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中医協総会 長期収載品の選定療養は価格差2分の1以上に引上げ 予算編成過程で決定へ

公開日時 2025/12/18 04:51
厚労省は12月16日の中医協総会に、長期収載品の選定療養について、患者の負担水準を「長期収載品と後発医薬品の価格差の2分の1以上」に引上げる方向で検討することを提案した。具体的な水準は保険給付額に反映されるため、予算編成過程を経た上で取りまとめる。診療側からは小児や希少疾患、難病などの患者への配慮を求める声があがり、制度設計に向けて慎重な議論を求める声があがった。一方、支払側は後発品切り替えのインセンティブとしての意義を強調。支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は本人の希望で先発品が処方されることから、「保険給付の公平性の観点からも、後発品と先発品の価格差の全額を特別の料金とする方向で見直しを図るべき」と主張した。

◎患者負担の「特別な料金」 1万円超は長期処方や剤数の影響大きく

事務局は中医協に患者の負担水準を引き上げたシミュレーションを提示した。長期収載品の薬価を1錠20円、後発医薬品の薬価を1錠10円とし、1日4錠・25日分を投薬した場合、現行制度では患者の支払う「特別の料金」は250円だが、価格差の2分の1に引上げる場合は500円、4分の3では750円、1分の1では1000円になる。また、患者の支払う特別の料金が1か月に1万円超となるなど、負担の大きいケースがあることへの懸念の声もある。厚労省は1か月の特別の料金が1万円を超える調剤レセプトを分析したところ、価格差よりも長期処方による処方量や剤数の影響が大きいことも報告した。

そのうえで、現行制度のルールである「医療上の必要がある場合や、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合については、引き続き、選定療養の対象外とする」ことを「前提」としたうえで、患者の負担水準を長期収載品と後発医薬品の価格差の2分の1以上に引上げることを提案した。

◎診療側・江澤委員「小児や希少疾患、難病等の患者、在宅自己注射患者への配慮を」

診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「医療上必要がある場合や、後発医薬品を提供することが困難な場合については、引き続き選定療養の対象外とすることは大前提であることは申し上げたい」と述べた。「引上げるのであれば、比較的単価の高い薬剤を使用されている可能性がある小児や希少疾患、難病等の患者、あるいは在宅自己注射を実施している患者などへの配慮をどうするのかといった問題もあると考えている」と指摘した。

「価格差の4分の1が500円を超えるということは、仮に今回2分の1に引上げるとすれば、1剤当たり1000円を超えて大きな負担となる。そういった患者さんが本当に苦慮すること、お困りになることはないのかどうか、慎重に踏まえた上で取り組んでいただきたい」とも述べた。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「長期収載品の選定療養が導入されてからまだ約一年ということも踏まえ、患者負担、医薬品の供給状況、医療現場への影響を含めて慎重に検討する必要がある」と指摘した。

◎支払側・松本委員 「後発品に切り替えるインセンティブが主たる目的」

一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「選定療養の仕組みそのものは、後発品に切り替えるインセンティブを働かせることが主たる目的だ。患者さんに負担を感じてもらうことも、ある意味では重要な要素ではないか」と指摘。「後発品を使用するインセンティブをより効かせるためにはこうした特別料金の基準を引き上げるべき」とも主張した。

具体的な引上げ水準について予算編成過程を経た上で取りまとめることについて「異論はない」としたが、「今後の議論では、医療上の必要性によって特別料金の対象にならなかったケースについても、具体的な内容を示していただきたい」と要望した。

◎支払側・鳥潟委員「後発品と先発品の価格差の全額を特別の料金とする方向で見直しを」

支払側の鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は「本人の希望で先発品を使用する場合であることから、後発品が処方される方との保険給付の公平性の観点からも、後発品と先発品の価格差の全額を特別の料金とする方向で見直しを図るべき。少なくとも価格差のなるべく高い割合とする見直しを今般行うべき」と主張した。

支払側の永井幸子委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「患者の負担を引き上げる場合は、患者への影響を踏まえるとともに、患者に対してこの制度だけでなく、ジェネリック医薬品について丁寧な説明、周知などの対応も必要だ」と指摘した。

支払側の奥田好秀委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)は、「将来の医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、長期収載品をはじめとした医薬品の保険給付のあり方を適正に見直すことが不可欠だ」と話した。


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