2012年国内医療薬市場 抗体・バイオ医薬品、DPP-4が市場をけん引 IMSジャパン

公開日時 2013/02/26 04:01
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IMSジャパンは2月22日、2012年1~12月の国内医療用医薬品市場の動向を公表し、薬効領域別の市場規模で第1位が抗腫瘍薬になったことを明らかにした。前年は第2位だった。抗腫瘍薬は12年に売上6534億8200万円、前年比4.5%増(薬価ベース、以下同)となり、アバスチンやハーセプチンなどの分子標的薬の伸長が大きく寄与した。一方、これまで薬効領域別で1位だったARBなどのレニン-アンジオテンシン(RA)系作用薬は6385億4400万円、2.2%減だった。抗腫瘍薬の成長率が近年右肩上がりだったことに加え、12年4月の薬価改定では、一定条件を満たせば薬価が維持される新薬創出加算の対象品目に抗腫瘍薬が多かったことが、今回の逆転劇につながったとみられる。

12年の国内医療用医薬品市場、売上上位10製品、売上上位10薬効、売上上位20社の資料は、こちら

◎ブロプレス、ディオバン、プラビックス、アリセプトが売上1000億円超

12年の国内医療用医薬品市場は9兆5473億1400万円、0.7%増だった。内訳は病院市場が3兆7656億5900万円、1.7%増、開業医市場が2兆2387億6700万円、2.4%減、調剤薬局を指すその他市場が3兆5428億8800万円、1.6%増――だった。

製品別の売上上位10製品をみると、トップからARBブロプレス、ARBディオバン、抗血小板薬プラビックス、認知症薬アリセプト――で、これら上位4製品が売上1000億円を超えた。ただ、売上では、プラビックス(17.2%増)以外の3製品は前年を下回り、アリセプトは30.1%の大幅減だった。上位10製品の中で2ケタ成長したのは、プラビックスに加え、6位の抗リウマチ薬レミケード(11.0%増)と8位の抗腫瘍薬アバスチン(16.0%増)の計3製品となる。

◎好調な抗腫瘍薬、糖尿病薬、抗血栓症薬、免疫抑制薬の4薬効領域

薬効別に見てみると、上位10薬効で順位を上げたのは、抗腫瘍薬のほか、前年6位から4位に上げた糖尿病治療薬(4175億2000万円、8.9%増)、前年7位から6位に上げた抗血栓症薬(3759億4400万円、4.3%増)、前年10位圏外で今回10位にランクインした抗リウマチ薬などを含む免疫抑制薬(2893億6200万円、13.9%増)――の計4薬効だった。今回10位圏外となったのは、認知症薬を含む「その他の中枢神経系用薬」で、薬効内トップ売上で、11年11月末にジェネリック(GE)が参入したアリセプトの大幅減収が響いた。

一方で、薬効別で順位を下げたのはRA系作用薬のほか、前年4位から5位になった制酸剤、鼓腸、潰瘍治療薬(4086億300万円、6.1%減)、前年5位から7位となった全身性抗菌薬(3733億7100万円、4.2%減)の計3薬効。

次に薬効内を詳細に見てみる。薬効別順位でトップの抗腫瘍薬の売上上位製品は、
1位がアバスチン(793億1800万円、16.0%増)
2位がティーエスワン ハイゴウT(415億100万円、1.6%減)
3位がグリベック(383億4100万円、6.3%減)
となった。同市場をけん引したのは、アバスチンのほか、ハーセプチン(352億1100万円、11.4%増)、ベクティビックス(205億2700万円、14.3%増)、ベルケイド タケダ(183億9300万円、46.7%増)といった分子標的薬。また、11年7月に発売したワンタキソテール(68億9500万円、613.2%増)や、同年同月発売のハラヴェン(62億7600万円、252.0%増)も大きく売上を伸ばした。

