高脂血症治療剤市場は食事・運動療法普及で成長鈍化も 富士経済調べ
公開日時 2009/04/02 23:00
富士経済は4月2日、高脂血症、代謝系疾患など5治療剤市場の調査結果の概
要を発表した。高脂血症治療剤市場規模は、2017年には4085億円と08年に比べ
20%の成長が見込まれるという。しかし、「メタボ予防意識の高まりで薬物治
療にまでは至らず食事療法や運動療法でとどまるケースも増えていることから、
薬剤を処方される患者の伸びは鈍化し、市場の成長率も低下していくと考えら
れる」と分析した。
高脂血症治療剤市場では、特定健診・特定保健指導により患者の掘り起こしが
進み、「市場へ与える影響は大きい」と指摘。スタチン系製剤が牽引する中、
07年に新規作用のゼチーア(バイエル薬品)が加わり、単独療法またはスタチ
ンとの併用療法の処方が増えているという。そのため08年は3%増の3404億円
の市場が、09年には3659億円、7.5%の伸びとなると予想。ただ、中長期的に
は食事・運動療法普及で成長も鈍化するとした。
一方、代謝系疾患治療剤の約8割を占める糖尿病治療剤市場は、08年は2556億
円の6.4%増、09年は2757億円の6.6%増と拡大。最も市場規模の大きいαグル
コシダーゼ阻害剤がジェネリック薬の影響や他の経口剤との競争激化で実績を
減らす一方で、チアゾリジン誘導体のアクトス(武田薬品)については、単独
療法または併用療法の適応追加で治療の幅が広がっているとし、「更なる拡大
が見込まれる」という。今後、患者数の増加、重症化、罹患期間の長期化など
で17年には3770億円、08年に比べ47.5%の成長を予測した。