中医協薬価専門部会が9月17日に開かれ、薬価制度改革に関する関係業界からの意見聴取を行った。本誌は、各側委員と関係業界との質疑の内容を議事要旨として公開する。
【関係業界 意見陳述者一覧】
日本製薬団体連合会 会長 安川健司氏
日本ジェネリック製薬協会 会長 川俣 知己氏
日本製薬工業協会 会長 宮柱 明日香氏
米国研究製薬工業協会 在日執行委員会 委員長 シモーネ・トムセン氏
欧州製薬団体連合会 会長 岩屋 孝彦氏
再生医療イノベーションフォーラム 副会長 廣瀬 徹氏
日本バイオシミラー協議会 会長 島田 博史氏
日本バイオテク協議会 理事 水島 徹氏
日本医薬品卸売業連合会 会長 宮田 浩美氏
(関係業界の意見陳述は略)
城山部会長:はい、どうもありがとうございました。これより質疑に移りたいと思います。質問は、日本語でお願いをいたします。いかがでしょうか? では、江澤委員お願いします。
江澤委員:はい、ありがとうございます。詳細なご説明いただきまして、誠にありがとうございます。前回の令和6年度薬価制度改革では、イノベーションのさらなる評価を推し進めたところでもありますので、その効果検証について引き続きご報告をお願いしたいと思います。
それでは資料に沿って質問をさせていただきます。まず、資料「薬―1」で3点質問したいと思います。資料5ページ(カテゴリーに対応した薬価改定のイメージ)の真ん中の長期収載品の下のところですけれども、ここに「投資回収期間を終えたこと、後発品の収載を踏まえて再評価」とありますが、この投資回収期間の考え方、また、先ほどご説明もございました再評価について、わかりやすく教えていただければと思います。
続きまして、資料6ページ(薬価を下支えするルールに係る要望)の上段のところの箇条書きに、「国内での生産体制の構築が可能となるよう、経済合理性のある薬価に適時引上げがなされる仕組みを構築すべき」とありますが、製薬業界において具体的なプロジェクトとか方向性があれば、教えていただければと思います。
最後は、資料13ページ(令和8年度薬価改定に向けた課題に対する意見④)で「不採算品再算定の要件」の下から2番目のところに、「個別の予算を確保することを含め、対応が必要である」とありますが、具体的にどうお考えなのか教えていただければと思います。
続きまして資料「薬―2」(製薬協、PhRMA、EFPIA)の資料7ページ「参考資料」ですが、
ドイツ、イギリスと比較されておりますけれども、ご存知のように、わが国の医療費は、公費、保険料、自己負担で賄われており、保険料も約5割で、自己負担は原則3割というのはご周知のことと思います。コロナ禍においても、フリーアクセスであるわが国の医療保険制度の仕組みの中で、世界の中でも相当な実績を示したものと認識をしております。一方で、超高齢社会において、いかに我が国の医療保険制度を持続していくのかというのは、常に大きな課題となっています。
市場拡大再算定におきましても、その健全な(医療保険制度の)持続のための、ある意味「産物」とも言えると思っています。我々の(医療)業界において、医療従事者の賃金は公定価格であるがゆえに他産業に比べて伸びがかなり抑えられていることも背景にございます。従いまして、(ドイツ、イギリスは)異なる医療制度でありますし、市場規模も異なっている中で、単なるCAGRの比較のみでは、なかなか推し測れないのではないかと思っております。医療保険の健全な持続を踏まえた上で、どういった対応が必要か、お考えがあればお願いしたいと思います。
続きまして資料「薬―3」(JGA)の2ページから3ページに令和6年度不採算品再算定品目の供給量の推移が出ております。供給量が増えていることについては十分理解しております。一方で、我々の医療現場におきましては、流通改善は全く肌で感じる状況になっておりません。したがって、もっと供給量が増えてこないと我々の実感として感じるところまでには至っていないのかなと思っているところでございます。
その上で、質問します。この不採算品再算定品目のうち、すべての供給量が等しく増えているのかどうか、あるいは企業間に差がなく、あらゆる企業で供給量が伸びてきているのかどうかをお尋ねします。もう一点は、中長期的にいつ改善するのかが大変重要な問題で、日々薬剤師は流通のチェック、在庫量のチェック、そしてそれを各々の医師に説明するという業務負担が生じているわけで、何か見通しがあれば教えていただければと思います。
続きまして、資料「薬―4」(再⽣医療イノベーションフォーラム)の2ページ(⽇本における再⽣医療等製品の承認は加速度的に増加)にありますが、一部承認取消し申請取下げということもございまして、この分野は非常に患者さんにとっては、あの福音であり、大きな期待がなされているというふうに認識しております。業界として、今後、健全に推進していくために、何か、こういった過去の事例を踏まえた上での取り組みがあれば、具体的に教えていただければと思います。
続きまして資料「薬―5」(日本バイオシミラー協議会)ですが、バイオシミラー業界においてはバイオAGというものが深刻な課題というのは十分認識している上でお伺いします。バイオAGの薬価を高めたり、先ほど選定療養というご提案もありましたけれども、そういったことでバイオシミラーの需要を増やしていくっていうのが、国民から見た場合に、なかなか難しいので、どういった落としどころがいるんだろうかというのは、私も常に思っております。複合的な対応ということでご説明ありましたけれども、業界としてコメントがあればお願いしたいと思います。
続きまして資料「薬―6」(日本バイオテク協議会)ですけれども、これまでも「開示度」が難しいということはお伺いしています。申請企業の努力だけではどうすることもできないという記載がありますが、どういった努力をされ、どういった取り組みをしているのか教えていただければと思います。
最後に、資料「薬―7」(卸連)ですけれども、資料4ページから6ページにかけて、流通コストの上昇、総流通コストの上昇と流通不採算の比率など、コストの上昇の資料が出ております。質問の一点目は、医薬品卸7社のデータでございますが、これは業界の卸業界の全体像を示しているのかどうか。もう1点は、当然、市場原理からすると、当たり前のことかもしれませんが、大量購入するほど当然安く卸す。購入する側からすれば安く仕入れるわけですけれども、あまりそこの差が過度になりすぎると小規模な医療機関とか薬局においては、場合によって経営的に死活問題になり得るわけで、この公的な医療保険制度を支える仕組みの中での、そういった市場原理というのは、どのようにお考えか教えていただければと思います。以上でございます。
城山部会長:ありがとうございました。資料「薬―1」から「薬―7」について、個別に多くの具体的な質問がございました。それぞれお答えいただければと思います。まず安川会長いかがでしょうか?
