第一三共 CSF-1R阻害薬ペキシダルチニブ 腱滑膜巨細胞腫対象の国内P2開始
公開日時 2021/04/12 04:50
第一三共は4月9日、CSF-1R阻害薬ペキシダルチニブ(一般名、開発コード:PLX3397)について、日本で腱滑膜巨細胞腫(TGCT)患者を対象とした第2相臨床試験を開始したと発表した。重度かつ手術による十分な改善が見込めないTGCT患者18人を登録する予定で、最初の患者への投与を始めた。
同試験は2つのパートからなり、パート1で同剤の忍容性と薬物動態を、パート2で有効性や安全性を評価する。主要評価項目は用量制限毒性、薬物動態解析、客観的奏効率。副次評価項目には腫瘍体積の評価、関節可動域の評価や有害事象などが含まれる。
TGCTは関節に生じる希少な非悪性腫瘍で、これまで腱鞘巨細胞腫や色素性絨毛結節性滑膜炎と呼ばれていた腫瘍性病変の総称のこと。TGCTは緩やかに進行し、腫瘍が関節内外に徐々に拡大するにつれて、関節の痛み、強張り、腫脹、可動域の減少などの症状が重くなることが知られている。標準治療は手術による腫瘍切除だが、手術による関節の機能悪化などが見込まれ、改善を期待できないTGCTに対して現在、国内に有効な治療法はない。
ペキシダルチニブはCSF-1R、KIT、FLT3を特異的に阻害する分子標的薬で、がん細胞の増殖阻害や転移拡大抑制効果などが期待されている。同社は、「ペキシダルチニブを通じて、国内の重度かつ手術による十分な改善が見込めないTGCT患者さんに、新しい治療の選択肢を提供できることを期待している」としている。