製薬協・中山会長 多面的価値を薬価に反映する制度設計求める

公開日時 2018/11/22 03:51
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日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共会長)は11月21日の記者会見で、革新的新薬を創出するための基盤整備と、多面的な価値を薬価に反映する制度設計の構築を求める「中期的な提案」(第一報)を公表した。なかでも製薬業界が直近の課題に抱える薬価制度について中山会長は、①医療的価値、②社会的価値、③保健基盤的価値―のそれぞれを薬価で評価する方法や仕組みが必要と強調した。製薬協は関係者の意見を踏まえ、2019年初旬までに提案内容の細部を詰める。2020年度の薬価通常改定や21年度からの薬価毎年改定の議論に備える方針だ。

政府の予算編成で毎年争点となる社会保障費の伸びの抑制について中山会長は、その大半を薬価引下げで賄っていることに、「限界にきている。持続可能な医療・社会保障制度改革を実現するには抜本的な改革が必要だ」と強い憤りを表明した。すでに欧米系製薬企業の一部には、日本への投資対象を見直す動きがある。中山会長は、こうした政府主導の医療費圧縮策がイノベーションの衰退を招き、その結果、医療の質を低下させ、健康寿命を短縮させるなど、負の循環を招くと強い危機感を示した。

そのうえで中山会長は、製薬産業の成長なくして、循環型経済の実現はあり得ないとの認識を示し、革新的技術が生まれることは疾病の治癒や健康寿命の延伸につながり、「最終的には医療費負担の改善、税収の増加につながる“エンジェル・サイクル”に転換できる」との見解を示した。

◎「医療的価値」、「社会的価値」、「保健基盤的価値」を薬価制度で評価


中山会長は「日本を世界最先端のヘルスケアイノベーション創出国」とするための具体的な施策に触れた。なかでも18年度薬価制度抜本改革の考え方については、「現時点で医薬品の持つ特性・有効性が十分に評価されていない。医薬品の価値と言えば、有効性が中心だが科学技術の進歩は計り知れず、それが医療に役立つのではないか」と指摘。「適正に評価する、“歪み”を正す、という意味で新たな評価軸の導入が必要だ。医療費のより適切な配分につながる」と力を込めた。

具体的な薬価制度の考え方については、従来の「医療的価値」に加え、「社会的価値」、「保健基盤的価値」を考慮することを求めた。医療的価値については、有効性・安全性などがすでに評価されているが、「利便性を新たな評価軸として設定すべき」との見解を表明した。社会的価値とは、回復した患者の就労や介護者の負担軽減など経済性、労働生産性向上を指すと説明。一例としてコンパニオン診断薬をあげ、抗がん剤などで有効性の高い患者を絞り込むことができれば、有効性の向上とともに、医療費削減も期待できるとの考えを示した。保健基盤的価値については、政府の政策の推進や科学技術の進歩に寄与するものとして、指定難病医薬品や条件付き早期承認制度などをあげた。一方で、加算を増やすなど評価を上積みするのではなく、“評価軸”を多面的なものとするとして、理解を求めた。

◎「予防・先制医療ソリューション」の早期実用化を強調

高齢化が進展するなかで予防・先制医療ソリューションの早期実用化に取り組む姿勢を鮮明にした。そのための施策として、ゲノム情報や画像情報などを一元的に把握できるデータベースの必要性を強調。中山会長は、「開発拠点として魅力を増す一番大事なファクターではないか」と強調した。現状では産業界が健康医療ビッグデータを利活用できる状況でないことを問題視。国のリーダーシップの下で、医療等IDを導入し、質・量ともに充足した健康医療ビッグデータの早急な構築が必要との見解を示した。特にゲノム情報については、次世代医療基盤法での位置づけを明確化するなどして、「研究開発に使える形に持っていけるよう強く主張したい」と述べた。また、前向きコホートや疾患コホートを産官学が連携して推進することで、新たな創薬に結び付くことへの期待感も示した。
 

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