ノバルティス・綱場新社長 今後10年で「社会から最も信頼される企業に」

公開日時 2017/07/25 03:52
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ノバルティスファーマの綱場一成社長は7月24日、4月の社長就任後初の記者会見にのぞみ、10年後の2027年には「製薬企業の中で社会から最も信頼され、革新的新薬で代表的な会社になれるよう社員一同、まい進したい」と抱負を述べた。ダーク・コッシャ前社長による企業風土改革を「継続する」と表明し、17年中に「次の10年に耐え得るビジネスモデル」を社員全員で作ると語った。国内営業体制を8月1日付で見直し、呼吸器事業部を発展的に解消して、製品特性に応じてプライマリーケア事業部とスペシャリティケア事業部に製品とMRを振り分けることも明らかにした。

同社では、降圧剤ディオバンをめぐる医師主導臨床研究のデータ改ざん問題(以下、ディオバン臨床研究不正)、医師主導臨床研究へのMRの不適切な関与、副作用報告遅延問題――が相次ぎ発覚した。この再発防止と信頼回復に取り組んだコッシャ前社長の任期満了に伴い、綱場氏が17年4月に社長に就任した。

綱場社長は会見冒頭、ディオバン臨床研究不正に関する3月16日の東京地裁での判決に触れ、「地裁から無罪判決をいただいたが、一方で、データ改ざん等を含めて事実認定されている。この本質は臨床研究に適切にかかわってこなかったことが原因となって発生したもの」との認識を示し、「深く反省し、引き続き重く責任をとらえて、今後も活動していきたい」と述べた。

そして、「“Innovation”と“Integrity”でナンバー1カンパニーを目指す」と強調し、企業風土改革の継続と、革新的新薬を日本の患者に遅滞なく提供できるよう取り組むと表明した。

企業風土改革の現状については、問題発覚後から3年にわたる社内研修などで、「社員の中にはIntegrityやコンプライアンスの意識が非常に高まっている」としたものの、「企業風土は文字通り、“風”と“土”。“風”と“土”になるぐらい、そこにあるかどうかわからないぐらいの形で根付かないといけない。風土が根付くには一朝一夕にはいかず、私を含めて実直に、愚直に取り組む」と述べ、全社一丸となって長期にわたって取り組む課題との認識を示した。

■「日本人のリーダーが必要」

綱場社長は2001年に米イーライリリー社に入社。米国でMRなどを経験し、日本法人ではオンコロジー領域および精神科領域にて営業所長やプロダクトマネジャー、糖尿病領域事業本部長などを歴任した。オーストラリア・ニュージーランド法人の社長も務めた。東京大経済学部卒(94年)、米国デューク大でMBA取得(01年)。46歳。現在、1歳7か月の男の子の保育園の送り迎えもしており、実体験を生かして働き方改革にも取り組みたいとしている。

綱場社長は17年1月にノバルティスに入社した。その経緯について、「日本人のリーダーが必要だとノバルティス本社が考えた」「ノバルティス本社には、現地の市場環境は現地の人間が一番よく知っているとの考え方がある。企業風土の改善や流通などの商慣習は日本人がよく知っているだろうと考えてくれた」と説明し、入社・社長就任に至ったという。

日本のノバルティスグループを管理するノバルティスホールディングスジャパンの社長に16年7月、鳥居正男氏が就任したことにも触れながら、「(日本法人の経営トップが)日本人2人体制というのはユニークと言えばユニーク。失敗したら、日本人経営者は大したことないな、となる」とし、日本市場のニーズをしっかり踏まえて事業展開していく構えをみせた。

■プライマリーケア担当MRは約900人

この日の会見では、8月1日付けで国内営業体制を見直すことも明らかになった。これまでの▽循環器・代謝(MR数約800人)▽呼吸器(約200人)▽移植・皮膚・免疫(約100人)▽中枢神経(約300人)▽眼科(約400人)―の各事業部と、オンコロジー事業本部(約300人)による5事業部+1事業本部体制を、4事業部+1事業本部体制に改編する。

具体的には8月以降は▽プライマリーケア(循環器・代謝、COPD、約900人)▽スペシャリティケア(移植・皮膚・免疫、喘息、約100人)▽中枢神経(約300人)▽アルコンファーマ(=眼科、約400人)――の各事業部と、オンコロジー事業本部(約300人)とする。これまでの呼吸器事業部を解消し、COPD治療薬をプライマリーケア事業部で、生物製剤の喘息治療薬ゾレアはスペシャリティケア事業部が担うようにする。

なお、8月以前の合計MR数は約2100人となる。しかし、同社は各MR数を概数で公表しており、同社広報部は8月以前、以後ともMR数は2000人体制と説明している。

この体制変更により、糖尿病治療薬エクアファミリーやCOPD治療薬ウルティブロ、グローバル戦略製品の乾癬治療薬コセンティクスの訪問先施設を広げる。国内フェーズ3段階にある慢性心不全治療薬サクビトリル/バルサルタンなどの大型新薬の将来の上市に備えるねらいもある。

また、MR数の今後の見通しを質された綱場社長は、「現時点ではMRの縮小は考えていない。多くの新製品が出てくるためだ」と述べた。ただ、「適材適所の配置はある」とし、疾患によってはMRを増員したり、MRの一部を、地域包括ケア時代の情報収集やコーディネーターの役割を担うキーアカウントマネジャー(KAM)にしていくことは「十分ある」とも語った。

【ノバルティス ファーマ 16年売上(15年売上)】
売上 2502億円 (2597億円)
※国際財務基準

【16年国内主要製品売上上位10製品、億円】
エクア 336
グリベック 275
タシグナ 207
ルセンティス 206
ディオバン 171
ネオーラル/サンディミュン 152
アフィニトール 151
パタノール 147
エクメット 112
サンドスタチン 99
※薬価ベース

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