薬食審・第二部会 新薬8製品を審議、承認了承 キイトルーダのMSI-High固形がん適応も

公開日時 2018/11/30 03:52
  • Twitter
  • 印刷
厚労省の薬食審医薬品第二部会は11月29日、新薬として8製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。この中でMSDの抗PD-1抗体キイトルーダ点滴静注の適応に、特定のがん種を定めない「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん」を追加することになった。MSI-Highは遺伝子の修復機能の低下を示す遺伝子異常で、誤った遺伝子の配列を修復できなくなり、がんを引き起こす。複数の多くのがん種で認められ、米国のデータでは胃がんや子宮内膜がんでは患者の2割程度、全体では4%程度というデータがあり、標準的な治療が困難な患者に限って使用するラストラインの位置づけ。MSI-Highというバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果を有するがん治療薬は、承認されれば国内初となる。同剤については、非小細胞肺がんに対しPD-L1陽性にかかわらず使えるようすることも承認の見通しとなった。年内にも承認が見込まれる。
 
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):
「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
「悪性黒色腫」において、1回200mgの固定用量に改める新用量医薬品。
以上審議事項。以下は報告事項。
「悪性黒色腫」の効能・効果から「根治切除不能な」を削除し、術後補助療法に使用できるようにする新効能・新用量医薬品。
「切除不能な進行・再発非小細胞肺がん」の効能・効果から「PD-L1陽性の」を削除し、PD-L1陽性にかかわらず使えるようする新効能医薬品。
再審査期間は、MSI-High適応では4年。悪性黒色腫適応では残余(2026年9月27日まで)。非小細胞肺がん適応では残余(2022年10月18日まで)。
 
MSI-Highとは、傷ついた遺伝子の修復機能の低下を示すバイオマーカー。大腸がんや胃がんなどの消化器系がん、子宮内膜がんでMSI-Highの頻度が高いことが知られ、検出するコンパニオン診断薬はすでに承認、販売されている。この適応症の承認までに保険適用される予定。共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果を有するがん治療薬は、国内にはない。用法・用量には「標準的な治療が困難な場合に限る」と明記する。
 
MSI-High適応は条件付き早期承認制度の適用を受けた。条件としては、進行・再発のMSI-High固形がんを対象に実施中のフェーズ2試験の結果を終了後、速やかに医療現場に提供することや、MSI-High固形がんのうち、結腸・直腸がんを除く固形がんについては有効性データが少ないとして、製造販売後調査などを通じた使用患者の背景情報を十分な把握とともに、有効性・安全性データの早期収集などを求めた。
 
海外ではMSI-High固形がん適応は、2018年8月時点で米国など14の国・地域で承認済。
 
コセンティクス皮下注150mgシリンジ、同皮下注150mgペン(セクキヌマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2022年12月25日まで)。
 
この疾患ではIL-17Aが関連するサイトカイン経路が重要な役割を果たしているといわれ、同剤がIL-17Aの生物活性を中和することで、抗炎症効果を発揮するとされる。治療ではまずNSAIDsが使用され、効果不十分な場合などにおいてTNF阻害剤が使用され、コセンティクスはTNF以外のサイトカインを標的とした初の治療薬で、新たな治療選択肢となる。海外では、2018年7月現在、欧米を含む85か国以上で承認済。
 
ザバクサ配合点滴静注用(セフトロザン硫酸塩/タゾバクタムナトリウム、MSD):「膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍」を適応症とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合薬。再審査期間8年。
 
新規セフェム薬であるセフトロザン硫酸塩1.0gにβラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタムナトリウム0.5gを配合した注射用抗菌薬。海外では、2018年9月時点で欧米を含む66の国・地域で承認済。
 
エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル、ギリアド・サイエンシズ):「前治療歴を有するC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。優先審査品目。再審査期間8年。
 
