2018年度診療報酬改定で田村元厚労相 楽観論を牽制 待機児童対策約500億が焦点

公開日時 2017/09/12 03:51
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自民党の田村憲久元厚労相は9月9日、石川県金沢市で掲載された第59回全日本病院学会で講演し、2018年度診療報酬改定の財源確保について、待機児童対策など子育て支援の約500億円程度が追加される可能性を指摘した。財務省は18年度予算編成において社会保障費の自然増圧縮分として1300億円程度の制度改革を厚労省に求めている。田村元厚労相は、子育て支援分の追加財源が求められる可能性に警戒感を示しながら、診療報酬・介護報酬のプラス改定の楽観論に対し、「実際はそんなに簡単ではない」と釘を刺した。

社会保障関係費については、2017年度に高額療養費制度の負担引き上げや、介護保険料について所得に応じて負担する総報酬割にするなどの改革を行った。本格的な財政的な効果は18年度以降あらわれることになり、1300億円の財源圧縮について楽観視する声もある。田村元厚労相は、昨年末の予算編成の段階で「ある程度稼いでいるものがある」と認めた。一方で、政府が希望出生率1.8を掲げ、少子化対策にも本腰を入れる中で、「国費ベースで約500億円の子育てのお金が別途かかってくると変わってくる」と指摘。「本体プラスをなんとかして実現したい」と意欲をみせた。

政府は2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を掲げる。田村元厚労相は、アベノミクスによる経済効果で所得税や法人税などが増加しているとし、「黒字までいけるかわからないが、それに近いところまで行けると目算している」と述べた。2025年に超高齢社会が到来し、医療・介護費の増大も見込まれる中で、社会保障財源の確保が欠かせない。過去には景気の冷え込みなどを受けて2度にわたり増税が延期されてきた経緯がある。田村元厚労相は、「2019年10月には消費税はどうしても上げたいし、そうしなければ財政が持たない。ただ、消費税を上げて景気が悪くなって所得税、法人税が落ち込むようでは意味がない。そうさせない仕組みを入れないといけない」と述べた。


◎鈴木医務技監 18年度は惑星直列 財源確保が分水嶺に



同日講演した鈴木康裕医務技監は、18年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に加え、第3期医療費適正化計画や、国民健康保険(国保)の都道府県へ権限移譲される国保改革がスタートするなど、“惑星直列”に当たると重要性を説明した。その上で、同時改定の財源について「どう確保できるかが分水嶺だ。子育て支援にどれくらいコストがかかって5000億円の中にどれだけ見込むのか、見込まないかがネックになる」と述べた。

鈴木医務技監は2025年までの高齢者人口の増加による医療・介護ニーズの増加と、その後2030~40年に到来するニーズの減少との両局面を視野に入れることが必要だと説明し、病院経営の観点からも、「引き戦両方考えないと安定した経営が望めない」と指摘した。都道府県では、地域医療構想を策定し、医療需要と供給を推計している。鈴木医務技監は、将来的に起きる可能性のある医療需要と供給のミスマッチを考慮し、病院の承継や建て替えなどのタイミングで病院機能を見つめなおす必要性を指摘。「いま変わらないといけない」と会場の病院経営者に呼びかけた。


鈴木医務技監のインタビュー「厚労省・鈴木医務技監 遠隔診療活用した生活習慣病の管理など18年度診療報酬改定の焦点に」
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鈴木医務技監は、18年度診療報酬・介護報酬同時改定について、在宅医療などの適正化や、かかりつけ薬局・薬剤師の推進による医薬分業の実現などを論点にあげた。医薬分業を推進してきた背景について、患者が複数の医療機関を受診する中で、保険薬局で服薬状況を一元的に把握し、多剤併用や重複投与などを防ぐことがあったと説明。これは、いわゆる保険薬局の“かかりつけ機能”に当たる。こうした役割を薬剤師・薬局が十分に発揮するために、電子お薬手帳を通じた情報の電子化・共有化を広げ、全国どこにいても患者の服薬状況を把握できる環境を整備していく必要性を指摘した。鈴木医務技監は、「来年の改定以降大事になるのが医療ICTだ」と強調。データの見える化を通じ、術後の適正な抗生物質の投与日数が明確になるなど、医療の効率化・適正化が進むと見通した。


また、高齢者が地域で生活する上で、口から食物を摂取することが重要になるが、高齢者に摂食嚥下訓練を行うことで栄養摂取手段が変化したとのデータを示しながら、診療報酬上の評価を検討する必要性も指摘した。

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