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薬食審・第二部会 新薬など10製品を審議、全て承認了承 MSDのがん免疫療法薬も

公開日時 2016/09/12 03:52

厚労省の薬食審医薬品第二部会が9月9日、新薬など10製品の承認の可否について審議し、全ての承認を了承した。この中にはMSDのがん免疫チェックポイント阻害薬で抗PD-1抗体キイトルーダ点滴静注があり、悪性黒色腫の治療薬として承認される見通しとなった。承認されれば、がん免疫チェックポイント阻害薬としては抗PD-1抗体オプジーボ、抗CTLA-4抗体ヤーボイに続く3番手、抗PD-1抗体としては2番手となる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請社名)

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL、同40mgシリンジ0.4mL、同80mgシリンジ0.8mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ合同会社):「既存治療で効果不十分な非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。

ぶどう膜炎は虹彩、毛様体、脈絡膜からなる血管膜に炎症が生じることで視力障害や眼痛がもたらされる疾患で、進行すると失明に至る。非感染性ぶどう膜炎にはサルコイドーシスやベーチェット病などの全身性の炎症に伴うぶどう膜炎のほか、全身性の病変が認められない特発性ぶどう膜炎があり、非感染性ぶどう膜炎における炎症の維持にTNF-αの関与が示唆されている。

同剤はヒトTNF-αに対するヒトIgG1モノクローナル抗体で、TNF-αのTNF-α受容体に結合することで眼炎症を抑え、非感染性ぶどう膜炎に対する有効性を示すと考えられている。用法・用量は通常、成人にはアダリムマブとして初回に80mgを皮下注射し、初回投与1週間後以降は40mgを2週に1回、皮下注射する。海外では欧米で16年6月に承認済。

ビラノア錠20mg(ビラスチン、大鵬薬品):「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

ヒスタミンH1受容体拮抗薬。1回20mgを1日1回、空腹時に経口投与して用いる。類薬にはザイザルやアレグラなどがあり、アレルギー性鼻炎や皮膚疾患に伴うそう痒に対する治療選択肢のひとつとなる。海外では12歳以上の季節性・通年性アレルギー性鼻炎ならびに蕁麻疹を適応に、90以上の国・地域で承認済(15年3月現在)。

ヴィキラックス配合錠(オムビタスビル水和物/パリタプレビル水和物/リトナビル、アッヴィ合同会社)、レベトールカプセル200mg(リバビリン、MSD)

ヴィキラックス:「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2023年9月27日まで)。

レベトール:「オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤との併用によるセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間はヴィキラックス配合錠の残余(2023年9月27日まで)。

ヴィキラックスは現在、ジェノタイプ1に使用でき、今回のジェノタイプ2が承認されれば、治療にインターフェロンを必要としないインターフェロンフリー療法薬でジェノタイプ1と2の適応を持つ初の薬剤となる。

ジェノタイプ2に対して両剤を併用して用いる。ヴィキラックスは通常、成人には1日1回2錠を食後に経口投与し、投与期間は16週間となる。なお、ジェノタイプ1の投与期間は12週間。ヴィキラックスは海外で、ジェノタイプ2に対する効能・効果で承認されている国はない(16年6月現在)。

グラジナ錠50mg(グラゾプレビル水和物、MSD)、エレルサ錠50mg(エルバスビル、MSD):両剤とも「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。両剤とも再審査期間は8年。優先審査品目。

両剤を併用して用いる。両剤とも1日1回経口投与し、投与期間は12週間。

グラジナはHCVの複製に関わるHCV NS3/4Aプロテアーゼを阻害し、HCVの増殖を抑制する。エレルサはHCVの複製に関わるHCV NS5Aを阻害し、HCVの増殖を抑制する。類薬にはハーボニー配合錠やヴィキラックス配合錠などがあり、治療選択肢のひとつとなる。海外ではグラジナとエレルサの配合剤として、米国、カナダなど4カ国で承認済(16年6月現在)。

イデルビオン静注用250、同500、同1000、同2000(アルブトレペノナコグアルファ(遺伝子組換え)、CSLベーリング):「血液凝固第IX因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

遺伝子組換えアルブミンと、遺伝子組換えFIX(血液凝固第IX因子)の融合タンパク質。既存の人血漿由来FIX製剤に比べて血漿中消失半減期を延長させ、投与頻度を減少させる。用法・用量は、定期的に投与する場合は通常、体重1kgあたり35~50国際単位を7日に1回投与する。患者の状態に応じて体重1kgあたり75国際単位を14日に1回投与することもできる。

この半減期の延長を目的に修飾したFIX製剤としては、オルプロリクス静注用に続いて2剤目となる。海外では米国で16年3月に、欧州では16年5月に承認済。

キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

免疫チェックポイント阻害薬で抗PD-1抗体。がん抗原特異的なT細胞の活性化及びがん細胞に対する細胞傷害活性を増強し、腫瘍の増殖を抑えるとされる。同クラスの薬剤にはオプジーボがあり、承認されれば2番手となる。海外では欧米など55の国・地域で承認済(2016年5月時点)。

エムプリシティ点滴静注用300mg、同400mg(エロツズマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

レナリドミド、デキサメタゾンと併用する。ヒトCD319に対する免疫グロブリンG(IgG)1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体。抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を誘導することなどによって、腫瘍の増殖を抑えるとされる。海外では、欧米など4つの国・地域で承認済(2016年6月時点)

アイクルシグ錠15mg(ポナチニブ塩酸塩、大塚製薬):「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

BCR-ABLを阻害することで白血病細胞の増殖を抑えるとされる。ダサチニブ、ニロチニブなどに対し抵抗性を示すBCR-ABL等の点突然変異を有するBCR-ABLに対して阻害作用を示すことなどから、既存薬に対し抵抗性を示すケースへの有効性が期待されるという。45mgを1日1回投与。海外では36カ国で承認済(2016年5月時点)。

コルヒチンの適応に指定難病の「家族性地中海熱」追加 小児の用法用量も

【報告品目】(カッコ内は成分名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査の段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断された製品。

コルヒチン錠0.5mg「タカタ」(コルヒチン、高田製薬):「家族性地中海熱」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

同適応に対する小児を含む用法・用量も追加する。成人には1日0.5mgを1回または2回に分けて経口投与。最大1日1.5mgまで。小児は1日0.01~0.02mg/kgを1回又は2回に分けて経口投与。1日最大0.03mg/kgまでとし、成人の1日最大投与量を超えないこととする。

今回追加される適応症は厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬、適応外薬検討会議」での公知申請が妥当との判断を受けて申請されたもの。国内外で多くの教科書、診療ガイドライン等において第一選択薬として記載されているという。海外では米仏カナダで承認済。

家族性地中海熱は指定難病。遺伝子変異が原因で周期的な発熱を呈し、それに加えて胸膜炎、腹膜炎、関節炎などが現れる。国内推定患者数は292人。
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