白衣の多言語国家
公開日時 2026/06/01 00:00
医師・個人事業主(サージラボ)中村浩己「SVC(上大静脈)が閉塞しているかもしれない。造影CTを撮るから、カルテで腎機能を確認しておいて」――。病院での何気ない一場面である。どの業界にも専門用語はあるが、医療界ほど多言語が入り混じった世界も珍しい。前述の会話で言えば、SVCはsuperiorvenacavaというラテン語系の解剖学用語、CTはcomputedtomographyという英語、カルテはKarteというドイツ語である。ほんの一言の会話のなかに、いくつもの言語が同居している。私は、ルー大柴の「Togetherしようぜ」の世代だが、何のことはない、医療界の会話は昔から「Togetherしている」のである。そう思って見渡してみると、なかなか興味深い。ICU(集中治療室)、MRI(磁気共鳴...