厚労省医政局産情課 「創薬力向上の官民協議会WG」の議論の整理を中医協薬価・費用対合同部会に報告
公開日時 2025/11/06 05:32
中医協薬価専門部会・費用対効果評価専門部会合同部会は11月5日、「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ(WG)」の議論の整理について厚労省から報告を受け、質疑を行った。厚労省医政局の安中健医薬産業振興・医療情報企画課長は、官民協議会での議論の経緯を説明。「まずは中医協で議論が進められている薬価に関する部分を中心に議論を行った」と報告した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「具体的な対応については、次期薬価制度改革に向けて中医協の中で議論したい」と述べた。
官民協議会WGの議論の整理を説明した安中産情課長は、「国内外からの投資を日本に呼び込み、ドラッグ・ラグ/ロスを解消するためには医薬品市場のイノベーションが適切に評価されることが重要」との認識が示されたと説明。特許期間中の革新的新薬の薬価を維持し、研究開発コストを回収しやすくして、次のイノベーションへの再投資につなげることを基本的考え方に掲げているとした。一方で、後発品上市後は、後発品企業に安定供給等の役割を譲った上で、先発品は原則として、市場から撤退することが目指すべき産業構造であるとの見解も紹介した。
費用対効果評価については、「一般論として、薬価に関し経済性を考慮要素に含めることは、科学的であり一定の合理性がある」との意見がある一方で、「現行の費用対効果評価制度では、第三者を交えた客観的な検証を行い、客観的な検証はなく、さらなる活用や拡大をすべきではないとの意見もあった」と紹介した。さらに、市場拡大再算定制度については、「有用な効能追加を行った場合の補正加算による引き下げ率緩和や対象除外」を求める意見がある一方で、「市場拡再算定の考え方には、一定の合理性があると考えられるとの意見もあった」と述べた。
◎支払側・高町委員 薬害や副作用被害を二の次にした創薬では「患者の為にならない」
質疑では支払側の高町晃司委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が、「新薬が重篤な副作用を引き起こさないように、安全性に関する議論も必要だ」と指摘。今回示されたWGの議論の整理は、「この点に全く触れられていない。薬害や副作用被害を二の次にした創薬では、患者の為にならない」と述べ、「この点に十分配慮いただきたい」と要請した。また、支払側の松本委員は、「業界団体、有識者、そして関係省庁の方々からのご意見として拝聴させていただいた」と述べ、「具体的な対応については、次期薬価制度改革に向けて中医協の中で議論いただきたいというふうに思う」と応じた。