ノバルティス HEMA-Bridge始動 血液医療の地域格差解消へ学会・医師会と新連携 全国展開目指す
公開日時 2026/04/14 04:50

ノバルティス ファーマは4月13日、日本血液学会、福島県医師会、三重県医師会と共同事業契約を締結し、“地域医療体制の再定義による偏在解消プロジェクト”「HEMA-Bridge事業」を始動すると発表した。同社の張家銘執行役員血液腫瘍領域事業部長は同日の記者発表会に臨み、「新薬の研究開発のみならず医療環境の整備にも貢献していきたい」と語った。事業では、血液疾患で経過観察中の患者を地域のクリニックへ逆紹介し、異常があれば再び基幹病院へ紹介する診療体制を構築する。基幹病院とクリニックの円滑な連携を促進するため、フォローアップガイドの運用と評価も行う。今後はプロジェクトで得られた知見を活かし、全国の地域医療への展開を進める方針だ。
HEMA-Bridge事業は、同社と日本血液学会、県医師会が協働し、医療機関の役割分担と連携体制を整備することで、経過観察中患者の病診連携の拡大を図る。三重県は人口当たりの血液専門医数が全国平均を上回る一方、福島県は全国平均を下回っており、対称的な両県で実施することで、事業の“横展開”につなげたい考えだ。
また、円滑な連携を実現するため、日本血液学会所属の専門医の監修のもと、診療上の注意点をまとめたフォローアップガイドを作成。対象疾患、疾患ごとのフォローのポイントや再発・増悪の兆候を示したチェックシートを連携する医師に配布し、連携を通じて改良を重ねていく。
背景には、血液疾患治療の進歩により患者の長期生存が可能となり、治療期間の長期化と患者数の増加がある。専門性の高い血液疾患では、基幹病院からクリニックへの逆紹介が進みにくく、専門医に負担が集中している。医師不足や地域偏在も重なり、負担は一層増しているのが現状だ。
張家氏は、「医療の発展によって血液疾患と長く共にする患者さんが多くなっている中で、専門医療と地域医療のさらなる強い連携は、患者さんにとっても医療現場にとっても今まで以上に重要だ」と強調。「新薬の提供に加え医療提供体制の最適化にも貢献し、患者さんが適切な治療に適切なタイミングでアクセスできるよう貢献していきたい」と述べた。
◎髙折理事長 「地方医療の均てん化が大きなテーマ」将来を見据えた取り組みに期待

日本血液学会の髙折晃史理事長は冒頭、「地方医療の均てん化が大きなテーマだ」と強調した。事業の意義について、「2040年に患者構成が変わった時に、大学病院がどのような形で専門性を発揮していくか問われる。このような取り組みがなければ継続は難しい」との認識を示した。
地域医療という観点からも、「週に一回輸血の必要なで2時間かけて病院に来る患者さんもいる」と言及。「将来的にはこうした課題も含めたプロジェクトにしたい」と語った。さらに、「福島と三重の違った条件の中で分析をして、二次的に全国に広げることを学会としては考えている」とし、「理事長として、全国の医師少数地域でも、患者さんが安心して治療を受けられるような未来を10年後に作りたい」と展望を示した。