【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

新薬10製品が薬価収載 閉塞性肥大型心筋症薬カムザイオスなど5製品が即日発売

公開日時 2025/05/22 04:49
新薬10製品が5月21日に薬価収載された。即日発売したのは、ピーク時売上予想が200億円超となっている閉塞性肥大型心筋症に対する心筋ミオシン阻害薬・カムザイオスカプセル(製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ)や潰瘍性大腸炎に対する抗IL-23p19抗体・トレムフィア皮下注など5製品あった。ピーク時売上が400億円を超えると予想された食道がんを対象疾患とする抗PD-1抗体・テビムブラ点滴静注は発売予定日を明らかにしていない。

薬価収載された新薬10製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。発売日、及び薬効分類/投与経路順に記載。

【5月21日発売】
カムザイオスカプセル5mg、同カプセル2.5mg、同カプセル1mg(マバカムテン、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
薬効分類219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:閉塞性肥大型心筋症
薬価:
1mg1カプセル 7204.00円
2.5mg1カプセル 7264.80円
5mg1カプセル 7410.50円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数7.3千人、販売金額219億円

心筋ミオシン阻害剤。肥大型心筋症(HCM)は、高血圧等の心疾患や全身性疾患などの原因がないにもかかわらず、心室(左室)肥大をきたす慢性の進行性疾患であり、左室流出路の閉塞有無により閉塞性HCMと非閉塞性HCMに大別される。カムザイオスの効能・効果は「閉塞性HCM(HOCM)」。

ビヨントラ錠400mg(アコラミジス塩酸塩、アレクシオンファーマ)
薬効分類219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
薬価:400mg1錠 8995.90円(1日薬価:3万5983.60円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数1.1千人、販売金額142億円

トランスサイレチン(TTR)安定化薬。90%超の安定化作用を有するTTR四量体安定化剤で、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の根本原因である生体内のTTR四量体の不安定化を標的とし、自然に発生する「レスキュー変異」TTR遺伝子(T119M)を模倣するよう設計されている。

用法・用量は「通常、成人には1回800mgを1日2回経口投与する」。国内で承認を取得しているATTR-CM治療薬には、ビンダケルカプセル/ビンマックカプセル(タファミジス)があり、用法・用量は1日1回経口投与となっている。

ラズクルーズ錠80mg、同錠240mg(ラゼルチニブメシル酸塩水和物、ヤンセンファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:80mg1錠 4403.30円
240mg1錠 1万2354.70円(1日薬価:1万2354.70円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.4千人、販売金額130億円

第3世代の経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)。同社のEGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体・ライブリバントと併用して、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療での使用で承認されている。

承認申請は、EGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療において、ライブリバントとラズクルーズの併用療法と、第3世代の経口EGFR-TKIであるタグリッソ単剤療法を比較評価した第3相MARIPOSA試験の結果に基づく。同試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)で有意差を示した。

トレムフィア点滴静注200mg(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:200mg20mL1瓶 25万3045円(1日薬価:6778円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数5.9千人、販売金額45億円

トレムフィア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgペン(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:200mg2mL1筒 33万9733円
200mg2mL1キット 33万9733円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.4千人、販売金額217億円

抗IL-23p19抗体。中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療薬で、点滴静注製剤は寛解導入療法に、200mg皮下注製剤は維持療法に用いる。UCは、活動期には下痢、血便、腹痛や発熱等を伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患。重症度等に応じた治療法(薬物療法、外科的治療等)が選択されている。

なお、既存のトレムフィア皮下注100mgシリンジは、18年3月に「尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」、同年11月に「掌蹠膿疱症」の適応で承認され、25年3月にUCの維持療法の適応を追加した。

テブダック点滴静注用40mg(チソツマブベドチン(遺伝子組換え)、ジェンマブ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん
薬価:40mg1瓶 25万2241円(1日薬価:3万29円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数797人、販売金額35億円

ジェンマブの組織因子(TF)を標的とするヒトモノクローナル抗体に、プロテアーゼ切断可能なリンカーを用いて微小管阻害薬・モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を共有結合させるというシージェン社(現ファイザー)の技術を応用して開発された抗体薬物複合体(ADC)。