安川・日薬連会長:はい、私から順に答えさせていただきます。ご質問の資料「薬―1」5ページの「投資回収期間を終えたこと、後発品の収 載を踏まえて再評価」のところについてだと認識しております。まず再評価のポイントですけれども、当然、ここは新薬メーカーとジェネリックメーカーのしのぎ合いの場でもあるわけですけれども、基本的に物質特許が切れた瞬間に、ジェネリックが日本だけでなく、全世界で発売されていると思いますので、ここのポイントというのは、いわゆる物質特許だけでなく製剤特許とか、様々な特許を守る努力をしているわけですから、個別製品によって、そのポイント、ポイントは異なってきますけれども、多くの場合においては物質特許が切れた時が再評価のポイントだと思っております。
この時まで、その新薬の加算等をその時点でなくしていただいて結構です。ジェネリックの価格に近いような形で再算定していただいて結構です。そういうことを申し上げております。
宮柱・製薬協会長:宮柱でございます。安川会長に加えて、特許期間満了後の価格引き下げについて我々がどう考えているのかというところでありますが、まず、この議論自体については、まず特許期間中の薬価が確実に守られるシンプルな薬価制度が前提であると我々は考えております。
そこからシンプルなカテゴリー別の薬価制度というのを求めており、特許切れ後の医薬品のスタートラインとして、価格水準をどう考えるのか、そういった視点で議論をさせていただきたいというふうに考えています。
重要なことは、やはり安定供給に支障をきたさないことや、後発品の市場参入、障壁とならないようなことを考慮した制度設計が必要であると考えております。
安川・日薬連会長:質問の2つ目は資料「薬―1」の6ページの国内の生産体制の構築という文言についてのご質問ですが、その前に枕詞として、「国家安全保障の観点からも」ということを書いております。私のプレゼンテーションでも申し上げましたけれども、ジェネリック薬の約7割が、外国の力を借りないと生産できないのが現状でございます。これは価格の問題しかり、そこから派生して原薬の出発物質をつくってくれる日本の中堅規模のケミカル会社がもうなくなってしまったということ。いろいろ複合的な要因がございますけれども、やはり、地政学的なリスクが大きい。国や地域に製造を依存している、大きく依存しているという状況は、有事の際の日本の医療の崩壊につながると考えておりますので、ここは前回も申し上げました通り、経済原則にだけ任しておいても、国内の製造回帰はなかなか難しいと思います。抗生剤ではこのような取り組みが始まっておりますけれども、国にしっかり支援していただいて、原薬、出発物質、発酵製品等々が日本国内で、製造可能になるようなパーセンテージで高めていただくような国策をしていただきたいというふうに考えております。
宮柱・製薬協会会長:国内での生産体制の取り組みというところで追加発言させてください。国内においてはバイオ医薬品を製造する人材の育成・不足が課題になっていると認識をしております。以前より製薬協でも検討しておりますが、即戦力、バイオ製造人材の育成支援策というものを今年度から運用予定にしておるところでございます。研修を希望されるCMOの方と、それを受け入れる製薬企業とのマッチングを行いながら、そういった施策も準備しているところでございます。
安川・日薬連会長:ご質問の3つ目は資料「薬―1」13ページのappendixの方ですけれども、不採算品再算定のところに記載した「個別予算」というところの言葉についてのご質問だったと理解しております。
新しい予算枠を作れということを言っているわけではなく、ここでは支えが必要な超重要品目について、財源の制約があるからという理由で生産しないのは困るので、そういうものについては、個別薬剤ごとに予算を確保していただければ、そういう意味合いで書いております。私は以上でございます。
城山部会長:はい、江澤委員よろしいですか?
江澤委員:すいません。一点確認ですけれども、この「投資回収期間」については、これはあの特許期間を意味しているのか? 例えば、あの上振れして売上げが予想以上に伸びた場合、そこは期間はもうちょっと短くなるのか?