薬効別順位で2位のRA系作用薬の売上上位製品は、
1位がARBブロプレス(1148億6200万円、10.9%減)
2位がARBディオバン(1083億200万円、9.9%減)
3位がARBオルメテック ダイイチサンキョウ(834億9600万円、4.7%減)
となったが、これら上位3製品はいずれも売上を減らした。12年4月の薬価改定が主因だ。それでも同市場の減収幅がマイナス2.2%にとどまったのは、各ARBの配合剤が伸長したため。具体的には、▽ARBブロプレスとCCBアムロジピンとの配合剤ユニシア243億5600万円、47.1%増 ▽ARBディオバンとアムロジピンとの配合剤エックスフォージ223億9600万円、61.1%増▽ARBオルメテックとCCBカルブロックとの配合剤レザルタス(181億9900万円、43.9%増――と揃って大幅増収となった。ユニシアはRA系作用薬の売上順位で7位となる。なお、ARB単剤では、アバプロ(128億7500万円、5.9%増)やイルベタン(113億1900万円、10.2%増)も増収となった。

◎ジャヌビアの売上743億円 1年間で210億円以上の増収

薬効別順位で4位、売上規模も4000億円台に乗せた糖尿病治療薬を見てみると、売上上位製品は、
1位がDPP-4阻害薬ジャヌビア(743億9300万円、41.2%増)
2位がDPP-4阻害薬グラクティブ(370億4900万円、33.8%増)
3位がDPP-4阻害薬ネシーナ(299億8800万円、186.5%増)
となり、DPP-4阻害薬が糖尿病治療薬市場を成長させた原動力となった。また、DPP-4阻害薬エクアの売上は178億9000万円、110.9%増だった。各製品の増収額を計算すると、ジャヌビアが約217億円増、グラクティブが約94億円増、ネシーナが約195億円増、エクアが約94億円増――となり、ファーストインクラスのジャヌビアがトップを独走し、ネシーナがジャヌビアに追いつかないまでも、薬効内2位に向けて追い上げていることがわかる。

そのほかの糖尿病治療薬では、α-GIベイスンが237億600万円、24.4%減、TZDアクトスが229億9100万円、44.7%減、SU薬アマリールが167億4800万円、27.9%減――となった。持効型溶解インスリンアナログ製剤ランタスは183億3500万円、17.9%増と2ケタ成長した。

薬効別順位で前年からひとつ順位を上げた抗血栓症薬では、
1位が抗血小板薬プラビックス(1021億4400万円、17.2%増)
2位が抗血小板薬プレタール(539億9200万円、6.5%減)
3位がプロスタグランジン製剤オパルモン(380億1100万円、11.8%減)
で、売上4位に11年3月発売の直接トロンビン阻害薬プラザキサ(235億5600万円、157.0%増)がランクインした。

同じく薬効別順位を上げて12年にトップ10入りした免疫抑制剤では、1位がレミケード(859億2900万円、11.0%増)、2位がエンブレル ファイザー(464億6700万円、89.3%増)、4位がヒュミラ(278億9800万円、22.0%増)――とリウマチを適応とする生物製剤が売上上位になるとともに、そろって2ケタ成長した。同薬効領域で売上3位はリウマチの適応も持つ免疫抑制薬プログラフ(460億900万円、7.4%増)だった。

◎クレストール売上合計でリピトール先発品を抜く

薬効別順位に変動のなかった3薬効を見てみる。脂質調整薬及び動脈硬化用薬では、売上トップはスタチン製剤リピトールで変化はなかったものの、売上743億1900万円、31.8%減となり、12年4月の薬価改定や11年11月末のGE参入の影響を大きく受けた。リピトールのGEでは、沢井製薬の製品(45億6600万円)やエルメッドエーザイの製品(42億1200万円)などが売上を伸ばしたようだ。また、スタチン製剤では、塩野義とアストラゼネカ(AZ)が共同販売しているクレストールが、▽塩野義432億400万円、10.1%増 ▽AZ430億4600万円、6.8%増――となり、先発品同士で比較すると、クレストールの売上がリピトールの売上を抜いた格好になっている。

向精神薬では、売上上位から、
1位が統合失調症等治療薬ジプレキサ(549億4600万円、8.0%増)
2位が入眠薬マイスリー(372億8400万円、2.5%減)
3位が統合失調症等治療薬セロクエル(319億7600万円、5.0%増)
で、マイスリーは12年6月にジェネリックの参入を受けたが影響を最小限に抑えた。また、売上4位は、統合失調症などの適応を持つエビリファイ(318億3900万円、13.6%増)で、同剤は2ケタ成長した。そのほか、11年1月発売の統合失調症治療薬インヴェガが75億9200万円、89.5%増、10年7月発売の入眠薬ロゼレムは45億4200万円、110.3%増――だった。

