期治療としては、膀胱がん、非小細胞肺がんに続く3つ目の承認取得となる。
胃がんの周術期治療の用法・用量は、化学療法(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン及びドセタキセル)との併用において術前に2回まで、術後に2回目まで投与。その後、単剤投与する設定となっている。
海外では、26年2月時点において、胃がん及び食道胃接合部がんにおける術前・術後補助療法に係る効能・効果で13の国又は地域で承認されている。
▽オルミエント錠1mg、同錠2mg、同錠4mg、同内用懸濁液2mg/mL(バリシチニブ、日本イーライリリー):「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年6月19日まで)。
JAK阻害剤。現在、円形脱毛症に対して成人の用法・用量が設定されている。今回、12歳以上かつ体重30kg以上の小児の用量を追加するもの。具体的には「通常、成人及び12歳以上かつ体重30kg以上の小児には4mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること」となる。
海外では、26年3月現在、12歳以上18歳未満の小児円形脱毛症に対する用法・用量は、欧州で承認されている。
▽タービー皮下注3mg、同皮下注40mg(トアルクエタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余期間(令和17年6月23日まで)。
▽テクベイリ皮下注30mg、同皮下注153mg(テクリスタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余期間(令和16年12月26日まで)。
タービーは抗GPRC5D/CD3二重特異性抗体。テクベイリは抗BCMA/CD3二重特異性抗体。併用投与で、継続投与期に4週間隔とすることができる用量を追加するもの。
海外では、26年3月時点において、再発又は難治性の多発性骨髄腫に係る効能・効果で併用投与が承認されている国又は地域はない。