アイルランド・シャイアー社 米Baxalta社に300億ドル買収提案
公開日時 2015/08/06 03:50
アイルランド・シャイアー社は8月4日、米ベンチャーのBaxalta社に対して株式交換で総額300億ドルとなる買収提案をオファーしたと発表した。
買収提案の内容は、Baxaltaの株主が1株当たりShire社の米国預託証券(ADR)0.1687ADRを受け取ることを可能とし、これはBaxalta株式1株当たり45.23ドル相当の評価額で、2015年8月3日のニューヨーク証券取引所(NYSE)におけるBaxalta株価の36%増となる。これにより、買収総額は約300億ドルになる。
シャイアー社のFlemming Omskov CEOは、「我々は、シャイアー社とBaxalta社の統合は、両社の成長への意欲を増大させ、希少疾患領域で主導的な国際的バイオ企業を生み、戦略的かつ財務的に魅力ある企業になると信じている」と買収への意欲を示した。
Baxalta社は、今年7月初めに米Baxter社から分離独立、NYSEに上場したばかりで、血友病、がん、免疫領域での希少疾患治療薬を得意としている。シャイアー社もADHD(注意欠陥多動性障害)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ファブリー病、ムコ多糖症など幅広く希少疾患領域に集中しているので、Shire社は希少疾患領域でのプレゼンス強化を図る思惑がある。
Omskov CEOは、統合により2020年までに30製品以上を上市、2桁成長を維持、売上200億ドルを目指すと展望を示した。
一方、Baxalta社は、同日、同買収提案に対して、直ちに拒否する声明を発表した。
Baxalta社のWayne T Hockmyer会長は、「当取締役会は本日(4日)、シャイアー社の提案は、Baxalta社およびBaxalta社の魅力ある成長展望ならびに価値の創造を非常に過小評価しており、また今回の合併は、株式公開会社としてまさに早期段階にある、Baxalta社の存在を著しく損なうものだ。我々の株主の価値の創造をまさに危うくするものだとの結論を再確認した」と同社の対応を説明した。
シャイアー社は、今年7月10日にもFlemming Omskov社長名の文書でBaxalta社に非公開で買収提案を行っており、今回は公開しての発表で、2度目となる。Baxalta社は7月の時点でも同提案を拒否した。