リジェネロン・サンズ部門長 リブタヨ皮切りに日本戦略を加速 オンコ・コマーシャル部門80人超に拡充
公開日時 2025/10/03 04:52
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リジェネロン・オンコロジー領域国際部門のチェマ・サンズ部門長は10月2日、オンラインで本誌インタビューに応じ、抗悪性腫瘍剤リブタヨを皮切りに日本市場でのオンコロジー戦略を加速させる考えを表明した。日本国内の臨床開発については、固形がんおよび血液がん領域で2つのパイプラインが“レイトステージ”にあると明かし、早期の承認申請に期待感を表明した。日本市場への投資としては、リジェネロン・ジャパンのオンコロジー領域で、6月に8人のセールスマネジャーを、8月には60人以上のMRを新規採用した。これによりオンコロジー領域コマーシャル部門は総勢80人以上となり、全社の従業員数は380人規模に拡大したと強調した。
◎アステラス製薬で16年間勤務 「日本市場が秘める可能性を認識している」
取材に応じたチェマ・サンズ オンコロジー領域国際部門長は、リジェネロン入社前にアステラス製薬で16年間勤務した経験がある。在籍時は欧州での要職を歴任した。サンズ部門長は本誌に対し、「日本市場が秘める可能性を認識している」と強調、続けて、「特に学術的なリーダーシップがあると考えている」と印象を語った。一方で日本事業のスタートが2023年3月だったことから、「我々にとって新市場参入であり、そこに新しいアセット(複数の革新的新薬)をもって日本の患者に貢献できることは大変すばらしい機会だ」と期待感を込めた。
◎リブタヨ・非小細胞肺がんの適応追加 「我々のプレゼンスを大きくすることができた」
リジェネロンが日本市場で注力するオンコロジー製品は、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体・リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ・遺伝子組換え)。同剤は、がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がんの適応でサノフィが製造販売承認を取得。2023年3月に上市した。その後、24年6月にサノフィからリブタヨの日本における製造販売承認がリジェネロンに承継される。25年9月19日には、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を適応追加し、いよいよ米国本社の熱い期待を受けてオンコロジー領域は本格的な拡大期を迎えた。
サンズ部門長は、「適応追加によって日本でのオンコロジーのフランチャイズの成長がさらに拡大できると考えている」と強調。セールスマネジャー、MRの人員補強に加えて、マーケティング部門、ビジネスオペレーション部門の人員拡充も行ったとして、「我々のプレゼンスを大きくすることができた」と述べた。コマーシャル部門も総勢80人以上となり、全国の専門医にむけてMRを通じた情報提供活動がすでに展開されている。サンズ部門長は、「デジタルなどの情報チャンネルの効果も常に評価しているが、やはりFace to Faceが最も重要だと考えている」と述べた。
◎国内開発パイプライン linvoseltamab、odronextamabの2剤が “レイトステージ”に
一方でオンコロジー領域の開発パイプラインに言及。再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者向け治療薬・Lynozyfic(一般名:linvoseltamab)、再発または難治性の濾胞性リンパ腫および再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者向け治療薬・Ordspono(一般名:odronextamab)の2つのアセットがそれぞれ日本国内で臨床試験を行っているとサンズ部門長は明かした。Lynozyficは、すでに欧米で、Ordsponoは欧州で承認されている。両剤の日本での予定適応は欧米と必ずしも同じでないと述べながらも、「臨床試験は現在レイトステージにあり、日本の患者さんに早期に届けられるよう承認申請したい」と強調した。このほかリネジェロンの開発戦略の考え方に触れ、「リブタヨは更なる適応追加や、他腫瘍タイプ、その他の抗体や二重特異性抗体との併用療法など常に検討しており、十分効果が発揮できない治療が困難ながんを克服したいと考えている」と強調した。
◎「我々はライフサイクルマネジメントという言葉は使わない!」
「我々はライフサイクルマネジメントという言葉は使わない!」とサンズ部門長は強調する。続けて、「それは典型的なファーマ企業の戦略だからだ」と指摘。「リジェネロンは患者が満足できる治療法が無いところに対し、革新的な薬で治療していくという、サイエンスベースの考えに基づいており、典型的なファーマ企業の戦略的なアプローチは取らない」と明かしてくれた。