薬粧連合・松尾新会長 連合加盟で「産別間組織の連携で力を結集」 UAゼンセンとの課題も解消
公開日時 2025/09/25 04:49

医薬化粧品産業労働組合連合会(薬粧連合)の新会長に就任した松尾仁雄氏(中外製薬労働組合)は9月24日の記者会見で、設立以来掲げてきた日本労働組合総連合会(連合)加盟への道筋がついたとして、「連合での活動や同じ産別組織間で連携を図ることで、最終的には同じ産業で働く仲間の力を結集していきたい」と抱負を述べた。連合加盟に向けた課題となっていたUAゼンセンとの関係については「産業が厳しい状況に置かれているという課題認識は一致しており、未来志向での連携を考えていこうと話し合った」と問題解消に至ったことを説明した。
◎友好参加組織として連合に加盟承認へ 10月の定期大会で
薬粧連合の連合加盟を巡っては、10月に開かれる連合の定期大会で「友好参加組織」としての加盟承認が諮られる見通し。薬粧連合に加盟する組織の多くが連合加盟のUAゼンセンから脱退して設立されたという経緯から、両者の関係が課題になっていた。松尾会長は、これまでの話し合いを通じて、脱退届の扱いなどUAゼンセンとの問題は解消に至ったと説明し、「設立当時の我々の行動について一定の振り返りや反省を踏まえつつ、産業で働く労働者のために最善の判断をすべきという考えの下で判断に至った」と述べた。
連合加盟にめどが立ったことで、薬粧連合では今後の目指す姿についても見直した。短期的には組織強化や活動の見直しを通じた産別組織の役割を果たしていくとともに、中期では「産別として産業発展に向けた活動を牽引」し、長期では産業全体の連携のさらなる推進を通じて「同じ産業で働く仲間の力を結集する」と掲げた。松尾会長は「連合には、UAゼンセンやJEC連合も参加しており、今後は連合傘下の産別組織同士の連携を図っていきたい」と期待を込めた。
なお、友好参加組織は表決権の制限などがあるが、「組織内の活動や財政状況の見直しを進めて、2年後の連合大会を目安に正式加盟への意向を目指す」という。
◎26年度運動方針 労働条件向上へ「個別労組の支援を充実させる」
26年度の運動方針として、松尾会長は「いま一度、薬粧連合に加盟する意義や重要性を理解してもらうためにも、個別労組の支援を充実させることで価値を高めていきたい」と強調。25年度の賃上げでは、「5%以上」の目安に届かず、2年連続の4%前半で「他業種に比べると厳しい状況」となった。こうした状況を踏まえ、松尾会長は「個別の労組の交渉力をいかにサポートして全体の底上げを図っていくかが重要。賃金に限らず、労働条件全般の労使協議への支援にしっかりと取り組んでいきたい」と強調した。
このほか、連合加盟を踏まえた活動の見直しを図るため、中央執行委員会の諮問機関として、組織部会と産業政策部会、地域ブロック部会の3部会を新たに設置。また、産業政策の実現に向けて、業界から課題を発信する場として政策フォーラムを新たに開催する計画を示した。
◎26年度薬価改定 新薬を含めた全品目の一律引上げを要望
要望事項では、26年度薬価改定に向けて「全品目の一律引上げ(ベースアップ)」を掲げた。松尾会長は「昨今の物価高に伴う原材料費の高騰や賃上げに伴う人件費高騰の影響は新薬も影響を受けることから、全体の引上げを求めていきたい」と述べた。
薬粧連合は18年10月に設立され、加盟組織は25年7月時点で27組織、約3万5000人に上る。9月21日に開催した第8回定期大会では、3代目会長に選出された松尾氏のほか、新たな副会長に白井翔伍氏(中外製薬労働組合)▽松本拓也氏(第一三共グループ労働組合連合会)▽八尾顕氏(アステラス労働組合)▽安田賢司氏(住友ファーマ労働組合)―が就くなどの新役員体制を決定した。