安川部会長:私どもの意図は、特許期間の満了でございます。
城山部会長:はい、よろしいですか。
江澤委員:ありがとうございます。
城山部会長:続いて資料「薬―2」についてよろしくお願いします。
宮柱・製薬協会長:ありがとうございます。資料appendixの7ページ(参考資料)に関するご質問であったかと思います。やはりCAGAについて単純比較はできないというのは、我々も承知の上でこの資料を提示させていただいております。
今回、限られた医療財源の中で、今回業界としてもカテゴリー別薬価制度というメリハリをつけた提案をさせていただいております。これは、いま申し上げました通り、特許期間中の新薬の価格が守られて、役目を終えた後には、その価格について議論を行っていただきたいという主旨でございますし、このメリハリのある薬価制度が限られた財源の中で有効活用につながるものと我々は考えております。
また、市場拡大再算定についてのコメントになりますが、確かに短期的な歳出抑制につながるかと思いますが、中長期的には日本の創薬力、そして産業競争力の低下を招きますので、結果的に医療全体の質や治療の選択肢、そういったものを縮小させる恐れがあると我々は捉えております。
先ほどからもございます通り、バリューチェーンもグローバル化しておりますし、グローバルの中で投資判断を行っているというところでございますので、こういった市場拡大再算定のように、日本市場の予見性を下げる制度というところが、そのグローバルの中での優先順位の低下を招いているというふうに捉えております。
城山部会長:はい、ありがとうございました。あと3つほど質問に答えいただいた後に、江澤委員にお伺いしたいと思います。続いて、資料「薬―3」(JGA)ですね。川俣会長お願いします。
川俣・JGA会長:ありがとうございます。資料「薬―3」の2ページにお示しをいたしました供給量の増加でございますが、これは全体の数字でございまして、現在においても、(医療現場の意向に)十分にお答えできていない品目があるということについては非常に残念だと思っております。今後、さらに優先順位を上げて、増産に取り組むよう要請するところでございますが、中には品質トラブルですとか、原材料の調達トラブルにおいて、一定期間供給が止まってしまったものというのもございましたので、こちらについては再発防止に向けて取り組んでまいるところでございます。
また不採算品再算定の適用の結果、長期収載品よりも薬価が高くなってしまったものも少なからず存在しております。そうしたものが供給量が少し減っていくというようなことも見られた状況でございました。
城山部会長:ありがとうございました。それでは、再生医療イノベーションフォーラムの廣瀬様から、再生医療に関してよろしくお願いします。
広瀬:FIRM副会長:ありがとうございます。資料「薬―4」2ページですが、2つの条件期限付き承認されたものにつきまして、1つは承認の取り消しに、もう1つは申請取り下げに至りました。そういうことについてのご質問だと思います。
まず大変残念なことだと思っている。条件期限付き承認につきましては、安全性が確認され、有効性が示唆された段階で、患者さんに治療の機会を提供できるという、非常に良い制度だとは思っておりますけれども、そういった条件期限付き承認を取得した時に、じゃあ、追加でどういうデータをどのように取っていくかについて、今、改善が図られておりまして、当局の方からはガイダンスが出ております。
申請時に、あくまで条件期限付き承認をゴールとするのではなくて、しっかりと有効性を確認することをゴールにするということで、我々FIRMでは、会員、企業に徹底をしております。また、残念ながら、承認取り消しになったものにつきましても、患者さんに有効性が確認されているものもありますので、前向きにどういう計画を立てれば、その有効性が確認できるかということにつきまして、実際、当該企業から情報をいただきまして、企業間での勉強会やレッスンラウンドなどもやって、情報共有して、再発が起きないように取り組んでいるところでございます。
城山部会長:はい、ありがとうございました。江澤委員いかがでしょうか?
