患者さんの声の見える化から、データと共感の繋ぎ方
HaaSとアリーナ戦略を動かす“リアルワールド・ボイス”
公開日時 2025/12/01 00:00
トランサージュ株式会社代表取締役瀧口慎太郎診察室で交わされる数分の対話は、患者の人生におけるほんの断片にすぎない。帰り道の電車の揺れ、家族への説明の難しさ、職場に戻る不安――。それらはカルテにもレセプトにも記録されず、しかし治療の継続や服薬の実行、さらには患者の生活再建に深く影響している。前回の総論では、製薬企業が「アリーナ戦略」と「HaaS(HealthcareasaService)」の実装に向かうには、“疾患を超えた価値提供”へと発想を変える必要があると述べた。その実装のヒントは、医療の外側に存在する患者の声の中にある。医師が診療室内で得られない情報──生活上の苦労、家族関係の変化、社会的孤立感──は、医療の「アリーナ」の外で起きている。そこにこそ、次の医療サービ...