英国立医療技術評価機構（NICE）は３月8日、ノボノルディスク社のGLP-1受容体作動薬Wegovy（セマグルチド）について、肥満症の適応で国民保健サービス（NHS）における使用を推奨する最終ガイダンス案を発表した。同ガイダンス案におけるセマグルチドの適応は、1つ以上の体重（肥満）関連合併症を有し、BMI（体格指数）が少なくとも35㎏/m2あり、食事療法および運動療法を行っている肥満症。1つ以上の体重関連合併症を有し、BMIが30-34.9㎏/m2で体重管理専門家の紹介が可能な適格者も同剤の投与適格者となる。

体重関連合併症は、前糖尿病もしくは2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患。同剤の用法は、週1回プリフィルドシリンジで自己注射する。NICEは、同最終ガイダンス発行により、NHSに対して同剤が入手可能となる3か月以内に同剤の推奨が実行できるように求めた。

◎NHSにおける肥満関連経費は61億ポンド　広義の肥満関連社会的コスト270億ポンド

2019年英国健康調査（The 2019 Health Survey for England）によるとイングランドでは成人の28％が肥満で、36％は過体重と推定される。英政府は、NHSにおける肥満関連経費は61億ポンド。また、より広義の肥満関連社会的コストは270億ポンドにのぼると見ている。NICEの独立委員会は、2022年6月に最終ガイダンスにおいて同剤使用を推奨していたが、NICEは、同剤が英国でスケジュール通り発売出来なかったため、最終ガイダンスを発行できなかった。

◎Helen Knight医薬品評価部長「支払いに見合う価値を確実にするために特定の推奨を行った」

NICEのHelen Knight医薬品評価部長は、体重減少を図る人々にとっては、セマグルチドのような薬剤は歓迎すべきオプションと述べたものの、「誰でも使用できるというものではない。我々の委員会は、納税者にとって支払いに見合う価値を確実にするために特定の推奨を行った。同剤は最大2年間しか使えない。我々が喜んでセマグルチドの最終ガイダンスを発行することは一定の人々がNHSにおいて多くを語られた、この薬剤にアクセスできることを意味する」とコメントした。