江澤委員:手短に申し上げます。製薬業界におきましては、市場拡大再算定が大変重大な課題だと思っておりますし、一方で、やはり国民皆保険の持続というのが大命題でありますから、どこかで国民をはじめ、皆が納得する落としどころというのが必要かと思います。そういったことも考慮しながら、いろいろと協議していきたいというふうに思っております。
再生医療等製品につきましては、やはり患者さんが不利益を受けないということが大前提になりますので、引き続き安全性も踏まえながら、業界として取り組んでいただければと思います。ありがとうございます。以上でございます。
城山部会長:はい、どうもありがとうございました。それでは資料「薬―5」についてお願いします。
島田・日本バイオシミラー協議会会長:ご質問ありがとうございました。まず、バイオシミラーの意義をもう一度ご確認していただきたいと思います。このバイオシミラーの普及によって医療費の適正化に大きく貢献します。もう1つは、患者様の方ですけれども、患者さんの費用負担が低減できます。高額なバイオ薬へのアクセスの向上が図れますので、そういった意味で、バイオシミラーは必要だということです。
先行品の企業に加えて、バイオシミラー業界が優先することによって、バイオ医薬品の安定供給や安全保障のリスクの軽減にも貢献できると考えております。我々バイオシミラーを開発するものとしましては、このバイオAGがあることによって、投資の予見性が非常に不透明になるということでございます。低分子のジェネリックと違いまして、かなり投資が必要になりますので、その意味ではバイオAGの不明確な定義のままでは、投資に踏み切れる状況にないということですので、今回ご議論していただいて、そういった事業の予見性を高めていただきたいというのが1つです。
また、先程、選定療養の話が出ましたが、今回ご提案させていただいたのは、薬価だけでは、バイオシミラーの振興は全部解決できませんので、複合的な対応の1つの例として挙げさせていただきました。今回を機に、そういったことを検討していただけばと考えています。以上でございます。
城山部会長:どうもありがとうございました。それでは資料「薬―6」(日本バイオテク協議会)について水島様、よろしくお願いします。
水島・日本バイオテク協議会理事:ありがとうございます。「開示度」を上げるために、どのような取り組みをしているのかというご質問をいただきました。我々製薬企業は、原薬等を購入する際に、原薬メーカーに対して日本の薬価算定ルールを説明し、利益を含めた原価構成を開示してもらうようお願いしております。しかしながら、通常の商取引でも、なかなか利益というのは開示してもらえないことは、ご理解いただけるかと思います。
特に外国企業の場合、日本独自の薬価算定における「開示度」ルールはなかなか理解していただけないため、開示を断られるケースが多くなっております。このことは事務局の方も、よくご存知かと思います。以上です。
城山部会長:ありがとうございました。はい、それでは資料「薬―7」(卸連)について、宮田会長をお願いします。
宮田:卸連会長:ご質問ありがとうございます。資料「薬―7」の4ページから6ページのの(コストに関する)データにつきまして、回答7社とありますが、広域4社含め、全国都道府県すべてカバーしておりまして、このデータについてはかなり高いデータであるということを、まずお伝えしたいと思います。
市場での大量購入、バイイングパワーがないわけではない。これは否定できないのですが、6月に開催した流改懇の中で、薬価差の偏在などが議論されています。これについては、継続的にどういう状況になっているのか、きっちりやっていく。流通改善ガイドラインをしっかり実効性の高いものにしていくということが一番重要だろうと考えています。経済合理性に合った価格交渉をしていくということでございますが、実際には乖離率も、22年が7%、23年が6%、24年が5.2%という形で圧縮しています。今回、データを示したように、仕入原価、これは仕切価が上昇しているというのは、前回7月のデータでお示ししましたが、これにリベート率を引いた仕入価という形で見ていただいたものが上がっているわけです。それが、流通コスト、薬価算定されている医薬品に対しての流通コストを配分して出しているわけでございますが、見ていただくように、右肩上がりで流通コストが上がっている状態です。そして、やっぱり、資料6ページのところで、これだけ多くの流通不採算がある中で、先ほど言ったような価格を市場原理に基づいて出せるかという、そういったところも限界まで来ていますよっていうのが、今回の我々の意見陳述でありまして、この流通コストが、納入価を上回っている状態が実際起こっているっていうことを、今回、委員の皆様に知っていただきながら、流改懇、あるいはそういう場で、しっかりと議論して新しい制度を作って頂きたい。
必ずしも、小さな規模の医療機関、薬局に価格が出せないとか、そういうことではなくて、実際にこういう状況になっているということを、ぜひご理解いただければと思います。以上でございます。
城山部会長:はい、ありがとうございます。江澤委員、いかがでしょうか?
江澤委員:ありがとうございます。最後の卸の件につきましては、我々の医療機関も小規模な薬局も、同じく限界に近づいておりますので、そういった公的な医療保険制度の中における市場原理というのは、ご理解いただければと思います。引き続き宜しくお願いします。
城山部会長:ありがとうございました。ちょっと時間が押しつつありますが、引き続き、ご質問、ご意見をいただければと思います。森委員お願いします。
森委員:はい、ありがとうございます。各団体におかれましては、ご説明ありがとうございました。江澤委員と重複するところがあるのですけど、なるべく避けながら、質問とコメントをさせていただきたいというふうに思っております。
まず、資料「薬―1」の5ページ目のところです。カテゴリーに対応した薬価改定のイメージのところで、「投資回収期間を終えたこと、後発品の収 載を踏まえて再評価」とありますが、これは新たな提案だと思っております。
そうした中で、後発品の収載を踏まえて再評価を行うということは薬価を下げるということで、ご説明をいただきました。ジェネリックに近い価格にまでということをお話しいただきましたけれども、価格を見直すという考え方に関しては理解しますけれども、そのことは例えば後発品の初収載価格に影響を及ぼすため、後発品の使用促進やジェネリックメーカーへの影響を踏まえた対応が必要だと考えております。
また、今年度の薬価改定で、多くの品目で先発品と後発品の価格に逆転が生じ、選定療養への対応や、カットオフ値の算出などに影響を与え、医療現場は非常に混乱を生じています。現行制度のままでは、今後も価格逆転が発生し、後発品の企業評価の活用により、さらに進むことを懸念しています。先発品と後発品の価格が逆転することは、医療現場にさまざまな影響を与えます。次期制度改革に向けて、国民医療現場、企業に極力影響がないよう、これらの観点も踏まえた方策を検討できればというふうに思っております。
