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【中医協薬価・費用対評価合同部会 11月5日 議事要旨 創薬力向上の官民協議会WG議論の整理報告】

公開日時 2025/11/06 05:31
中医協薬価専門部会・費用対効果評価専門部会合同部会が11月5日に開かれ、「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」の議論の整理について報告を受け、質疑を行った。本誌は、合同部会での各側委員の発言について議事要旨として公開する。



城山部会長:ただいまただいまより第8回中央社会保険医療協議会 薬価専門部会・費用対効果評価専門部会合同部会を開催いたします。本合同部会の議事の進行につきについては、薬価専門部会の部会長であります城山が務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは議事に入ります。今回は「創薬力向上のための官民協議会ワーキングループ」の議論の整理の報告についてです。事務局より、資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。

事務局:医政局医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。資料「薬費―1」と参考資料をご覧いただければと思います。参考資料「薬費―1」の1ページ目でございます。創薬力向上に向けて、本年6月に、「創薬力向上のための官民協議会」が開催され、総理ご出席のもと関係大臣や製薬企業、アカデミアなどが出席し、官民で我が国の医薬品産業の創薬力の強化に向けた議論を行ったところでございます。この会議の中で、総理より具体的な方策を議論するため協議会の下にワーキンググループを設ける旨が発表されてございます。

次のページをご覧ください。一番下の箱に構成員が書いておりますが、具体的には業界団体、有識者、関係省庁の課長級を構成員とするワーキングループを設置しました。スケジュールとしましては、まずは現在中医協で議論が進められております薬価に関する部分を中心として議論を行い、中医協など関係審議会に報告することとし、その他の課題につきましても、その後引き続き議論を行い、来年5月ごろの官民協議会に議論を整理して報告するということとしております。

それでは資料「薬費―1」をご覧いただければと思います。これまで、このワーキングループは3回開催しまして、今般、議論の整理として、取りまとめをさせていただきました。先ほど申し上げた枠組みの中でワーキングループの構成員が活発な議論を重ね、産業政策の観点から議論を整理したものでございまして、これも踏まえながら中医協において、今後の議論を進めていただきますようお願い申し上げます。

資料「薬費―1」の1ページ目の「Ⅱ」(.成長産業・基幹産業としての政策方針及び官民協議会の在り方)ところでございます。成長産業・基幹産業としての政策方針というところでございますが、まず3つ目の「〇」にありますように、成長産業・基幹産業としてふさわしい仕組みの整備が必要であり、官民協議会を通じて、中長期的視点に立った国家戦略を早期に策定し、実現していくことが必要であるというふうにしております。

次に資料「薬費―1」2ページの「Ⅲ」薬価の関係でございます。まず基本的考え方としまして、2つ目の「〇」でございます。内外からの投資を我が国に呼び込み、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスを解消するためには、我が国の医薬品市場のイノベーションが適切に評価されるものであることが重要であるといたしまして、3つ目の「〇」にありますように、革新的新薬について、特許期間中は薬価を維持し、研究開発コストを回収しやすくして、次のイノベーションへの再投資につなげるということを基本的考え方としていくべきである。その上で後発品上市後は、後発品企業に安定供給等の役割を譲った上で、先発品は原則として、市場から撤退することが目指すべき産業構造である、というふうにしております。

下の方にもありましたように、「2.創薬イノベーションの推進について」のうち、「①革新的な医薬品の上市時の薬価について」です。ここにつきましては、あの3行目の「〇」にありますように、様々な意見がございました。主な意見をここに列記してございます。

まず、黒ポツの1つ目でございますが、イノベーションの評価や収載後に明らかになった価値の評価も含め、再生医療等製品など、多様な医薬品の価値を評価する手法の開発と適用を検討していくべきという意見がございました。

次に資料「薬費―1」3ページでございますが、2つ目の黒ポツになります。米国の最恵国待遇価格(MFN)政策に関し、日本での薬価が米国での価格に波及する可能性を懸念し、新薬導入に慎重になることで、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスとなるリスクがある。他国と比して、魅力度が劣らない市場であることが必要であり、スピード感を持って、対応を検討すべきとの意見がございました。

次に「②革新的医薬品の特許期間中の薬価」についてです。2つ目の「〇」にありますように、費用対効果評価制度につきましても、さまざまな意見が交わされたところでございます。黒ポツの1つ目としまして、一般論として、薬価に関し経済性を考慮要素に含めることは、科学的であり一定の合理性があると考えられるとの意見がありました。

