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厚労省・佐藤安対課長 高齢化時代で高まる適正使用の必要性 MR活動に変化求める

公開日時 2017/07/25 03:51

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課の佐藤大作課長は7月22日、都内で開かれた第1回JASDIフォーラムで講演し、高齢化に伴って多剤併用(ポリファーマシー)や医療提供体制の変更など、様々な要因がある中で、適正使用を推進する必要性が高まっていると強調した。MR活動についても、「MRがどういう形で適正使用に協力できるような形で情報提供・収集ができるかも考えていかないといけない」と指摘。地域包括ケアシステムの中で、多職種間での情報共有が進む新たな姿へと医療現場が変化する中で、多職種連携の中で、単剤にとどまらない情報提供・収集を行う新たな姿へと舵を切る必要があるとの考えを示した。


佐藤課長は、医薬品の承認時は、規定された条件下で行われる臨床研究という比較的“単純系”の世界だと説明した。これに対し、市販後は、急性期から在宅に至るまで、それぞれのステージで、様々な課題が立ちはだかる。特に、高齢化が進み、国が地域包括ケアシステム構築へと舵を切る中で、地域の医療現場は様々な要因が絡み合った、言わば“複雑系”であると説明。ポリファーマシーや残薬などの課題に対し、適正使用を推進し、リスクや問題の発生をマネジメントしていくかが重要になるとした。


地域包括ケアシステムの主役である高齢者は、複数の疾患を合併する症例や腎機能低下例など、多様な病態をもつ。しかし、3剤以上の併用情報や75歳以上の高齢者での安全性など“エビデンスの不足”があると指摘した。現場の状況が多様化する中で、「すべての現場で一様に通じるような医薬品の適正使用という考え方は難しい」。こうした中で、「多職種による横断的かつ一元的な高齢者薬物療法適正化チーム」を構築し、腎機能などの検査値など情報を共有することの必要性を指摘。「様々なプレイヤーの中で情報を共有していかないといけないのが地域包括ケアのまさに特徴だ」と述べた。


医薬品の情報提供のあり方も地域包括ケアシステム、ポリファーマシー対策に合致した姿へと変化する必要性を指摘した。製薬企業が個別の医師、薬剤師にプロモーション、情報提供に注力することで医薬品が使用・選択されていた姿から、医師と薬剤師が専門的なディスカッションを行う姿へと変化する方向性を描いた(関連記事はこちら)。MR活動についても、医療機関や地域で、専門的なディスカッションを行う医師と薬剤師に対して、情報提供・収集を行う姿を新たに考える必要性があるとの考えを示した。


高齢者の薬物療法では、減薬などを考慮することも一つの重要なポイントになる。佐藤課長は、「減薬を進めるというのは薬剤師からすればやりやすいが、MRの仕事の本分は営業という面もある。自分の会社を適正使用で使うなとは言えないだろうということもあるだろう。MRがどういう形で適正使用に協力できるような形で情報提供・収集ができるかも考えていかないといけない」と述べた。また、「これまでは、単剤での情報提供と副作用情報収集が原則だった」と指摘した上で、「地域の医療現場では、もっと複雑系の情報ニーズとアウトプットがあるのではないか」と述べ、情報提供・収集の内容についても変化を求めた。


また、急性期から在宅へと患者の流れができる中で、在宅医療の中でこれまでに使用経験の少ない薬剤での副作用が生じる可能性も指摘。これまで副作用報告は病院からの報告が多かったが、診療所や保険薬局からも副作用を拾い上げることが重要とし、「医薬品の安全対策を考えると、在宅に行ってからも医療機関と薬局が連携して副作用をチェックする体制を作らないといけない」との考えも示した。

 

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