続きまして資料「薬―1」の8ページ目です、再算定のルールに関係するところになります。真の臨床的有用性の評価ということは重要だと考えております。臨床の場で評価され、例えばガイドライン上、第一選択薬となり、市場が拡大する医薬品があれば、そうした医薬品の影響で市場が縮小する医薬品もあると思っております。これらの視点で、再評価について検討すべきではないかと考えております。
また、ある糖尿病治療薬ですけど、私がちょうど薬剤師になった頃は、あまり積極的に使われていませんでした。ただ現在、安全性、それからコストパフォーマンス、心血管保護効果などのエビデンスが豊富に出てきて、多くのガイドラインで第一選択薬とされている医薬品があります。真の臨床的有効性や安全性が評価されている医薬品については、必要な再評価も検討してはどうかと考えます。ここにコメントをいただければと思います。
それから、3番目ですけれども資料2ページ目で、有事を見据えた経済安全保障、医薬品、安定供給の対策のところの中に、非効率な少量多品目生産ということが書かれております。ここに関連してなんですけれども、生産体制や能力を最大限に活用するためには、例えば、特許が切れて新規後発品が新規収載されたことによる先発品の生産量減少に伴った空いた先発品の生産ラインというものがあると思います。そうしたラインを有効活用することはできないのか考えています。業界としてのお考えを教えていただければと思います。
また資料3ページ目のインフレ経済下での物価、賃金上昇等を踏まえた対応についてです。このことは製薬企業のみならず、薬局、医療機関においても重要だと考えております。薬局では、逆ザヤが例年と比較にならないほど増加をしています。物価・賃金等の上昇に伴い、メーカーは仕切価等に、卸は薬局、医療機関への納入価に価格を転嫁できますが、薬局、医療機関は価格を転嫁する先がありません。サプライチェーン全体の維持・強化のためにも、物価・賃金の上昇等を考慮した薬価改定の仕組みが必要であるというふうに考えます。
卸につきましては先ほ過度の薬価差のところに関して、お話をいただきましたけれども、現場感覚で言いますと、過度な薬価差や偏在というのは、なかなか改善していないのではないかという印象を受けております。ぜひ、ここは卸の重要な機能である価格形成機能を十分に発揮できるようにしていただきたいというふうに思っております。
それからもう一点、お願いですが、最近、薬局から卸の配送回数が減少していることや土曜日の配送中止、それから営業所に在庫がないというような様々な意見が寄せられています。薬局としても流通改善ガイドラインの取り組み等を通じて、流通の効率化に努めていきますので、卸現場でも現場の実情に即した流通体制の確保をお願いできればというふうに思っております。
JGAに関しては、江澤委員の方からありましたので、しっかりと各企業が不採算品再算定を受けたものに関して、取り組みが進むような形でお願いをしたいと考えております。
それからもう1つ。供給量を増やす企業、それから安定供給に取り組む企業を評価して、供給指標のみならず品目によっての評価もしていくべきと考えておりますので、これは業界として考えがあれば、お聞かせいただければと思います。私からは以上です。
城山部会長:はい、いくつかのご質問がありましたので、安川会長の方からお答えいただき、補足があれば他の方からいただければと思います。よろしくお願い致します。
安川・日薬連会長:ご質問の1つ目は、先発品と後発品の価格の逆転現象が薬局で混乱を生じる原因になっているというご指摘の点でございました。業界としては、まず安定供給を図るというところに主眼を置いておりまして、先ほど、川俣会長から説明がありました通り、努力をしている最中でございます。いろんな要因で逆転現象が起きていると思いますけれども、やはり薬価の下支えのところである程度、策を国で打っていただいたというところが1つの要因ですが、そこで、後発品との逆転現象ができているということは、まだ制度上の完結を見ていないということだと思っておりますので、引き続き、厚労省の方で対応をいただきたいと思っております。
次は再算定で、あの真の有用性がわかった後に考えた方がいいんじゃないかというご指摘でございます。似たような話を費用対効果の議論の中で我々もさせていただいております。申請までのフェーズ3のデータでは、非常に限られた範囲のデータになりますので、その後、3年、5年、市販して臨床現場において評価をいただいて、その上で良いものをあげる、駄目なものは下げると、こういうような方策が打たれば我々も歓迎でございます。
3つ目ですが、先発品の生産ラインを使えないかというご指摘でございます。これは国がやっている諮問委員会等でもよく出るお話でございまして、都度、私どもからあまり実効性がございませんという回答を申し上げているところでございます。もう一回、ここでは我々の事情をご説明したほうがいいと思います。
確かに、後発品が上市された後、先発品の製造ラインがまだ稼働しているケースも場合によってはございますけれども、多くの場合そうはなりません。三極での上市が終わって、全世界での特許切れまでの物量の見通しが立ったときに、メーカーは、どんなような設備で、どんな頻度で生産をすればいいかというのがわかります。それについての技術の磨きが終わったら、次にやることはコストダウンなので、その瞬間から、多くの会社さんは同じ作戦をとっていると思いますけれども、全世界のCMOに生産を依頼し、ライフサイクルの終わりは、ジェネリックが出てくるところを言っておりますけど、その数年前には、ほとんど自社で製造しませんで、それが通常の低分子、合成薬品の我々が取る作戦でございます。
中にはあの特殊な事情があって、例えば特殊な技術をCMOに出したくないとか、あるいはこの薬はGEが出てこないとか、特殊な事例はあると思いますけれども、たいていの場合には、私が今申し上げたような戦略を取りますので、企業の中には生産ラインがほとんど残っておりません。
その分のラインは、いま治験をやっている段階のもののスケールアップであるとか、研究段階の後期で初めてGMP製造をするようなものに対して、技術者や研究者の能力を振り向けるという。これが通常の作戦。なかなか特許切れの後、生産ラインが開いているということはない。これが現状でございます。
4つ目のインフレの話はコメントとして話をさせていただきました。私からは以上でございます。
城山部会長:いくつかのご質問の部分ですけれども、如何ですか。
森委員:ありがとうございます。生産ラインですけど、昨今の供給不足で日本全体で十分ではない供給体制ということが露呈したんじゃないかというふうに思っています。そうした中、先発・後発を問わず、国内生産という話がありました。日本全体での供給体制や能力を確保するという視点が重要かなという。業界全体の責任で、安定供給体制をなんとか考えられないのかな、ということで提案をさせていただきました。いろいろあると思いますけれども、国内生産という点で前向きに考えていただければ、というふうに思います。
城山部会長:それから卸に関しては、基本的にいくつかご要望ということだと思いますけど、ご質問で確認された部分でございますか?
