モデルナ 湘南アイパーク内mRNA原薬工場の建設計画見直し「今回は進めない」 経産省整備事業も辞退
公開日時 2025/07/22 04:52
モデルナは7月18日、神奈川県藤沢市の湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)で予定していたmRNA原薬工場の建設計画について、「今回は進めないことを決定した」と発表した。理由は「昨今の事業環境を踏まえ、慎重に検討した結果」だとし、新型コロナワクチンの需要減が理由の一つであることを示唆した。
mRNA原薬工場の建設計画は、2023年に経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択され、工場が計画通りに整備・稼働した際に国から補助金(補助率:大企業は最大90%、中小は最大75%)が支払われる予定だった。モデルナは、経産省の整備事業から辞退することも決めた。
◎「将来的に事業環境が整えば、mRNA原薬製造施設の整備について再検討」
モデルナは、日本にmRNA医薬品の研究・製造施設を整備する方向で関係各所と調整し準備を進めてきたが、このうちmRNA原薬工場は実際に建設に着手する前に計画を見直した。ただ、同社は、「今後も日本における事業展開を重要な戦略の一環と位置づけている」とし、「将来的に事業環境が整えば、mRNA原薬製造施設の整備について再検討する予定」との考えも示した。
日本市場への製品供給については、「当社のグローバルな製造ネットワークを活用し、日本国内への安定的なワクチン供給を継続する」とした。さらに、「感染症領域のワクチンや、がん、希少疾患などアンメット・メディカル・ニーズの高い領域において、mRNA技術を活用した革新的な治療法の開発を推進していく」とし、引き続き日本政府、自治体、医療従事者、日本のサイエンティストなど多くのステークホルダーと連携して、日本の公衆衛生と人々の健康に貢献していく方針も示した。
◎研究施設は年内稼働目指す
モデルナはこの日、グループ会社でmRNA医薬品の研究開発支援を行うモデルナ・エンザイマティクス社(旧オリシロ・ジェノミクス、本社:東京都江東区)が主導する、湘南アイパーク内のmRNA研究施設の整備計画の進捗も発表した。「建屋の工事は完了」したとし、エンザイマティクス社が年内に移転し稼働することを目指すとしている。