肺血栓塞栓症の予防マニュアル 医師の6割が「院内にない」「遵守できていない」などと回答
公開日時 2012/07/04 04:00
医師限定コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアはこのほど、院内に肺血栓塞栓症の予防マニュアルがあるかどうかについての調査結果をまとめ、公表した。医師の4割が院内に予防マニュアルがある回答し、ほぼ遵守している一方で、残りの6割が予防マニュアルはない、もしくは遵守できていないことが分かった。周術期の肺血栓塞栓症対策が不十分なことで訴訟が増えており、マニュアルが整備されなかったが故に医療機関側の責任が問われるケースがあるなかで、予防マニュアルに対する認識の低さが浮き彫りになった。
調査は5月9日~15日に実施した。有効回答数は1166件。インターネットを利用したアンケート調査で、全国のMedPeer会員医師に対し実施した。
結果をみると、回答医師の41.4%が「マニュアルがあり、ほぼ遵守している」と回答した。自由回答には、「11年前に院内のマニュアルを作った。それ以後、1人の死亡例も経験していない」(50代、呼吸器外科)、「術前低、中、超高リスクに分類し、それぞれに対し処置が決まっている」(50代、一般外科)、「予防マニュアルの導入、周知により、DVT/PEの診断例は増えていると思われるが、重症例は格段に減った。効果はかなり高いものと思われる」(30代、循環器外科)など、効果があったという意見が多くみられた。
一方、「マニュアルはない」が32.4%、「マニュアルがあるかどうか知らない」は16.1%、「マニュアルはあるが、あまり遵守できていない」が8.5%だった。
自由回答には、予防マニュアルがないと回答した医師のなかには、「弾性ストッキングなど最低限の予防を行っているだけ。これだけでは、効果不十分な症例があることは承知している」(50代、整形外科)といった、問題意識を持っていることがうかがえるコメントもみられた。「マニュアルはないが、整形外科・外科領域ではガイドラインに従って予防策は講じている」(60代、呼吸器外科)、「ほぼ全例に予防を行うため、マニュアルは特に設けていない」(50代、整形外科)といった意見も散見された。