レジリア 製薬向け「Resilire」採用40社、CMO10社弱 カスタマーサクセスでMR経験活かす 中瀬氏
公開日時 2025/11/05 04:52

レジリアの浦山博史事業開発部長は本誌取材に応じ、製薬企業向けのサプライチェーンリスク管理サービス「Resilire(レジリア)」の導入企業が40社、医薬品製造受託機関(CMO)が10社弱まで拡大したと明らかにした。特に5月以降はサプライチェーンのリスク管理への企業意識が強まっており、製造販売業者と並んでCMOの関心が高まっているという。一方、同社は顧客アプローチの手法に「カスタマーサクセス」を用いている。元武田薬品のMR出身で同社のカスタマーサクセス事業推進の中瀬良樹氏(写真右)は、「顧客と向き合って伴走する取り組みこそ、まさにMR経験を活かせる」と強調。製薬産業の安定供給体制構築に意欲を示した。
同社が2021年に製薬企業向けに開発した「Resilire(レジリア)」は、製薬企業内の各部署・各工場に散在するサプライチェーン情報を一元管理するだけでなく、製品ごとにサプライチェーン構造をツリー状に図式化し、原薬、添加剤、資材など調達先の潜在リスクの可視化などを支援することを目的に設計された。例えば、社内の各部署(委託先管理、購買、品質保証、工場)にExcelファイルで別々に管理されていた情報を、クラウド上での一元管理を可能としたほか、原料工程、原薬工程、製剤工程など外部委託先を含むサプライチェーンの「上流」にある潜在リスクを可視化することで、リスク要因の洗い出し、適正在庫、複線化有無、取引先選定、代替調達の意思決定の基礎情報の構築に役立てることが可能となる。
◎浦山事業開発部長 サプライチェーンの可視化でリスク要素をあぶり出し
浦山事業開発部長(写真左)は、「医薬品の調達サプライチェーンは国内に限らずグローバルの委託先も存在するなど、近年の地政学的な課題で起きた何らかのリスクの事象は必ず自社のサプライチェーンに影響を与えることがある」と強調。工場火災や大雨・地震などの災害が発生すると、「膨大な情報を収集しなきゃいけないが、これが難しい」と述べ、サプライチェーンを可視化することで、リスク要素をあぶり出し、潜在リスクを事前に把握することが求められると述べた。また「Resilire(レジリア)」の導入により、「影響製品の特定」までのフローを自動化でき、有事の際の対応の迅速化・自動化にも対応できるとも指摘した。
一方で導入企業の傾向として、「安定供給というところに強いプレッシャーを感じている企業が多い」と見通しながら、製造販売業者の外側にあるCDMO、CMO、原薬メーカーのニーズが高いと話しながら、「製造販売業者からの安定供給の圧を真正面から受けている」と語ってくれた。すでにCMOなどの導入企業が10社弱に及んでいるという。浦山事業開発部長は、「製薬企業と同じ“Resilire”を使っているだけで、競争力として評価されるようだ」とも明かしてくれた。
◎元タケダMRの中瀬氏 「顧客の成功に向かって伴走。まさにMR経験を十分活かせる」
同社のもう一つの特長に「カスタマーサクセス」がある。これを事業推進するのが元タケダMRの中瀬良樹氏だ。カスタマーサクセスとは、一般的に製品やサービスを通じて顧客が成功体験を得られるよう能動的に支援する取り組みや考え方だ。IT業界では一般的に用いられている。中瀬氏は、「コンサルタントに近いような感じのイメージ」と話しながら、「基本的には、医薬品の安定供給責任を果たすために、安定供給体制の構築という目的(ゴール)を踏まえ、レジリアをどう使っていくべきかを提案し、支援させて頂いている」と説明した。
また、「Resilire導入直後はより細かく機能など細かいところの説明を行う。その後、馴れてくると情報の一元管理が重要なので、データを一緒に見ながら、“このデータであれば、こういうふうにサプライチェーンを作った方が良いですよ”みたいな提案が業務となる」と話した。中瀬氏は、製薬業界という身近さに加えて、「顧客(製薬企業)の成功に向かって伴走するということは、まさにMR時代の経験を十分に活かすことができる」と語ってくれた。