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卸連・宮田会長 中抜け等返品データベース 2カ月試験運用で不適切返品70件 「注意喚起が必要」

公開日時 2025/10/17 04:51
日本医薬品卸売業連合会(卸連)の宮田浩美会長は10月16日の定例会見で、医薬品流通の品質管理の向上を目的とした「中抜け等返品データベース(DB)」のトライアル版を2カ月運用したところ、不適切な返品事例が70件にのぼったことを明らかにした。このうちの約半数が、納品した医薬品の一部を使用し、残りを返品する“中抜け返品”だった。宮田会長は、同DBの今年度中の全面運用開始に意欲をみせるとともに、「再販売できない、あるいは再販売によって事故になってしまわないような注意喚起が必要」と述べた。

宮田会長によると、70件の不適切返品のほとんどが開封後の返品で、なかには開封のためのミシン目をセロハンテープで貼りなおしてわからないようにして戻されたケースもあった。PTPシートを輪ゴムでしばって個装箱に戻され、返品されたものもあった。宮田会長は、「悪意をもっての返品とは思わないが、このような返品を(医薬品卸が)受けるようなことがあっていいのか、ということを含め啓発したい」と問題提起した。

◎独禁法に抵触しないよう留意した“情報共有の仕方”など検討

卸連は同DBの構築を2025年度の事業計画に盛り込んでいる。医薬品の品質が確保されていない不適切な返品商品について、医薬品卸各社の受入部門や検査部門における点検の精度を高め、医療機関等に不適切な返品商品を出荷することがないようにするなど医薬品流通の品質管理の向上を図るためだ。宮田会長はこれまでに、「単に悪い得意先をデータベース化するのではなく、(不適切な返品商品を)タイムリーに情報共有するためのもの」だと説明し、今夏にトライアルを実施し、早期の全面運用を目指す考えを示していた。

そして、卸連はこのほど同DBのトライアル版を構築。会員企業6社にて、今年8月から2カ月間、試験的に運用した。試験運用では、システムの使いやすさや集計方法などのほか、公正取引委員会に確認しながら独占禁止法に抵触しないよう留意した“情報共有の仕方”を検討した。

宮田会長は、「全ての確認事項をクリアした上で、来年の早い時点で会員企業の皆さんにこの仕組みを使ってもらい注意喚起していきたい。また、日本医薬品卸勤務薬剤師会、日本薬剤師会、日本医師会などにも啓発しながら、注意喚起していきたい」と述べた。

◎宮田会長 今後のロビー活動「日本維新の会にも足を向けないといけない」

宮田会長は、混とんとした政局と今後のロビー活動に触れ、政権与党の枠組みがどうなるかわからないとした上で、「これまでは自民党、公明党、国民民主党の国会議員をご訪問して回ったが、今後はある面、日本維新の会にも足を向けないといけないと、足元の状況として考えている」と述べた。

卸連としては、政府の骨太方針2025の中に初めて明記された、医薬品の安定供給に向けて、「取り巻く環境の変化を踏まえた持続可能な流通の仕組みの検討を図る」ということに全力で取り組む考え。宮田会長は、新政権の経済対策・補正予算編成を見据えて、国会議員に働きかけつつ、厚労省の担当部局と連携をとりながら、インフレ基調の中でも持続可能な医薬品流通を実現するため「我々の主張をしっかり通したい」と強調した。
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