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AZ・堀井社長 26年までの3年間で「30件以上」の承認取得目指す 国内臨床試験数は148

公開日時 2024/03/27 04:52
アストラゼネカの堀井貴史代表取締役社長は3月26日に開いた2023年業績発表会見で、2024年から26年までの3年間に日本で「30件以上」の承認取得を目指す考えを示した。新規有効成分のほか適応拡大や剤形追加等の承認を含む。国内臨床試験数は現在148あり、「国内で最も多くの臨床試験を走らせている」と紹介。オンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患、ワクチン・免疫療法――の注力4領域を中心に、「イノベーションを通じて患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア企業を目指す」と強調した。

◎23年国内売上8.2%増 ネキシウム特許切れ影響をフォシーガやイミフィンジなどで吸収

23年の国内売上(薬価ベース)は前年比8.2%増の4960億円だった。注力領域における成長率はオンコロジーが28.6%増、呼吸器・免疫疾患が13.9%増、ワクチン・免疫療法が2.4%減――で、循環器・腎・代謝疾患は20.8%減だった。循環器・腎・代謝疾患の大幅減は抗潰瘍薬・ネキシウムに22年12月に後発品が参入した影響で、ネキシウムを除くと41.5%の大幅増となる。

堀井社長は23年の主な成長ドライバー製品として2型糖尿病や慢性腎臓病(CKD)などの適応を持つSGLT2阻害薬・フォシーガ、がん免疫療法薬のイミフィンジ及びイジュド、気管支喘息に対する抗体製剤・テゼスパイア、直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤・オンデキサ――を列挙。その上で、「主力製品の力強い伸長により、大型製品特許切れの影響を上回り、(前年比8.2%増という)力強い成長を実現した」と胸を張った。IQVIAによる製薬企業の国内売上ランキングで22年の3位から23年に2位に上がったことも紹介し、「日本において着実に歩みを進めている」と述べた。

◎革新的なサイエンスのリーダーになることで「結果として売上成長できる」

24年の業績見通しは非開示。ただ同社の場合、23年売上が1098億円と同社売上1位のイミフィンジは24年2月に市場拡大再算定により薬価が25.0%引き下げられたほか、売上1087億円と同2位の抗がん剤・タグリッソは市場拡大再算定により23年6月に10.5%引き下げられた。売上は非開示だが、抗がん剤・リムパーザも市場拡大再算定により23年11月に7.7%の引き下げを受けるなど、24年は主力製品の薬価が厳しい状況になっている。

堀井社長は、「(再算定製品の)成長という意味ではマイナスに響く」とコメントしたものの、23年にネキシウム特許切れ影響を吸収して成長を達成したように、24年も主力製品や新製品、新効能などによる伸長によって再算定による減収影響を最小化させる構えをみせた。また、「将来の売上予測は開示できないが、物事の考え方として、(25年に向けた)ジャパンビジョン2025で掲げている『革新的なサイエンスのリーダーになる』との部分で良い仕事ができれば、結果として売上成長できる余地は十分ある」とし、全社一丸となって「高みを目指したい」と語った。

◎国内第3相以降に58プロジェクト

同社の大津智子研究開発本部長は、国内の開発パイプラインが23年12月31日時点で97プロジェクトあり(1プロジェクトで複数の臨床試験が行われているため、前述の臨床試験数と一致しない)、このうち第3相以降の後期開発プロジェクトが58あると説明した。

このうちオンコロジーは55プロジェクトで、うち申請中が2プロジェクト、第3相段階に36プロジェクト――。オンコロジー以外の「バイオファーマ」には42プロジェクトあり、うち申請中は2プロジェクト(循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患で各1)、第3相段階に18プロジェクト(循環器・腎・代謝に4、呼吸器・免疫疾患に12、ワクチン・免疫疾患に2)――。大津氏は「国内最大級を誇る、強力なパイプライン」と自信を見せた。

◎がん領域パイプライン 機序異なる免疫療法による二重特異性抗体も

研究開発戦略については、オンコロジー領域では多様な機序、多様なポートフォリオによる併用を追求していく方針で、「組み合わせにより、抗がん剤治療はより深く、持続的な効果を得る可能性がある」との認識を示した。オンコロジーパイプラインには同社独自の抗体薬物複合体(ADC)があるほか、免疫療法の抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体、又は抗PD-1抗体と抗TIGIT抗体といった機序の異なる組み合わせの二重特異性抗体の開発プロジェクトが複数あることも紹介し、「更なるがん免疫療法の改善に努めている」と話した。

◎ATTR-CMに対する核酸医薬 26年までの上市を期待

がん以外のバイオファーマ領域の研究開発戦略では、「症状を管理することから、より早期に介入して疾患の進行を遅らせ、止めることへの治療シフトを目指す」と表明。根本的なバイオロジーを標的とする創薬研究を進めているほか、新規モダリティや組み合わせの検討、プレシジョン・メディシンのアプローチも行っていると説明した。

また、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)、関節リウマチを対象疾患とする核酸医薬の開発を進めていることにも触れ、ATTR-CMに対する核酸医薬は、開発に成功すれば26年までの承認取得が期待できると語った。

◎グローバルの開発後期の導入品に「あとから日本も第3相試験に入る」

24年度薬価制度改革では、ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けたイノベーション評価がなされた。同社のドラッグ・ラグ/ロスの現状について大津氏は、「基本的に世界同時開発を目指している。可能な限りグローバルの開発に日本ものっている」と述べた。グローバルの開発後期の導入品の場合、日本を除く形で第3相試験が進んでいるケースも少なくないが、同社では「今現在、あとからでも日本も第3相試験に入るという手段をとっている」と言い、「開発面で現在、ラグはない」と説明した。

堀井社長は、円安によって日本における開発費が高騰している現状を示した上で、「ラグ/ロスが起こることのひとつにマクロの環境もある」と指摘した。ただ24年度薬価制度改革で迅速導入加算や薬価収載後の薬価引上げなどの仕組みが入ったことに、「日本にとってポジティブな方向になると、グローバルの観点からも見られている」と明らかにした。グローバル本社から継続的に国内投資を得ていくためには、特許期間中の新薬の薬価を維持する仕組みが「非常に重要になる」とも話した。

◎「i2.JP」に400社以上参加 オープンイノベーションに積極的な製薬企業で1位に

このほか、同社は25年ビジョンとして「イノベーションを通じて患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア企業」になることを掲げており、ビジョン達成の取り組みの3本柱として▽革新的なサイエンスのリーダーであること、▽患者中心のビジネスモデルのパイオニア、▽社員から選ばれる働きがいのある職場――を据えている。

このうち患者中心のビジネスモデルでは、20年からヘルスケア分野のオープンイノベーションプラットフォームである「i2.JP」に取り組んでおり、23年には400社以上が参加し、110以上のビジネスマッチングを行い、同社が関与するプロジェクトは20となった。

堀井社長は、23年に医療従事者や医療系企業社員、政府関係者2177人を対象とした意識調査で、「オープンイノベーションに積極的な製薬企業として想起される企業」で同社が1位となったことを紹介。「3年間継続的に取り組んできた様々な協業・共創の結果が表れた。さらに歩みを進めたい」と述べ、今後もオープンイノベーションを推進してパートナーシップを通じた様々なソリューションを提供していく考えを示した。
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