くすり未来塾 医薬品流通の安定化へ 薬価・流通改善GL両面で早急に必要な措置を
公開日時 2025/11/14 04:47
薬価流通政策研究会・くすり未来塾は11月13日、医薬品流通の安定のために、「薬価・流通両面において早急に必要な措置を講じるべき」と提言した。流通コストが納入価格に反映できない状況に問題意識を示し、薬価の引上げなどのほか、「流通経費の削減を早い者勝ちのような形で行う製薬企業に対しては、他社への流通コストの転嫁(いわゆる、タダ乗り)が起こらないよう、流通改革・流通改善ガイドライン等で何らかの歯止めが必要ではないか」などと提案している。このほか、重要供給確保医薬品や感染症対策物資については、「不採算状態を解消させるとともに、製造設備の老朽化更新が可能となるような薬価上の措置や設備投資に対する支援が必要」としている。
流通に関してくすり未来塾は、データを示しながら、「物流コストが上昇する中で、医薬品卸は人件費も燃料費も総額として抑制せざるを得なくなり、賃上げ等の単価上昇をサービスの低下(配送減、拠点減、在庫減、人員減等)でやりくりしている実態にある」と指摘。薬価・流通面での対応を急ぐほか、「医療機関経営が安定することが医薬品供給の前提であり、そのためには物品費や物流コストの上昇に医療機関が対応できるよう、概算要求段階で医療費の予算要求には過去2年間の物価賃金の動向を適切に反映して予算要求することを原則とする方式に改め、あらゆるコスト上昇に医療機関が対応できるようにすべきではないか。その予算積算上の増額幅を踏まえて、品目によっては物流コストの転嫁を医薬品卸が医療機関にお願いすることができるようにすべきではないか」としている。
◎重要供給確保医薬品や感染症対策物資 不採算解消、製造設備の老朽化更新可能な支援を
薬機法改正により、厚労大臣の指示により重要供給確保医薬品や感染症対策物資の増産を求めることができるようになるなかで、「企業が増産する環境整備は未整備」と指摘した。
「医療上の重要性が高いにもかかわらず、度重なる薬価改定で低薬価となり、増産はおろか安定供給もままならない品目が多数含まれる」と説明。これらの品目については、「増産を求める前に少なくとも不採算状態を解消させるとともに、製造設備の老朽化更新が可能となるような薬価上の措置や設備投資に対する支援が必要」と指摘した。
◎再生医療等製品 有用性加算や補正加算率の減算ルール見直しを
再生医療等製品については、CAR-T細胞療法を引き合いに、「細胞治療の分野では、同じジャンルであるために、別の疾患の治療薬ですら同一価格と、研究開発費が一切評価されない仕組みとなっている」と指摘。現行の有用性加算の要件を見直すほか、売上50億円以上及び単価1000万円以上の補正加算率の減算ルールの見直しなども求めた。
このほか、バイオシミラーの使用促進が課題となる中で、バイオAGがバイオシミラーの開発に影響を与えていることから、「バイオAGについて薬価の引下げ、バイオシミラーの使用目標の判定上先行品扱いする、等の扱いを導入すべき」と提案。国内生産体制拠点の整備には複数年が必要であることから、「バイオシミラー製造拠点整備に係る複数年補助を行う仕組み(基金等)の創設」なども提言した。