アルナイラム アムヴトラの適応追加で情報提供体制を強化 営業・メディカルともに人員を倍増
公開日時 2025/07/16 04:51

アルナイラム・ジャパンの岡田裕代表取締役社長は7月15日のメディアセミナーで、適応追加が承認されたRNAi治療薬・アムヴトラ皮下注(一般名:ブトリシランナトリウム)の情報提供体制について、営業とメディカルの各部門で人員を倍増したと明らかにした。アムヴトラは6月にトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の適応追加の承認を取得。岡田社長は、「疾患の原因に直接アプローチできる唯一の治療薬。医療関係者への情報提供を通じて、患者やそのご家族に貢献できるように活動を行っていきたい」と抱負を述べた。
アムヴトラは、標的となる特定のメッセンジャーRNA(mRNA)を分解し、野生型および変異型のトランスサイレチン(TTR)タンパク質が作られる前にその産生を阻害するように設計されたRNAi治療薬。国際共同第3相試験(HELIOS-B試験)は、ATTR-CM(遺伝性または野生型)と診断された655人の成人患者を対象に実施され、主要評価項目の全死因死亡及び再発性心血管関連イベントのほか、副次評価項目全てでも有効性が証明された。
◎高知大・北岡教授 「siRNA治療が最も理にかなう」ファーストチョイスになると期待
セミナーで講演した高知大学医学部老年病・循環器内科学の北岡裕章教授は、「心不全患者の約10%が心アミロイドーシスと言われ、少なくとも数万人の単位の患者がいると考えられる」と説明。その上で「早期診断と適切な薬物治療が重要だ」として、「タンパク質を抑えることはアミロイドーシス治療の根本。元を断つsiRNA治療が最も理にかなっており、ファーストチョイスの薬になると期待をしている」と述べた。
このほか、グローバルにおけるアルナイラムの開発パイプラインも紹介。いずれもRNAi治療薬として、脂肪組織や筋肉など新規組織で2つ、中枢神経領域で2つ、肝臓関連で5つの計9つの新規プログラムが進行中で、「25年末までに臨床試験段階、もしくは移行段階に持っていく目標を掲げている」(岡田社長)という。9プログラムに関する国内での開発計画は明らかにしていないが、岡田社長は、「多くの製品を日米欧で同時開発していくという考えに基づいて取り組んでいる」と述べた。