森委員:何かコメントがあればお願いします。
城山部会長:宮田会長お願いします。
宮田・卸連会長:価格形成機能については、継続的に流改懇の中で流通改善ガイドラインの実効性やデータも継続的にお示ししながら流通当事者全員が議論して、共通の認識を持っていただくことが大切かなと考えております。
それから、休日・土日対応、土曜日の配送のあり方でございますが、2024年問題等ドライバー不足、実は人材不足が卸にとって非常に大きな課題になってきております。薬剤師さんがなかなか採用できないということで事業所を統合しなくちゃいけないようなエリアもある。我々は事業団体ですので、個別の会員企業の皆さんに取引状況をこうしなさいということを言えるものではございませんが、実際に各会員企業の皆さん、在庫管理のアプリケーションだとかシステムだとか、そういうものを駆使していると聞いておりますが、この件につきましては森先生からの強いご要望があったということは、会員企業の皆さんにしっかりお伝えしながら、現場の取引の中で、どうしていくのか経営判断していただくということで、よろしくお願い致します。
城山部会長:はい、よろしいでしょうか。
森委員:はい、ありがとうございました。いろんな事情に関してはわかりますけれども、医療現場は土日も含めて動いている。その中で、どうやって国民医療を提供するのか、医薬品を提供するのかというのは課題だと思っています。過度な負担をかけてはいけないと思いますけど、じゃあ、そうした中で、どうすれば国民に必要な医薬品が提供できるのか。卸に協力を得なければいけないということだと思っていますので、そういうことも含めて、今後もご相談させていただければと思います。以上です。
城山部会長:はい、どうもありがとうございました。ほかいかがでしょうか。松本委員お願いします。
松本委員:ご説明ありがとうございました。私からは、3つ質問したいと思います。まず、日薬連に対してです、薬剤費全体の考え方について見解を伺いたいと思います。資料「薬―1」の2ページです。3つ目のところに「社会保障費の縮小均衡策からの脱却」という見出しがございます。この意味するところは、多分、物価賃金上昇を反映して、医薬品市場の大幅な拡大ということを主張されているというふうに感じます。
一方で4ページに目を移しますと囲みのところに、「「薬価維持」と「薬価引下げ」のメリハリを強化し、創薬イノベーションの推進と国民負担軽減に資する」と記載されています。この2つの表を見ますと、少し矛盾があるのではないかというのが私個人的に感じています。
次に資料「薬―2」の7ページを見てみますと、薬剤費の伸び率が5年間の平均で1.9%とあり、薬剤費そのものの総額は拡大しております。さらに、このページの日本の薬剤費はDPC等の包括薬剤が含まれておりませんので、先ほど、江澤委員から別の観点もありましたけれども、この国際比較の妥当性は慎重に判断すべきだろうというふうに思います。いずれにしても日本の薬剤費の総額をもっと増やすべきだということが一貫した主張だと思いますが、業界としてトータルとしての薬剤費と内訳のメリハリというものについてのお考えを説明いただきたいというのが、1つ目の質問です。
次は、製薬協に向けた質問でございます。今日の資料にございませんけれども、前回、国内未承認薬の開発状況について説明があったと思うのですけれども、その時は時間の関係でご質問ができなかったのですが、以前、業界の方がドラッグ・ロスと説明されたものが86品目あったかと思いますが。その中で、厚労省の検討会で、優先順位が高いとしたものが、14品目。このうち企業から開発の申し出があったのがマラリアと炭疽菌薬の2品目だったと記憶しております。
これで開発評価が高まったということは否定しませんけれども、保険者の立場からいたしますと、公的医療費の財源を使ってイノベーションを推進する意義というのは、やはり国内で困っていらっしゃる患者さんに治療薬を届けることだと考えておりますので、最近、このあたりの検討は、より進んでいるのか状況を教えていただきたいというのが、2つ目でございます。
3つ目はJGAへの質問でございます。資料は2024年度実績で出ておりますけれども、もう2025年度も半期ほど過ぎております。現状がどうなのか、これは口頭で結構でございますけれども説明いただければと思います。
城山部会長:どうもありがとうございました。まず1つ目の質問。全体的な考え方の話ですが、安川会長の方からいかがでしょうか?
