大鵬薬品 システイノミクス創薬の基盤拡充へ AI創薬スタートアップのSyntheticGestalt社と技術検証
公開日時 2025/06/05 04:50
大鵬薬品は6月4日、AI創薬事業を展開するスタートアップのSyntheticGestalt社(東京都新宿区、島田幸輝代表)との間で、生成AIを活用したシステイノミクス創薬の基盤拡充に向けた技術検証に関する契約を締結したと発表した。大鵬薬品独自の創薬基盤技術であるシステイノミクス創薬のさらなる拡充と進化を目指し、SyntheticGestaltが持つ世界最大の分子基盤AIモデルの活用に向けた技術検証を行う。
システイノミクス創薬は、システインを有する多様な標的タンパク質に対して共有結合型薬剤を連続的に生み出すための大鵬薬品独自の創薬技術。システイノミクス創薬基盤は、標的タンパク質データベース、共有結合型化合物ライブラリー、各種化合物評価システムなどから構成され、これまでに複数のパイプラインを創製した実績がある。
SyntheticGestaltは、100億件という膨大な化合物情報を学習データとして活用した革新的な基盤AIモデル「SG4D10B」を開発した。この基盤AIモデルは、分子の複雑な立体構造を大量に学習することで、新規化合物に対する分子プロファイルの予測精度を向上させる。同モデルを各社の所有するライブラリーで追加学習・推論対象とすることで、各社独自の探索基盤を容易に構築することが可能だという。
大鵬薬品の相良武取締役(開発・MA部門管掌、研究部門担当)は、「SyntheticGestalt独自の生成AI基盤をシステイノミクス創薬基盤に組み込むことで、これまで創薬が困難とされていた標的に対して、共有結合型薬剤を見いだす成功確率を高めたいと考えている」とコメント。そして、「引き続きシステイノミクス創薬を活用した革新的新薬の創出を推進し、がん患者さんのペイシャントジャーニー全体を支えるがん治療薬を継続的に創製していく」としている。
SyntheticGestaltの神谷幸太郎CTOは、「当社の持つ立体構造や電荷を含有する4D探索技術を共有結合型薬剤のライブラリーに活用することにより、革新的な共有結合型薬剤の発見に寄与できる」と話している。