エーザイ 28年度売上高1兆円 3年1兆円の成長投資で持続的成長基盤 内藤COO「尖った挑戦続ける」
公開日時 2026/05/26 05:30

エーザイは5月25日に開いた経営戦略説明会で3か年計画を発表し、2028年度の数値目標として売上収益1兆円、コア営業利益900億円を掲げた。早期アルツハイマー病治療薬・レケンビを3000億円規模に成長させることなどが軸。同社の売上を牽引する抗がん剤・レンビマの特許切れが迫る中で、パイプラインの強化にも注力する。研究開発投資や導入に1兆円規模を投じ、がん領域に後期臨床開発品を導入するなどして、持続的成長に向けた基盤を固めたい考え。内藤景介代表執行役専務COO兼チーフグロースオフィサーは、アルツハイマー病に挑戦してきた同社の歴史を引き合いに、今後も革新的新薬創出に向けて挑戦する姿勢を鮮明にした。そのために持続成長を続ける基盤が重要との考えを示し、「尖った挑戦を長期的に続けていくために、持続的な競争優位性をさらに高め、尖った創薬企業として変化をしていくための戦略的な取組みだ」と強調した。
「持続的成長企業への転換に向けて、レケンビの成長を起点に重点パイプラインへの投資と新たなファイナンス方針を推進する」-。内藤COOはこう意気込んだ。25年度の売上収益8254億円、コア営業利益501億円から、28年度に売上収益1兆円、コア営業利益900億円に伸ばす計画だ。事業の柱となる「3L(レケンビ、デエビゴ、レンビマ)の価値最大化を通じて、トップライン成長と収益性改善を両立し、持続的成長に向けた土台を強化する」と話す。コア営業利益については、一時金収入に依存しない事業成長を通じて大幅な伸長を目指す考えだ。3か年計画では、こうした事業成長に加え、製品開発、経営基盤の強化が3本柱で、持続的成長への基盤を構築したい考えだ。
◎成長投資に1兆円規模投資でパイプライン再構築 売上トップのレンビマの特許切れ迫る
策定の背景には、同社のトップ製品である抗がん剤・レンビマの特許切れが迫っていることがある。米国では30年6月30日まで後発品の発売はないと見通すが、欧州やアジアで特許切れの影響を受ける。25年度には3425億円売り上げたが、28年度は2500億円レベルを堅持することを目標に掲げる。
一方で、売上を伸ばすのがレケンビで、「成長の起点」との位置づけを表明。25年売上は880億円だが、30年度に3000億円レベルまで伸ばす。内藤COOは、「皮下注オートインジェクター(SC-AI)と血液バイオマーカーによる確定診断の普及、そしてリアルワールドエビデンスの蓄積といった技術革新が28年度に向けた躍進の非常に重要なキーとなる」と指摘し、環境整備を背景に処方医の処方が拡大し、標準治療となることを目指す。デエビゴも25年度の643億円から1000億円レベルに伸ばす。
あわせて、成長投資として1兆円規模を投資する。自社の研究開発投資5000億円規模を割くことに加え、パイプライン強化に5000億円を投じる。内藤COOは、「28年度までには承認申請、臨床導入を着実に積み上げ、パイプライン再構築による成長基盤を強化する」との考えを示した。レンビマが特許切れを迎える中で、パイプラインの拡充を急ぐがん領域については、「レンビマの価値最大化に加え、導入開発を推進し、パイプラインを拡充する」と述べ、導入にも積極的な構えをみせた。
積極投資は、営業キャッシュフロー(8000億円)に加え、国内普通社債やハイブリッド債などの活用を検討する考え。「市場環境や投資案件に応じて、多様な調達手段で安定的かつ機動的に投資資金を確保する」(大山拓也執行役CFO兼チーフIRオフィサー)との考えを示した。
◎レケンビの生産効率向上でコスト競争力を強化
一方で、経営基盤の強化にも取り組む。MQT(Manufacturing,Quality and Technology)について新体制として原薬から製剤開発、研究用の製剤生産、商業生産まで一貫した体制とすることで、CMC一体戦略を推進。品質を確保するともに、研究開発段階から商業生産まで見通したサプライチェーンの構築も視野に入れる。こうした取組みを通じてレケンビなどの抗体医薬の製造工程の改良、生産効率を向上させ、コスト競争力を強化する。24、 25年度に実施したグローバルの構造改革を通じて、組織・業務体制を再編するなど、経営基盤の強化を進める考えを示した。