2次又は3次治療の再発又は転移性子宮頸がん患者を対象とした国際共同第3相innovaTV301試験などの成績に基づいて承認された。2次治療以降での使用が想定されている。

【発売日未定/非開示】
リブマーリ内用液10mg/mL(マラリキシバット塩化物、武田薬品)
薬効分類:391 肝臓疾患用剤(内用薬)
効能・効果:アラジール症候群、及び進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における胆汁うっ滞に伴うそう痒
薬価:1%30mL1瓶 388万8640.70円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数91人、販売金額73億円

胆汁酸の再吸収を抑制する回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬。武田薬品は21年9月に米Mirum社から導入した。

アラジール症候群(ALGS)は、小葉間胆管減少症を伴うまれな遺伝性疾患であり、胆汁うっ滞により、最終的には進行性の肝機能障害を引き起こす。国内患者数は200~300人程度と推測されている。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞の胆汁を分泌する能力が低下し、肝細胞内に胆汁の蓄積が起こることにより、進行性の肝疾患に至るまれな遺伝性疾患。国内では、小児慢性特定疾病の対象疾患となっている。

ティブソボ錠250mg(イボシデニブ、日本セルヴィエ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
薬価:250mg1錠 3万7.60円(1日薬価:6万15.20円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数120人、販売金額26億円

IDH1阻害薬。IDH1遺伝子変異陽性AMLの患者数は約1045人と推定されている。強力な化学療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対しては、IDH1遺伝子変異の有無にかかわらず、ベネクレクスタとアザシチジン又は低用量シタラビンとの併用投与が推奨されているが、長期生存率は低く、依然として予後は不良であること等から、新たな治療薬の開発が望まれている。

ティブソボとアザシチジンとの併用投与の有効性及び安全性をプラセボとアザシチヂンとの併用投与と比較した国際共同第3相試験では、主要評価項目の治験責任医師判定による無イベント生存期間(EFS)について統計学的に有意な延長が認められた。

プレバイミス顆粒分包20mg、同顆粒分包120mg(レテルモビル、MSD)
薬効分類:625 抗ウイルス薬(内用薬)
効能・効果:同種造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制及び臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
薬価:20mg1包 3025.60円
120mg1包 1万6.20円(1日薬価:4万24.80円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数130人、販売金額1.6億円

CMVターミナーゼ阻害薬。小児用量の追加に合わせて、小型の粒状のフィルムコーティング剤であり、小児でも飲みやすい顆粒剤が承認された。MSDでは、「1包あたり20mgおよび120mgの2種類の規格があることから、複数包を使用することで、体重5kg以上の小児へ体重区分に応じた用量での投与が可能となるとともに、患者さんの状況に応じた剤形選択が可能となる」としている。

テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え)、BeiGene Japan)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:根治切除不能な進行・再発の食道がん
薬価:100mg10mL1瓶 21万4498円(1日薬価:2万428円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数5.4千人、販売金額406億円

抗PD-1抗体。承認申請は、1次治療(化学療法併用)と2次治療(単剤療法)の試験成績に基づいて行われ、用法・用量は「フルオロウラシル及びシスプラチンとの併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注する。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんに対しては、本剤を単独投与することもできる。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できる」となった。

同じ抗PD-1抗体のキイトルーダとオプジーボも「根治切除不能な進行・再発の食道がん」の効能・効果を持っている。

ハイキュービア10%皮下注セット5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注)/ボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)、武田薬品)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:無又は低ガンマグロブリン血症
薬価:
1セット(5g50mL) 5万6816円
1セット(10g100mL) 11万2154円
1セット(20g200mL) 22万1382円(1日薬価:1万5813円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数731人、販売金額22億円

ボルヒアルロニダーゼを皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。これにより、人免疫グロブリンGの拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になる。大量投与により投与頻度が従来の皮下注製剤に比べて少ない3週間に1回又は4週間に1回となり、患者の負担軽減が期待される。

武田薬品が23年9月に承認を取得、24年1月に発売した無又は低ガンマグロブリン血症治療薬・キュービトル20%皮下注(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注))の投与頻度は、週1回(通常)又2週間に1回となっている。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(4)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー