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AI活用で心アミロイドーシスを早期診断 産学協働のコンソーシアム設立へ アレクシオンなどが参加

公開日時 2025/06/04 04:48
「診断ラグ」が指摘される心アミロイドーシスを、AIで早期診断する産学協同のコンソーシアムの発足準備が進んでいる。コンソーシアムは熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学の辻田賢一教授が代表理事を務め、アレクシオンファーマやスタートアップ企業などが参加する。設立に向けて開かれた5月23日の記者会見で、アレクシオンファーマの濱村美砂子社長は、「診断率が低い心アミロイドーシスについて、診断と治療それぞれのイノベーションが両輪となって影響し合うことで、加速的な改善が期待できる」と述べた。

心アミロイドーシスは心不全や不整脈などの心血管疾患と類似した初期症状が現れる疾患。トランスサイレチン(TTR)由来のアミロイドの組織沈着を病因とするトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の患者数は、疫学調査を基にした計算で5万人以上との推計もある。近年では侵襲性の低い検査で診断することも可能になっているが、鑑別が難しいことから誤診も多く、確定診断まで時間がかかりやすい「診断ラグ」の課題を抱えている。

辻田教授は、「高血圧性心筋症や肥大型心筋症と誤って診断されるケースも多く、診断が難しい疾患。医療従事者の認知度は低く、診断の遅れにつながっている」と指摘した。

◎AI診断支援ツールの実装目指す 30年には診断率45%まで向上が目標

12月の発足を目指すコンソーシアムは辻田教授を代表理事として、高知大学医学部老年病・循環器内科学の北岡裕章教授や、心疾患診断AI開発を手掛けるスタートアップ企業のコルバトヘルスなどが発起人として参加。アレクシオンファーマも参加し、業界横断的なエコシステムの構築に向けた支援を行う。

2028年までの3年間で、心エコーからAIを活用して心アミロイドーシスを検出する診断支援ツールの実装や普及を目指していく。さらに、医師や検査技師など心アミロイドーシスの診断に関わる医療従事者への啓発や技術向上、診断フロー整備に必要なエビデンス創出などにもそれぞれワーキンググループを設置して取り組むという。

こうした取り組みにより、心アミロイドーシスの診断率向上を目指し、現在は国内で12%にとどまる診断率を30年には45%まで引き上げていくとの目標を掲げた。辻田教授は「心エコーによるAI診断技術を全国に普及させ、かかりつけのクリニックなど日常診療においても早期に心アミロイドーシスが疑われる患者さんを見つけ、専門医や専門施設につないでいくスキームを構築していきたい」と抱負を述べた。
 
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