成長率が0%だった喘息・COPD治療薬では、売上トップのアドエア(502億7000万円、8.2%増)や4位のシムビコート(278億2200万円、33.4%増)が売上を伸ばす一方で、オノン(261億600万円、17.3%減)やホクナリン アボット(104億6700万円、9.3%減)が前年売上を下回った。特許期間中の先発品と特許切れした長期収載品で市場動向に違いがみられる。

次に薬効別順位を落とした領域を見てみる。前年から6.1%のマイナス成長となった制酸剤、鼓腸、潰瘍治療薬では、11年9月発売のPPIネキシウムが146億800万円、420.1%増との売上となったものの、この薬効領域の売上トップ製品であるPPIタケプロン(792億2200万円、6.4%減)、2位のPPIパリエット(692億6100万円、9.4%減)、3位のH2ブロッカーのガスター(360億9200万円、18.4%減)――といった上位3製品がそろって減収となった。

同じく4.2%のマイナス成長だった全身性抗菌薬では、売上3位のゾシンが227億3400万円、21.8%増と大きく売上を伸ばしたものの、売上トップのクラビット ダイイチサンキョウ(404億8800万円、0.9%増)はほぼ横ばい、2位のクラリス(227億5200万円、10.9%減)や4位のフロモックス(223億7100万円、11.4%減)は2ケタ減となった。

◎製薬企業売上ランク 上位4社変わらず 中外やノバルティスが上昇

次に製薬企業別の売上ランキングを見てみる。販売会社ベースではトップから武田薬品、アステラス、第一三共、田辺三菱――と上位4社の顔ぶれは前年と同じだった。しかし前年5位のエーザイはアリセプトの影響で8位に後退し、代わって前年7位の中外製薬が5位に、前年6位だったMSDは今回も6位、前年8位だったノバルティスは今回7位にランクアップした。9位ファイザー、10位グラクソ・スミスクラインは順位が変わらなかった。

上位10社で順位を上げた企業を見ると、中外はアバスチンやハーセプチンといった抗腫瘍薬のほか、腎性貧血治療薬ミルセラ(219億5300万円、297.3%増)も業績全体に貢献した。ただ、ミルセラについては競合品の協和発酵キリンの最主力品ネスプが650億円4700万円、0.6%増となっており、その差はまだ開いている。ノバルティスはディオバンやエックスフォージ、エクアのほか、加齢黄斑変性症治療薬ルセンティス(254億4300万円、26.3%増)といった主力品が業績に貢献した。

◎疼痛用薬リリカ 売上453億円に

そのほか、MSDはジャヌビアやゼチーアのほか、子宮頸がんワクチンガーダシルが131億300万円、226.7%増と売上を大きく伸ばした。ファイザーでは疼痛用薬リリカ(453億2500万円、44.4%増)や閉経後骨粗しょう症治療薬ビビアント(66億8300万円、230.9%増)の2製品が前年の売上を大きく上回った。GSKは子宮頸がんワクチンのサーバリックス(218億4400万円、57.8%減)に代わって、トップ製品にアドエアとなった。

次に11位~20位の企業のうち、2ケタ成長したのは18位の日本イーライリリーで、売上1850億200万円、10.8%増となった。トップ製品のジプレキサのほか、骨粗鬆症治療薬フォルテオ(282億3800万円、129.0%増)が業績全体に寄与した。また、12位のサノフィも売上2713億8000万円、6.8%増と成長し、トップ製品のプラビックスがけん引したほか、12年8月発売の国内初の不活化ポリオワクチンのイモバックスポリオが売上155億4800万円となり、業績に寄与した。

一方で苦戦したのは14位のAZで、売上2260億3400万円、5.5%減となった。上位20社中で、エーザイに次ぐ減収率となる。クレストールが好調だった半面、PPIオメプラール(293億700万円、26.3%減)や前立腺がん治療薬カソデックス(286億4500万円、13.6%減)といった製品の減収が業績に響いた。
 

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