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製薬協・宮柱会長 医療DX推進に力「価値に基づく議論と対話を」 価値定量化で共通理解促進 組織新設も

公開日時 2026/02/20 04:51
日本製薬工業協会(製薬協)の宮柱明日香会長は2月19日、会見に臨み、医療DX推進に向け、「体制整備も視野に入れつつ、関係者と連携を行いながら、健康医療分野全体を対象とした価値に基づく議論と対話を深めていきたい」と意欲をみせた。医療DX推進に向けて、製薬協に医療DX推進主幹組織を新設し、取り組みを加速させる考えを示した。まずは、ステークホルダーとの共通理解の醸成に向けて、「医療 DX の価値を定量化し、国民、患者さんにとっての便益を明確にする」ことに注力する。「限られた医療資源の最適配分も後押しし、持続可能な社会保障の実現と日本型医療モデルの発信につなげていきたい」と力を込めた。

◎社会保障制度の持続可能性「課題を乗り越えるカギはDXによる効率化と最適配分」

「社会保障制度の持続可能性には限界がある。ヒト・モノ・財源といった医療資源が同時に逼迫し、医療従事者の不足、供給リスク、医療費増大といった課題が挙げられる」-。宮柱会長は社会保障をめぐる現状の課題認識をこう切り出した。そのうえで、「これを乗り越えるカギは、 DX による医療資源の効率化と最適配分だ」と医療DX推進の意義を強調した。一方で、国の推進する医療DXは「部分的な取組みで、医療DXが生み出す価値が最大化されていない」と指摘。「医療機関や介護分野だけで完結するものではなく、製薬企業、スタートアップ、行政、そして患者さんを含む多様なステークホルダーが縦割りを超えて共創を行っていくことが不可欠だ」との考えを示した。

◎医療DXの“価値定量化”で国民・患者の便益を明確化 データ示して議論を

製薬協の医療DX主幹組織では、まずは、「医療 DX の価値を定量化し、国民、患者さんにとっての便益を明確にする」に注力する。さらに、医療DXの機運醸成に向けて、「社会的理解を広げ、実装を加速させるための情報発信とエビデンスに基づく提言」にも取り組む考えを示した。

宮柱会長は、ステークホルダーが実際の行動に移すうえで、「人が実際に行動に移すには、視覚化して価値を示す必要があるのではないかという議論をした」と説明。「製薬業界内でやれることはもちろん我々の責任として取り組む」としたうえで、医療DXの生み出す幅広い価値に対して、「ステークホルダーの理解や議論が必要だ。(国民・患者の便益が示された)データをお示ししながら、まず議論を巻き起こしていこうというのが、我々が今見えているところだ」と話した。「すでに色々なステークホルダーと議論を進めている。さらに触媒となって議論を進めていきたい」と意欲を示した。

欧州では医療データ基盤“EHDS”の整備により、医療データの一次利用に加え、医薬品開発などの二次利用も推進されている。木下賢志理事長は「我々が求めるのは、医療現場でのデータが基本になる」と説明。二次利用では個人情報であることが一つのハードルにもなっているが、医薬品の開発や副作用など二次利用を例示しながら、「我々もどう使うことで、どうメリットがあるか、国民に明らかにする必要がある。一つのモデルとして、どういう情報があれば、何ができるかはっきりさせる、そのための議論を政策議論の中でも進めていきたい」と話した。

◎高市政権 健康医療安全保障や創薬力強化がキーワード「製薬協の方向性と親和性高い」

宮柱会長は、「高市政権誕生後、健康医療安全保障や創薬力強化がキーワードとしてハイライトされており、政府の政策と製薬協の目指す方向性は親和性が高いと考えている」との見方を表明。実際、日本成長戦略会議では、創薬・先端医療と合成生物学・バイオを重点施策に位置付ける。宮柱会長は、「国民の健康に貢献する基幹、そして成長産業として、官民が力を合わせて前に進んでいくことで、日本、そして医薬品産業をさらに強くできると確信している」と強調した。

◎創薬 グローバル上位3製品上市でGDP2.4兆円押し上げ 

創薬については、創薬ベンチャーに対する支援体制の不足や海外依存度の高さなど、創薬エコシステムをめぐる課題を列挙。「こうしたボトルネックを官民で解消し、企業がより早期から積極的にシーズを取りに行ける環境を整備することが重要だ。これらの取り組みを通じて創薬力が強化されれば、患者さんに革新的な新薬を届けることが可能となり、日本の成長にも大きく寄与する」と強調。国内からグローバル売上上位製品が3製品上市場された場合、GDP は約2.4兆円押し上げられるとの試算もあるとして、「日本の経済にとっても大きな可能性を有している」と意義を強調した。

◎健康安全保障で求められる国内製造強化 GDP年間約3兆円規模、雇用増も

地政学リスクが高まる中、健康安全保障の観点から、国内生産基盤を強化する必要性も言及した。宮柱会長は、「日本も重要医薬品の指定と自給率目標の設定、国内製造設備、原材料への重点投資、研究開発から量産への橋渡し支援、官民連携による生産能力の常時確保を実行し、平時から有事まで持続可能な国内生産基盤を構築することが不可欠だ」と指摘。さらに、「有事のみならず、平時においても医薬品供給リスクが顕在化している現状を踏まえ、今後、国内製造拠点の強靱化と人材育成、人材交流への大規模な官民投資が不可欠だ」とも述べた。

これらの取組みにより、年間約3兆円規模の GDP 押し上げ効果が見込まれるとの試算も示し、「その多くは輸出による外貨獲得につながる。医薬品産業は原材料、装置、物流、研究支援など関連産業の裾野が広く、質・量ともに雇用創出効果も高い産業だ」と意義を強調。「製薬業としては、健康安全保障の確立と持続的な経済成長を両立させるため、医薬品の国内製造は個社の経営判断に委ねるのではなく、国家戦略として一体的に検討、推進すべき課題だ。政府関係団体との対話をより一層深めていく」と意欲をみせた。

◎給付と負担 国民的議論の必要性指摘「バランス取れた議論を」

高市首相が国民会議の早期開催に言及し、軽減税率や給付付き税額控除なども焦点となる中で、“給付と負担”に関連する議論を求める声が高まっている。

木下理事長は、国民負担を切り下げる方向に議論が偏ることに警鐘を鳴らした。「負担を下げることのみを傾注してしまえば、どうしてもどこかを切らざるを得ない。これは、医薬品に限らずに、医療保険のカバー率をどうするのかという話にもつながってくる。国民会議を超党派で開催するのであれば、負担だけでなく、給付も含めた両面で議論していただきたい」、「給付とバランスの取れた議論をしていただくことが、我々の望みであり、それに積極的に参画していきたい」と話した。また、「国民的議論が極めて大事だ」として、国民を巻き込んだ議論の必要性を指摘した。


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