一方で、3つ目の黒ポツにありますように、現行の費用対効果評価制度では、第三者を交えた客観的な検証を行い、客観的な検証はなく、さらなる活用や拡大をすべきではないとの意見もあったところでございます。

一番下の「〇」ですが、市場拡大再算定制度についての意見は、次の4ページ目になります。黒ポツ1つ目になりますが、有用な効能追加を行った場合の補正加算による引き下げ率緩和や、特例拡大再算定の廃止、類似品の適用除外、規模の経済が働かない再生医療等製品の適用除外、希少疾病や小児などの効能追加の対象除外などを検討すべきとの意見があった一方で、次のポツになりますが、市場拡再算定の考え方には、一定の合理性があると考えられるとの意見もあったところでございます。

次の「〇」は、その他の関係でありますが、インフレ等の経済動向への配慮、あるいは診療報酬改定のない年の薬価改定を廃止すべき。また、2027年の枠組みについて本年中に議論し、予見可能性を高めるべきとのさまざまな意見があったところでございます。

次に、資料「薬費―1」の「3.医薬品産業の構造改革等について」のうち、「①長期収載品の関係」でございます。2つ目の「〇」にありますが、長期収載品の段階的な薬価引き下げルールや、選定療養等の政策効果を分析し、さらなる施策の必要性を検討することが必要であるとしております。また、その下、3つ目の「〇」にありますように、基礎的医薬品等の薬価の下支えや撤退スキームの運用改善をすべきとの意見もあったところございます。

次に、「②後発医薬品産業の持続可能な産業構造のあり方」につきましては、2つ目の「〇」にあります通り、オーソライズドジェネリックについて、関連する薬価、薬事ルールに関する議論が必要であるというふうにしております。

次に資料「薬費―1」5ページに参りまして、「その他」の「① バイオシミラー市場への参入促進等について」は、1つ目の「〇」にあります通り、バイオシミラーの普及、国内製造のための政策誘導を進めていくことが重要である。また、2つ目の「〇」としまして、先行バイオ医薬品の選定療養やバイオAGにかかるルールの整備についても検討していくことが必要であるとしております。

次に、「②国民皆保険の持続可能性の確保等」につきましては、2つ目の「〇」にありますように。さまざまな意見があったところでございますが、主な意見といたしまして、1つ目の黒ポツにあります通り、薬価改定に頼らない社会保障財源を捻出すべきという意見がありました。

また、3つ目のポツとして、革新的医薬品産業による国内における研究開発や投資が日本の経済成長をけん引し、結果として制度の持続可能性に寄与する視点も踏まえて検討を進めるべきであるとの意見もあったところです。

また、4つ目のポツにありますように、医療DXの推進、医療データの利活用の推進の意見、あるいはリアルワールドデータの活用を含めたさまざまな視点から情報を集め、分析することが必要といった意見もございました。

最後に資料「薬費―1」6ページになりますが、今後のワーキング等において、議論を深めていくべき事項としまして、さまざまな視点からご意見をいただいたところでございまして、これらにつきまして、引き続き、我が国の医薬品産業の国際競争力を高めていくために、必要となる施策を来年の夏の取りまとめに向けまして、総合的、包括的に検討を深めていくこととしております。私からは以上でございます。

城山部会長:はい、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、何かご質問ご意見とございましたら、よろしくお願い致します。いかがでしょうか?高町委員お願いします。

高町委員:ありがとうございます。創薬力の強化は大変重要な課題だと思います。創薬力を強化することは、患者にいち早く新薬を届けるためにも、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスを解消するためにも必要なことで、そのためにイノベーションは大変重要なことだと思います。

しかし、それと同時に、新薬が重篤な副作用を引き起こさないように、安全性に関する議論も必要だと考えます。薬害を引き起こさない薬を開発することが真の創薬力強化と言えると思います。今回の資料を見てみますと、この点に全く触れられていません。薬害や副作用被害を二の次にした創薬では、患者の為にはなりませんので、この点に十分にご配慮いただきますよう、よろしくお願いします。

城山部会長:はい、どうもありがとうございました。他いかがでしょうか。松本委員お願いします。

松本委員:はい、ご説明ありがとうございました。ご報告いただいた内容につきましては、業界団体、有識者、そして関係省庁の方々からのご意見として拝聴させていただきました。具体的な対応につきましては、次期薬価制度改革に向けて中医協の中で議論いただきたいというふうに思います。私からは以上です。

城山部会長:はい、どうもありがとうございます。他いかがでしょうか。専門委員の方から何かご意見ありますでしょうか?よろしいでしょうか? 他に意見がないようでしたら本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。本日の議題は以上です。どうもありがとうございました。
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