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京都大学 ARB・ブロプレスの臨床研究CASE-Jで「問題は認められない」

公開日時 2015/03/02 03:51

武田薬品の販売するARB・ブロプレス(一般名:カンデサルタン)の臨床研究「CASE-J」で、メイン結果を示す図での不一致が指摘された問題をめぐり、京都大学は2月27日、データ改ざんや捏造などの臨床研究不正は認められなかったとする報告書を発表した。奨学寄付金による多額の研究資金の提供や武田薬品からの役務提供も指摘されていたが、「武田薬品を不当に優遇するなどして、公正かつ適正な判断が現実に損なわれた事実は認められなかった」とした。



同研究の結果をめぐっては、心血管イベントの発生率が、投与開始から36〜42か月の間で対照薬であるCa拮抗薬・アムロジピンを逆転することが示されていた。武田薬品は、これをMedical Tribuneなどの医学商業誌を通じ、“ゴールデンクロス”と銘打ち、同剤の長期投与の有用性を広く医学会に発信していた。


この図表については、Medical Tribuneなどの医学商業誌に掲載された日本語版と、第21回国際高血圧学会発表時の英語版との間に食い違いがあったことが指摘されていた。報告書では、生データと論文に実際に掲載されたスライド、学会発表時の英語版のスライドについては一致したと説明。一方で、医学商業誌に掲載された日本語版のスライドは、発表スライドや生データとは一致しなかった。

スライドの作成に際しては、いずれも「EBM研究センターが作成した事実はない」とした。その上で、日本語版のスライドは、学会発表スライドをもとに武田薬品の医薬営業本部プロダクトマネージャーが責任者として作成されたとした上で、「武田薬品が作成するスライドはすべて業者に委託しており、グラフのずれは業者のミスだと思われ、意図的にずらしたものではない」と武田薬品医薬開発本部市販後調査部に在籍していた担当者が証言しているとした。
 

また、販促資料に関係した同大の研究者は当時こうしたずれには気づいていなかったと判断した。ただし、研究者の立場上、注意をして確認し、事態の発生を防ぐことが望まれたとした。


論文の統計解析については、▽解析に用いられたCOX比例ハザードモデルの適用、▽解析期間を48か月間から42か月間に短縮、▽併用薬の是非--について検討したが、いずれも「統計解析の正当性について問題は認められないとの結論を得た」とした。


利益相反については、2001年から武田薬品から奨学寄付金を受領していたが、「当時において問題とされるべき時柄ではなかった」とした。また、武田薬品から3人の研究者が講演料等の個人報酬を得ていたが、いずれも社会的妥当性を逸脱するものではなく、京都大学の制度の運用に対する違反行為は存在しないと判断した。
 

そのほか、武田薬品が試験参加医師に対して、パソコンを貸与していたことも指摘されていたが、パソコン
のセッティング、回収、機器の使用方法に対する問い合わせへの回答や不具合対応などは武田薬品以外の事業者が作業を実施していたとした。MRらが作業を一部補助していた可能性は認めたものの、「当時において問題とされるべき状況ではなかったと判断した」。
CRFのFAXによる送付を武田薬品のMRらが行っていたことについては、EBM研究センターにFAXで送信されたCRFのうち医師22人、130症例は、武田薬品の名古屋地区、四国地区の営業所から送信された履歴が送信用紙に印字されていたとした。ただし、MRらが試験参加医師からの依頼で送信したにすぎず、データの改ざん等はなかったとしている。

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