中医協部会 費用対効果評価骨子案を了承 ピーク時100億以上の新薬など対象に

公開日時 2019/01/24 03:53
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中医協費用対効果評価・薬価・保険医療材料専門部会は1月23日開かれ、2019年4月に本格実施する費用対効果評価の骨子案について診療・支払各側が大筋で了承した。有用性加算が算定されたピーク時売上高100億円以上の新規薬価収載品や、市場規模1000億円以上の既収載品が対象となる。市場規模50~100億の新規薬価収載品を“評価候補品目”に位置付け、医薬品・医療機器あわせて年間10品目程度を対象とする考え。価格調整は基本的には加算部分が対象となるが、原価計算方式で算定され、開示度50%未満の品目については営業利益も対象として薬価が引下げられる。一方で、安定供給に配慮し、調整前の薬価を「10%または15%」引き下げた価格を下げ止めとすることも提案されたが、運用面は議論をさらに詰めることになった。同省は、2月に製薬業界などから意見陳述を求め、3月中にも最終的な骨子を取りまとめる。

費用対効果評価を保険償還に活用している英国では、抗がん剤などへの患者アクセスが制限されるとして社会課題となっている。そのため、同省は保険償還をおこなったうえで、費用対効果を価格調整のツールに用いることを提案した。

具体的には、一旦保険収載した後、中医協で年4回ある薬価収載のタイミングを活用して対象品目を選定する。企業と公的分析班が事前に協議を行ったうえで、企業分析を行う(9か月)。結果については、公的分析として検証・再分析を行う(基本は3か月。再分析を行う場合は6か月)。この結果を踏まえ、専門組織で総合評価を行い、中医協で価格決定を行う(3か月)。最短で15か月程度で、費用対効果を踏まえた新たな薬価が決まることになる。

対象品目については、5区分(左図参照)で示した。新規収載品は、有用性加算が算定されたか、原価計算方式で開示度50%未満だった品目のうち、▽ピーク時の市場規模が100億円以上(H1)、▽薬価が数百万など、著しく単価が高いなどの理由で中医協において必要と判断された(H3)-品目が対象となる。これに既収載品で、算定方式によらず有用性加算が算定され、「市場規模が1000億円以上の品目、著しく単価が高いなどの理由で中医協において必要と判断された品目」(H4)を加えた3区分は、選定後速やかに費用対効果評価の分析をスタートさせる。類似品目(H5)については費用対効果評価の分析は行わないが、対象品目と同用の率で薬価が引下げられる。

一方、新規収載品で有用性加算は取得しているが、ピーク時の市場規模が50億~100億円未満の品目(H2)は、「評価候補品目」に位置付ける。現在は、統計の専門家の数が限られていることなどから、年間10製品程度が上限となる。そのため他の区分の品目数を勘案し、ピーク時市場規模の予測値が高いものから優先順位をつけ、分析を行う。評価候補品目としての選定は年4回行うが、実際に対象品目とするかは年2回選定する。厚生労働省保険局医療課の古元重和企画官は、「候補品という枠を設けることで、平準的に分析を行っていきたい」と述べた。

◎2018年度でシミュレーション 該当品目は抗がん剤など4製品

2018年度に新規収載された医薬品を照らし合わせると、H1に該当するのは、▽アトピー性皮膚炎治療薬・デュピクセント(サノフィ)、▽潰瘍性大腸炎治療薬・エンタイビオ(武田薬品)、▽抗がん剤・イミフィンジ(アストラゼネカ)、▽抗がん剤・ガザイバ(中外製薬)-の4製品。17年度も4製品となっている。

一方で、抗がん剤のほか、指定難病や血友病、HIV感染症治療薬や、小児用法・用量を取得している品目には配慮する。特に治療法が十分存在しない希少疾患”のみ”に用いられる品目や小児”のみ”に用いられる品目は費用対効果評価の対象から除外する。ただし、年間売上高350億円以上の品目や薬価の高い品目は中医協の判断で対象にできる。

◎対象範囲の最大90%引下げ 開示度50%未満の原価計算方式算定品目は営業利益も対象に

価格調整は、増分費用効果比(ICER)に基づき、調整対象に計数をかける形で算出する。価格調整の対象は基本的には有用性系加算などの加算部分だが、原価計算方式で算定され、開示度が50%未満の品目は「加算部分+営業利益」を対象とする。原価計算方式で算定され、開示度が50%未満だが、有用性加算などを取得していない品目は営業利益を価格調整の対象範囲とする。

具体的には、ICERが500万円/QALY以下の場合は価格を維持する。ICERが500~750万円/QALYの場合は有用性系加算を30%、営業利益率を17%引き下げる。ICERが750~1000万円/QALYの場合は有用性系加算を60%、営業利益率を33%、ICERが1000万円/QALY以上の場合は有用性系加算を90%、営業利益率を50%引き下げる。ただし、安定供給の観点から、最終的な薬価は「価格調整前の10%または15%を引き下げた価格」と、「ICER500万円/QALYとなる価格」のいずれかのうち、高い価格を下限とする。この具体的な運用は今後議論のなかで詰める。

開示度50%を基準とすることについては支払側委員から厳格な運用を求める声があがったが、厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は、「製造の一部工程を委託した場合などで、詳細な原価が出てこない」と説明。「開示度50%未満は、実績を踏まえても相当程度厳しい基準になっているのではないか」と理解を求めた。

◎ICER200万円/QALYなどで薬価引上げも

医療費削減効果のある品目については、価格の引上げを行うことも盛り込まれた。比較対象品目に対し効果が同等・増大し、費用が削減される場合(ドミナント)は対象範囲を最大50%引き上げる。ただし、価格全体の10%を上限とした。また、ICER200万円/QALY未満の品目は対象範囲を25%引き上げる。ただし、価格全体の5%を上限とする。

価格調整について製薬業界側は、昨年12月の意見陳述で対象品目を限定し、価格調整の範囲を有用性系加算部分のみとすることを要望していた。価格調整についても試行的導入で用いられた最大90%の引下げを「過度な引下げ」と指摘。「加算調整率は最大50%、かつ価格全体の10%以下」を求めていた。業界代表の上出厚志専門委員(アステラス製薬株式会社執行役員医療政策部長)は、原価計算方式で営業利益まで対象とすることについては「意見の乖離があるところだ」と述べた。そのほか、価格調整率や薬価の引下げルールなどについても、製薬業界との意見の隔たりは大きく、”課題”との認識を示した。

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