明治HD 医薬品セグメント売上高は11.4%増の2296億円 レズロック好調で過去最高に
公開日時 2025/05/12 04:50
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明治ホールディングスは5月9日、24年度決算を発表した。医薬品セグメントの売上高は11.4%増の2296億円、営業利益は8.9%増の247億円の増収・増益となり、売上、利益とも過去最高を更新した。主力の注射用抗菌薬や慢性GVHDに対する選択的ROCK2阻害剤・レズロックが好調だったのに加え、インフルエンザワクチンが拡大した。25年度も売上高が10.9%増の2547億円、営業利益が5.1%増の260億円と引き続き増収・増益を見込む。
ただ、24年5月に発表した中計(24~26年度)では、最終26年度の医薬品セグメントの営業利益目標400億円を掲げており、達成には25年度見込額から140億円の上積みが必要となる。同社IR担当者は「目標は今のところ変えてない。達成可能と考え、努力している」とコメント。達成のポイントとして、▽レズロックの好調持続▽血漿分画製剤の一部製品の販売をグループで担う▽大正製薬から導入した不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬・ボルノレキサント(承認申請中)の売上拡大▽24年3月発売の5種混合ワクチン・クイントバックのシェア拡大▽インド子会社のメドライク社のCMO/CDMO事業の拡大―などを挙げた。
◎国内売上高は11.8%増の1177億円 コスタイベの接種は500~600万回も「引き続き継続方針は変更なし」
医薬品セグメントのうち、国内事業の売上高は11.8%増の1177億円となった。主力の注射用抗菌薬では、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗菌薬のスルバシリンとタゾピペが、各163億円、93億円を売り上げた。経口セフェム系抗菌薬のメイアクト群は76億円。24年5月発売のレズロックは28億円と好スタートを切った。
なお、今決算から個別主要製品の売上額の開示を始めたため、23年度比(増減率)は不明だが、以下の4製品は開示された。▽メイアクト(GE含む)30%増▽ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)・リフレックス(GE含む)30%減▽抗精神病薬・シクレスト10%減▽抗アレルギー薬・ビラノア8%増―。
同社は24年9月に新型コロナに対するレプリコンワクチン・コスタイベを発売した。24/25年シーズンには当初、市場全体で3000万回のワクチン接種が見込まれていたが、実際は500~600万回にとどまった模様。明治HDの川村和夫代表取締役社長CEOは、決算記者会見で、コスタイベの販売姿勢について「今後も感染症との戦いを続けていくための極めて重要な武器であると理解している。コロナワクチン全体の接種状況が想定よりもかなり大きく下回っているので、コスタイベについては、棚卸資産評価減であるとか、さまざまな形で経費が出たわけだが、できる限り決算に対する影響を小さくする中で、商品としては引き続き継続していく方針になんら変わりはない」とコメントした。
同社IR担当者は「25/26年シーズンには定期接種費用の国の助成見直しで市場自体が縮小する可能性があるが、10%くらいのシェアを取りたいと考えており、伸ばせる余地がまだまだあると考えている」と話している。
【医薬品セグメント業績 (前期比)25年度予想(前期比)】
売上高 2296億円 (11.4%増)2547億円(10.9%増)
うち国内 1177億円(11.8%増)1251億円(6.3%増)
うち海外 637億円(11.7%増)732億円(14.7%増)
うちワクチン・動物薬 481億円(10.1%増)564億円(17.2%増)
営業利益 247億円(8.9%増)260億円(5.1%増)
【主力品売上高(前期実績)25年度予想、億円】
感染症領域※1 490(427)481
うちスルバシリン 163(―)160
うちタゾピペ 93(―)110
うちメイアクト群 76(―)79
免疫炎症領域※1 260(201)306
うち血漿分画製剤 129(―)145
うちレズロック 28(―)50
CNS領域※1 218(222)212
ジェネリック医薬品※2 208(201)250
ヒト用ワクチン 380(331)461
うちインフルエンザワクチン 208(―)218
個別製品の23年度売上は非開示
※1各領域のジェネリック医薬品を含む
※2各領域に含まれないジェネリック医薬品のみ