安川・日薬連会長:ご質問ありがとうございます。トータルをどう考えているのかというのがご質問だと思います。トータルの薬剤費は、当然、処方の数がかかってきて、我々は処方数をコントロールできない。これは医師のご判断でございますので、トータルが増えた、増えないではなくて、我々が申し上げているのは、個々の医薬品の価格を、ちゃんとインフレあるいは物価上昇を加味して毎年変えてくださいと、これが基本的なお願いでございます。
メリハリをつけるというのは、資料にも書きました通り、カテゴリー別にルールを設けてやっていただきたいということを申し上げているので、特段、矛盾があるような主張をしているとは思っておりません。以上でございます。
城山部会長:この点補足ございますか?よろしいですか。そうしましたら2つ目の質問のドラッグ・ラグの点ですが?
宮柱・製薬協会長:ありがとうございます。前回7月のヒアリングから2か月ほどしか経っておりませんが、厚生労働省の検討会で優先順位が高いとされたグループAの14品目のうち、開発公募品が1品目追加され6品目となり、2品目で企業から手が上がっている。公表情報の通りでございます。なかなか各社からの手上げの状況につきましては機密情報でありますので、我々もタイムリーに把握が難しいというところは、ご容赦いただければと思っております。
その他に製薬協として未承認薬の開発促進に向けて、継続して会員企業との情報交換、そして政府との調整を行うとともに、将来のドラッグ・ロス拡大を防ぐために、PMDAのワシントンオフィスやジェトロ・ニューヨークオフィスとも連携を取りながら、海外企業への国内開発の呼びかけ、日本の制度環境に関す、情報提供を行うなどの対応も進めております。今後も引き続き、ステークホルダーの皆さんと協力しながら、しっかりと医薬品が届くような環境を作ってまいりたいと思います。
城山部会長:ありがとうございました。それではジェネリックに関する状況について川俣会長いかがでしょうか?
川俣・JGA会長:ありがとうございます。2024年度というのは、2024年の4月から2025年の3月でございまして、この表示の中では上期と下期というふうな形で集計しております。したがって、2025年上期というのは、今年の9月末で締めますので、順次モニタリングしておりますので、引き続き報告できるようにいたします。
城山部会長:松本委員いかがでしょうか?
松本委員:いまの川俣さんの回答ですけれども、見通しとして、増えるのか、増えないのかっていうのは掴んでいらっしゃるのですか?
川俣・JGA会長:2024年度上期と下期の関係を見ても、2025年度の上期が減っているというふうには思っておりません。もちろん各社が増産に取り組んでいるわけですので、2025年9月末の状態では、さらにプラスになっている数字をお示しできると思います。
城山部会長:どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。
トムセン・PhRMA在日執行委員会委員長:松本委員のご質問、ご意見に対しまして、私の方から一言申し上げてよろしいでしょうか?
資料7ページですけれども、諸外国との比較をしておりますが、もちろん単純な比較はできないことは、私どもも理解しています。ここにはDPCは含まれておりません。そういった中で、毎年の額を正規化していきますと、それでもやはり伸び率が1.9%と低い数字になってしまいます。どういったデータを使うかによっても変わりますが、例えばIQVIAのデータを見ても、日本の成長率が一番低いということが、ここからも見て取れます。
日本において、外資系企業などグローバル本社は、ヨーロッパやアメリカにございますが、そういったところが、どこに投資をしようかと考えるときには、このようなデータを見て、どの市場に魅力があるか、それを見て比較をする中で決めておりますので、そういった重要なポイントも是非考慮頂ければと思います。
城山部会長:はい、ありがとうございました。松本委員のご質問に対する回答の補足ということで、ご発言いただいたと思います。
松本委員:ただ、保険制度が違うということ。少なくとも先ほどDPCデータは入ってないっていうことは理解いただけた。単純にこれを比較するということが妥当かどうかについて、トレンドとしてまあまあ合っているかもしれないけど、例えばパーセンテージが違う可能性もありますので、ご理解いただければと思います。
城山部会長:はい、よろしいでしょうか。佐保委員お願いします。
佐保委員:はい、ありがとうございます。関係業界の皆さん、ご説明ありがとうございました。資料「薬―1」の4ページにある通り、ドラック・ラグ/ロスの解消、医薬品の安定、供給確保、創薬イノベーションの推進と国民負担軽減という観点は重要と認識しております。私からは、日本ジェネリック製薬協会と日本医薬品卸売業連合会に質問をさせてください。
資料「薬-3」の5ページです。ジェネリック製薬協の資料にて、「物価上昇に連動して引き上げの見直しが出来る仕組みが必要」と提案があり、必要な措置として、基礎的医薬品の1つ目における安定供給になっている企業とあります。価格帯の集約には、企業指標を活用と記載がありますので、企業指標の活用とは別のことを考えているのかというふうに受け止めております。その上でお考えについて、補足があれば教えていただければと思います。それが一点です。
それから卸連には2点質問がございます。「薬―7」の5ページから6ページにかけて、流通コストの上昇は、後発品より長期収載品が高い一方で、総物流コストの上昇や流通不採算の比率は、長期収載品より後発品の方が高いことが見て取れます。これは7月9日のご説明から、後発品の方が仕入原価が高くなっていることが要因と認識しております。その際、どういった品目が上がっているのかなど、実態の把握が必要というご発言もございましたが、そうした調査の予定はございますか。
また、より具体的な品目や状況について把握されていることがあれば教えてください。
それから資料12ページ、流通現場の実態把握に向けてアンケート結果を出していただき、ありがとうございます。流通コストの上昇分を納入価格に反映することについて、得意先の理解が得られない、ほとんど得られていない、という回答が約4割とのことでした。これは、以前より改善している部分はあるのかどうか、また、そうした回答をしている企業において扱う品目など特徴があるのであれば教えてください。
城山部会長:それでは、まず一点目。ジェリックに関して川俣会長いかがでしょうか?