ソホスブビルはソバルディ錠として販売され、ベルパタスビルはNS5A 阻害作用を有する新有効成分。ジェノタイプ1~6のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変、C型非代償性肝硬変の患者を対象とした国内外の治験に基づき申請されたもの。C型非代償性肝硬変は、最も有効な治療法は肝移植で、この薬剤が承認されれば、初の治療薬となる。
 
ソホスブビル400mg、ベルパタスビル100mgを配合し、1日1回1錠。C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変はレベトールカプセル(MSD)と併用し、24週間投与。C型非代償性肝硬変はエプクルーサ単剤で12週間投与により治療する。同疾患患者に対する治療薬として国内で承認された医薬品はなかった。海外では2018年5月時点で、欧米を含む52の国・地域で承認済。
 
レベトールカプセル200mg(リバビリン、MSD):「ソホスブビル・ベルパタスビル配合剤との併用による、前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。迅速審査品目。再審査期間は8年。
 
エプクルーサ配合錠(ギリアド・サイエンシズ)と併用するため、効能及び用量を追加する。
 
ビラフトビカプセル50mg(エンコラフェニブ、小野薬品):「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
BRAFのキナーゼ活性を阻害し、増殖抑制するとされるBRAF阻害薬。この日審議されたMEK阻害薬メクトビ錠(小野薬品)と併用する。ビラフトビは1回450mgを1日1回投与。メクトビは1回45mgを1日2回投与。薬物療法対象の悪性黒色腫患者数は年間600人程度で、BRAF遺伝子変異は20~30%程度という。両剤は海外で、2018年9月時点で、欧米など32の国・地域で承認済。
 
メクトビ錠15mg(ビニメチニブ、小野薬品):「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
MEKのキナーゼ活性を阻害し、増殖抑制するとされるMEK阻害薬。同日に審議されたBRAF阻害薬ビラフトビカプセルと併用する。
 
ビジンプロ錠15mg、同錠45mg(ダコミチニブ水和物、ファイザー):「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。再審査期間8年。
 
EGFRチロシンキナーゼのリン酸化を阻害することで、増殖抑制するとされるEGFR阻害薬。1日1回45mgを投与する。化学療法歴のない患者に使用できる。日本人の非小細胞肺がんでは約40%がEGFR遺伝子変異を有し、4万5000人程度とされる。2018年8月時点で海外承認はない。
 
中外の血友病A治療薬へムライブラ インヒビター非保有患者も適応に
 
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
 
へムライブラ皮下注30mg、同皮下注60mg、同皮下注90mg、同皮下注105mg、同皮下注150mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):血液凝固第8因子に対するインヒビターを保有しない血液凝固第8因子欠乏患者にも使えるようにする新効能医薬品。また、インヒビター保有患者について現在の1週間間隔投与に加え、2週間隔、4週間隔でも使えるようにする新用量医薬品。インヒビター保有患者適応のみ希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2028年3月22日)。海外で今回の新効能・新用量と同じ承認をしているのは米国のみ。
 
テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を用法・用量を追加する新用量医薬品。優先審査品目。再審査期間は残余(2026年1月18日まで)ファーストラインで使えるようにする。抗PD-L1抗体。2018年8月時点で、欧米で今回追加する適応の承認はない。
 
キイトルーダ点滴静注100mg、同点滴静注20mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):悪性黒色腫の術後補助療法の追加と、非小細胞肺がんに対してPD-L1陽性にかかわらず使用できるようにする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、悪性黒色腫適応では残余(2026年9月27日まで)。非小細胞肺がん適応では残余(2022年10月18日まで)
関連ファイル

関連するファイルはありません。

 

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(5)

1 2 3 4 5
悪い   良い

 

 

広告

広告

広告

広告

広告

広告

市場に密着した医薬情報&マーケティング誌

 

12月号特集
(Promotion)

デジタルヘルス時代を占う企業戦略

自前主義から脱却 他業種連携を探る

 

 

12/1発行

バックナンバー

 

ミクス編集部のtwitter

 

ミクスOnlineのモバイルサイトは下記QRコードよりアクセスしてください

QRコード

http://mobile.mixonline.jp/