【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

米・カリフォルニア住民投票 薬価規制法案の導入に反対

公開日時 2016/11/16 03:50

米カリフォルニア州で11月8日、大統領選と同時に実施された、「カリフォルニア医薬品価格救済法」(California Drug Price Relief Act)と称する州法案61(Proposition 61:Prop 61)の制定の可否についての住民投票で、反対457万245票(53.75%)、賛成393万3084票(46.25%)でその導入は否決された。

Prop 61はカリフォルニア州のメディケア(高齢者保険)およびメディケード(低所得者保険)で購入する医薬品価格を退役軍人保険(VA)の購入価格を上回らないように上限を定めるというものだ。VAの購入価格は平均して、他の政府機関が購入する価格よりも24%安く、メディケアパートD(薬剤給付プログラム)よりも40%安いと推定されている。

Prop61の制定を強く推進する米上院議員Bernie Sanders氏(2016年選挙非改選)や全米退職者協会(AARP)、カリフォルニア看護師協会(CNA)、Consumer Watchdog(消費者監視団体)、AIDSヘルスケア基金(AIDS HF)などはYes on Prop 61というグループを結成、州民の理解と支持を獲得しようと同法導入への運動を展開した。結果的には、同議員らの主張は州民に受け入れられなかったが、この運動中、Facebookなどソーシアルメディアサイトで、大手製薬企業6社のCEOらを米連邦捜査局(FBI)による犯罪者の指名手配(Wanted)になぞらえた、高薬価反対キャンペーン広告の掲載を開始した。Bernie Sanders議員は、Hillary Clinton氏が民主党の大統領指名候補者となるまえ、Clinton氏と指名獲得を競っていた。米通信社Business Wire、米議会情報誌STAT、医薬専門誌Fierce Pharmaなどが報じた。

Yes on Prop 61キャンペーン広告の対象となったのは、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、米メルク、アッヴィ、アラガン、アムジェンの大手6社ほかマイランおよびギリアドのCEOである。各CEOの顔写真の下には、「容疑事実」として、極端な薬価値上げ、違法プロモーションおよびその解決のための和解金の額、副作用事故への対応などが記されていた。

日本人には衝撃的ともいえる内容だが、米国人らしいブラックユーモアとも解釈できる。Yes on Prop 61のGarry South 戦略部長は、「製薬企業幹部は、医薬品が患者に起こした恐ろしい障害を隠そうとし、メディケアやメディケードの資金を盗もうと嘘をつき、医薬品を売るために医療供給者に違法なリベートを支払っているので有罪である」と製薬企業を厳しく非難した。

大手製薬企業は、Prop 61には強く反対。住民が賛成票を投じないように、反対運動に多額の献金を投入したという。今回の住民投票では、賛成派および反対派合わせて1億2589万ドルが投入され、住民投票では異例の多額の資金が使われたと伝えられている。

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(1)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー