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第一三共・2016年度決算 国内医療用医薬品売上高 武田薬品抜き悲願の“ナンバーワン”

公開日時 2017/05/12 03:51

第一三共は5月11日、2017年3月期決算を発表し、国内医療用医薬品売上高が対前年同期比2.4%増の5066億円となり、武田薬品を抜き、悲願の国内売上高でナンバーワンに立った。薬価改定の影響を吸収し、抗凝固薬・リクシアナが対前年同期比92.6%増となるなど、主力7品目が伸長した。中山讓治代表取締役会長兼CEOは、多様な製品群で価値を提供し成長軌道を描いたとし、「我々の戦略上で掲げたナンバーワンが実現できたことは極めて良かった」と述べた。眞鍋淳代表取締役社長兼COOも、「日本でナンバーワンになりたいと営業のメンバーと共に目指してきた。目指してきた方向は、手段を含めて間違いではなかった」と喜びを語った。第4期中期経営計画で、“日本ナンバーワンカンパニーとして成長”を戦略目標に掲げた同社が、その姿を現実のものとした。

「国内については、ある意味で広角打法。多様なポートフォリオで成長して、国の医療体制の変化を見定めながら広く患者さんをカバーできるような体制にする。そのことが新たな力になって新たな製品のライセンスインもできるだろうというストラテジーを取っている。このストラテジーに従っているから意味があるのであって、ただ単にナンバーワンになることに価値があるというものではない」--。

会見で、中山会長がこう語ったように、2016年度決算では、複数の領域にわたる主力製品群の伸長が国内売上高トップに押し上げた。抗凝固薬・リクシアナが対前年同期比120億円伸長したのを筆頭に、2型糖尿病治療薬・テネリア、抗インフルエンザウイルス薬・イナビル、抗血小板薬・エフィエント、骨粗鬆症治療薬・プラリア、アルツハイマー型認知症治療薬・メマリー、抗潰瘍薬・ネキシウムが大きく伸長し、長期収載品となったロキソニンやオルメテックの減収を補った。

主力品成長の背景にはMRの高い評価など、営業力の強さがある。実績を残すことで、外部の製薬企業の提携など、新たなビジネスチャンス創出、そしてさらなる発展にもつながる。中山会長は、「これをベースにさらに高い信頼をステークホルダー、医療の分野で勝ち取るということ、それをテコに新たなライセンスインにつなげていく」と述べ、さらに持続的に発展していく姿を目指す考えを示した。


◎営業利益 2017年度は底の一年「知恵を絞り、汗を絞り達成を」


一方で、2016年度連結ベースでの売上高は、北里第一三共ワクチンの減損損失を計上したことが響き、対前年同期比3.2%減の9551億円、営業利益が対前年同期比31.8%減の889億円、純利益が対前年同期比35.0%減の535億円で、減収減益となった。中山会長は、「営業利益が減益となったことをCEOとして重く受け止めている」と述べた。


2017年度はオルメテックのパテントクリフが直撃することが想定される。オルメテックや合剤・レザルタスなどの製品群で、グローバル全体で売上高840億円の減収を見込む。この影響を吸収できず、連結ベースで売上高は対前年同期比2.6%減の9300億円、営業利益は対前年同期比12.4%増の1000億円、純利益は対前年同期比23.4%増の660億円を見込む。

特殊要因を除くと減収減益になるが、中山会長はコスト削減や効率性向上などに継続して取り組む必要性を強調し、「全員が知恵を絞り、汗を絞って達成したい」と述べた。2017年度は、特にパテントクリフの影響が大きく出ることが予想される。中山会長は、「2017年度はその通過点、ただきわめて大事な通過点だと思っている。営業利益を一種の底としてこれを上回るようにしていきたい」、「今年を乗り越えたら来年はもっと乗り越えやすい、未来がはっきりしてくる」と述べ、2017年度を重要な一年に位置づけた。


◎リクシアナ 10万例規模のリアルワールドデータ集積でアクセル



製品群としては、リクシアナの成長に注力する姿勢も改めて表明した。国内では、2016年度第4四半期時点で売上収益シェアは18.2%。新規患者のシェアは32.0%まで拡大し、直接経口抗凝固薬(DOAC)市場で上位2製品に肉薄している状況にある。中山会長は、「上市された既存品で最もチャンスがある、重要な製品だ」と述べた。


同剤のポテンシャルを最大化する上で、新規エビデンスを創出することが重要との考えも表明。6本、10万例規模の大規模臨床研究を通じ、リアルワールドデータを集積する方針を打ち出した。中山会長は、「このマーケットは、ワルファリンと比較して、使用実態、現実に使用した際の情報が最も求められているプロダクトだと思うので、最優先でお金をつぎ込んでいく」と述べ、リアルワールドデータ集積を成長の原動力に位置づけ、積極的に投資する考えも示した。


【2016年度連結業績 (前年比) 17年度予想(前年比)、億円】 

売上高 9551(3.2%減) 9300(2.6%減)
営業利益 889(31.8%減) 1000(12.4%増)
当期利益(親会社帰属) 535(35.0%減) 660(23.4%増)
 

【2016年度グローバル製品売上高(前年同期実績)、17年度予想、億円】
オルメサルタン 2180 (2841) 1340
プラスグレル 416 (322) 非開示
エドキサバン 373 (150) 650

【2016年度国内主要製品売上高(前年同期実績)、17年度予想、億円】
ネキシウム 840(824)920
オルメテック 694(739)470
メマリー 469(424)540
ロキソニン 374(481)330
テネリア 242(165)300
リクシアナ 250(130)390
レザルタス 175(182)160
プラリア 180(125)230
ランマーク 139(124)150
イナビル 196(140)130
クラビット 151(184)130
オムニパーク 142(169)110
ユリーフ 114(118)110
アーチスト 106(151)90
メバロチン 104(134)100
エフィエント 104(49)130
第一三共エスファ品 202(185)非開示
ワクチン事業 385(368)非開示 

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