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アステラス製薬 3~5年以内に「リモート臨床試験」のプラットフォーム構築 DXで患者利便性を最適化

公開日時 2022/01/24 04:52
アステラス製薬は1月21日のDXメディア説明会で、今後3~5年以内に「リモート臨床試験」のプラットフォームを構築する方針を明らかにした。Decentralized Clinical Trials (DCT=分散型臨床試験)を軸に、患者同意、データ収集、経過観察、試験サポートの各段階を一つのアプリで運用できるようにする。これにより患者の治験施設への訪問頻度や拘束時間を極力少なくし、臨床試験に参加する患者とのエンゲージメントを高める狙いが込められている。岡村直樹副社長(経営戦略・財務担当兼戦略実装担当)は、「医療従事者や患者の負荷が少ない形で高品質な臨床試験を行えるプラットフォームを持ちたい」と強調した。

DCTを臨床試験に取り入れる動きはグローバル製薬企業を中心に広がっている。すでに78%(FY20)を日本国外の売上収益に委ねるアステラス製薬にとって、グローバル試験を推進する上でDCTはDX戦略の重要テーマに位置づけられている。同社の考える患者中心のリモート臨床試験とは、治療選択肢の無かった患者に、情報を届け、患者から理解を得て、患者のニーズを取り入れることにある。

◎同意、データ収集、経過観察、試験参加サポートを1つのアプリで 

具体的には、①「同意」におけるeコンサルタント(オンライントレーニング)、②「データ収集」におけるePRO、eCOA(クリニカル・アウトカム・アセスメント=電子的アウトカム評価システム)、③「経過観察」における医師・スタッフとのオンラインコミュニケーション、④「試験参加へのサポート」における患者支援グループや活動記録のリマインダーーをプラットフォーム化し、それらを一つのアプリで運用するというもの。さらに、これらをリモート(在宅)で実施する。

すでに同社は米国におけるデュシェンヌ型ジストロフィー(遺伝性筋疾患)を対象としたASP0367の臨床試験にDCTを活用した。患者の日常生活をスマホで撮影し、遠隔で中央評価者が解析、さらにeダイアリーで外出の有無など行動記録を記録、ウェアラブルデバイスで活動量のデータを取得した。こうした取り組みを通じ、患者への利便性の向上のリテンション率が30~40%増加する。また、試験タイムラインも、20~35%削減できるという。

◎須田情報システム部長 試験デザインの中でプラットフォーム活用を検討

同社の須田真也情報システム部長は、DCTの意義について、「1つのアプリでプラットフォームを持ち、ちゃんとグローバルで使える環境にすることが我々の目指す姿だ」と指摘。リモート臨床試験については、「適するもの、そうでないもの、その組み合わせもあると思う」と述べ、「臨床試験の全てがこのプラットフォームに乗るかどうかは別の問題だ。試験デザインの中でプラットフォームの活用も検討しながら適切な形で進めることになる」と見通した。

◎岡村副社長 医療従事者や患者の負荷が少ない形で高品質な臨床試験を実施

岡村副社長は、「すでに細胞医療や遺伝子治療などを行っているが、さすがに細胞移植を自宅で行うのは不可能。この部分は施設で外科的に行うことになるが、その後、患者は自宅に帰って頂き、日常生活の中で必要なデータが集められ、それがタイムリーに集計されて、統計的な処理ができる」と強調。「プラットフォームが完成されていれば、臨床試験の一部、もしくは試験全体などケースバイケースで利用できる。医療従事者や患者の負荷が少ない形で高品質な臨床試験を行えるプラットフォームを持ちたいと考えている」と述べた。

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