川俣・JGA会長:ありがとうございます。現在の企業指標の採用によって安定供給に積極的に取り組んでいる企業の薬価上の措置というのをいただいていると認識をしています。一方で基礎的医薬品ですとか、安定確保医薬品、重要確保医薬品といったものにつきましては、品目ごとの評価というのが必要だというふうに考えております。
先ほどの森委員の方からお話をいただいたところでありますが、これがまさに私どもがお願いをしている銘柄別の品目の薬価改定でございます。こちらについても、ご検討いただければ、というふうに考えているところでございます。よろしくお願いします。
城山部会長:続いて卸に関して宮田会長お願いいたします。
宮田・卸連会長:はい、ありがとうございます。資料「薬―7」の5ページ、7ページのデータについてですね。今後、具体的にこれを掘り下げるかというところについては、今の段階でご提供いただいている各企業の方に了承していただかなければできない。当然、我々が集計することができないものですから、第三者にやってもらうということなので、そこも含めて、現状として物価上昇分だとか、あるいは卸側の負担というか、いわゆる流通コスト、販管費の部分が賄えていない部分の状態はどういう品目の仕切価なのか、あるいはリベート、割り戻しなのかっていうのは、各企業ごとに多分つかんでいることだろうとは思っていますが、今の時点で卸連として、具体的に品目を落とし込むかというところまでは検討していないというところです。
それから資料12ページの調査は、産業プラットフォームさんが8月後半から集中的に、今のMS、MRさんを含めて現状でどういうことが起こり、流通改善がどう進んでいるのかについて、現状をいち早く調査すべきということでアンケートを取っていただきました。ここに書いてあるように、実際、物価上昇分は取引先も分かっていて、自分たちも物価上昇で困っているということで、理解しているんですけれども、それが価格交渉の中でオンコストできるかっていうところの理解は難しいですよねという反応が現場にある。
また、流通改善ガイドライン自体をまだまだよくご存知ではないというような医療機関、薬局さんもございますということが、他のデータの方から上がってきている。したがいまして、この実効性をどうやって高めていくのかという部分について進めていきたいということ。また、一番大きいのは、やっぱり需給調整業務でジェネリックが改善してますよって言われていますが、まだ20円以下の薬価の製品の82%が需給調整品目になっている。20円以下の薬価の品目が全体の50%を占める。売上高で1割しかないのですけれども、こういうところで薬局さんも医療機関も、卸も、コストを使っているというのが今の状況でございます。
本来なら、必要な医療機関にお届けするものを調達をしなければいけない、あるいは調整をしなければいけないという状況を早く解消して、もう5年たってますので、ぜひ、その辺も含めて我々は現場として、こういったものを、ぜひ、流通当事者である医療機関、薬局、製薬メーカー、卸の皆さんで、やっぱり改善していく必要があるだろうと思います。
城山部会長:はい、ありがとうございました。佐保委員いかがでしょうか?
佐保委員:ご説明、丁寧にありがとうございました。引き続き詳細なことが分かりましたら教えていただければと思います。ありがとうございます。
城山部会長:はい、ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。黒瀬委員お願いします。
黒瀬委員:はい、ありがとうございます。あの丁寧なご説明ありがとうございました。資料「薬―7」に関してですけれども、先ほどご説明いただいたように、その流通コストの中でも、特にその人手不足、ドライバーさんも含めてですね、人手不足が問題化しているということは、実は卸業界だけではなくて、例えば、検査会社の検体回収ですとか、あるいは医療廃棄物の廃棄問題。これらもすべて人手不足が非常に大きな問題になってきておりまして、コスト高を招いているあの要因にもなっていると思います。また、こういったことが、その例えば、先ほども出てきましたように、土日の医療制限につながったり、これは結果的に、国民の皆様に迷惑をかけてしまうというところでも非常に危惧されるところでございます。ここは、非常に難しい問題かもしれませんけれども、業界を超えて、ぜひ人手不足、ドライバーさんの不足も含めて、何らかのその対応ができないかということを、今後協議していただくということも重要な問題ではないかな、というふうに感じています。あくまでもこれは意見でございます。
城山部会長:はい、問題提起ありがとうございました。いかがでしょうか。議論も出尽くしたようですので、本日の議論はここまでと致します。事務局において、本日いただいたご意見も踏まえ、対応いただくようにお願いしたいと思います。
本日の議題は以上であります。次回の日程については、追って事務局より連絡いたします。それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。